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『日本の10大新宗教』
- 2023/03/06(Mon) -
島田裕巳 『日本の10大新宗教』(幻冬舎新書)、読了。

宗教学者としてメディアに最も露出している著者による
日本の新宗教の10大勢力を解説した本。
厳密には、信者数トップ10とかではなく、小さい規模の新宗教も挙げられているが
タイプの違いを考慮した模様。

著者については、オウム事件の時にオウムを擁護したとして批判されたことを
一応念頭に置きながら著作を読むようにしていますが、
各新宗教に対して、批判的な言葉や、この経歴は捏造だと思うというような指摘や、
反対にこの活動はしっかりやっているというような評価について
どこまで信頼してよいのか迷ってしまうところがあります。
やっぱり、尾を引いちゃいますよねー。

そういう点は抜きにして、各新宗教の影響力や活動内容の違い、
そして、どうやって大きくなってきたのかという点について興味深く読みました。

神様仏様の教えの話や説法で信者集めできるのはせいぜい100人200人程度で
そこから大きくしていこうとすると、手かざし等の病気を治すという短絡的な現世利益を
全面的に押し出して興味を引き寄せ、入信時や入信後に寄付・布施を集めるという
金集めになっていくところが王道の形なんだなと理解できました。

その点で、オウム真理教はどちらかというと空中浮遊のような「体験」を前面に押し出して、
修行することを中心に信者を集めたところが斬新だったのかなと思いました。

また、創価学会は、選挙という一大エンターテインメントをうまく信者活動に落とし込んでいるところが
これまたユニークなのかなと。

社会に悪影響を与える新宗教は(新宗教だけでなく既成宗教も社会に害を与えてはいけないですが)
規制されなければいけないと思いますが、しかし、「組織を大きくする力」や「大きな組織を統率する力」
については、学ぶ対象として興味深いです。

なので、創価学会の戸田城聖氏については以前から興味を持っているのですが、
なにかいい本ないかなぁ。
宗教がかった本ではなく、例えば社会学者による解説書みたいなフラットなやつで。






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『葬式は、要らない』
- 2022/01/06(Thu) -
島田裕巳 『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、読了。

宗教学者の著者が、このタイトルで書く本なので、
「本来の仏教の教えに基づくと今の日本で行われている葬式という名のイベントは要らない」という
宗教学の視点で考察した本だと思ったんですよ。

ところが、読んでみると、「葬式は贅沢だ」という言葉が繰り返され、
葬式にはいくらかかるのか、坊さんを呼ばなかったらいくら節約できるのか、
通夜振る舞いを出さなかったらいくら節約できるのか、というような
お金の話ばかり。

葬式という場を設ける意味についても、
遺族や友人たちの気持ちの整理をつけるためには有効なもの・・・・という説明にとどまり、
今の日本の法律では葬式は義務付けられていないので、やらなくてよい、と切ってしまいます。
遺族の気持ちの面が最も大事な開催理由だと思うのですが、
その気持ちに寄り添ってあげるのが宗教の役割だと思うのに、
そこについての言及がなくて、とても残念。

宗教学者が書いた本というよりは、
節約コンサルタントが書いた本のような印象です。

まぁ、でも、過去の著者の本について、自分が読んだ感想を過去にさかのぼって見てみると、
「宗教学者なのにこのレベルの内容なのか!?」と怒ってることが多いので、
私が著者に期待するのが間違っているんだなと反省(苦笑)。




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『新宗教儲けのからくり』
- 2019/11/08(Fri) -
島田裕巳 『新宗教儲けのからくり』(宝島SUGOI文庫)、読了。

新宗教がどうやって運営費を賄っているのか、さらに稼いでいるのか、
その仕組みを具体的な宗教法人名をあげて解説しており、
なかなか勇気あるなぁと思ってしまいました。
まぁ、公になっている数字とかから推理しているだけなので、
その世界の人には当たり前の情報なのかもしれませんが。

運慶作の大日如来坐像をクリスティーズで15億円で落札したという話から始まりますが、
このニュース自体を知らなかったので、そんなことがあったのかと興味をそそられました。
海外流出か、新興宗教の手に落ちるか、なかなか話題性のあるニュースだったと思うのですが
世の中の反応はどんな感じだったのでしょうかね。

さて、そんな大金を出せる新興宗教法人ですが、
儲けの仕組みはそれぞれ特徴があるようで、
「商材ビジネス型」「献金型」「コンビニ型」「家元制度型」と分類して解説しています。
それぞれ、なるほどなぁと思う仕組みを作り上げており、
短い期間でビジネスモデルを確立して、顧客=信者を獲得して、売上=布施等を集めるという
素晴らしい起業家たちですよね。

本作では、様々なタイプを紹介するところに力点を置いていましたが、
個人的には、もう少し解説対象を絞って、宗教法人が大きく育っていった過程を
もっと深掘りしてほしいなと思いました。
特に、教祖よりも、中興の祖と言われるような、組織構築力に長けた人を中心に
どんな動きで組織が育ってきたのかを知りたいと思いました。





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『この寺社を見ずに死ねるか』
- 2019/08/23(Fri) -
島田裕巳 『この寺社を見ずに死ねるか』(角川新書)、通読。

宗教学者による寺社案内ということで買ってきたのに
内容にガッカリ。

Wikipediaを切り張りしたら、この程度の本は素人でも作れそう・・・・・
というか、Wikipediaの方がマニアックな情報が載ってて楽しめそうです。

何の捻りも付加価値もない単なるガイドブックです。

著者に高い執筆料を払って依頼しなくても、
角川の編集部にいる人材なら、この程度、簡単に書けるだろうに・・・・。




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『0葬』
- 2018/05/13(Sun) -
島田裕已 『0葬』(集英社文庫)、読了。

タイトルは「ゼロ葬」と読むそうです。
初めて知った言葉でしたが、著者のあとがきを読むと、
この本の発売以来、世間に根付いたそうで、検索してみると確かに「0葬」を謳った
葬儀屋さんのサービスがそれなりにヒットしてきました。

私自身が30代で、まだ父母の葬儀というものに現実味を感じていないので
そういうニュースや広告があっても、目にとまらないんでしょうね。

さて本作は、「0葬」に代表されるような現代の葬儀の在り様をレポートした本。
「0葬」とは、火葬した後の遺骨の処理を火葬場に任せて引き取らない方式を指す
著者の造語だそうです。

そもそも、火葬場で遺骨を引き取らないという選択肢があることに驚きました。
地域によって、条例や火葬場のルールで、引き取り必須のところもあるようですが、
火葬場で供養(処分)してくれる地域も多いようです。

行きつくところまで行ってしまったような感じですが、
遺族がそれで納得してるなら、それで良いのかなという印象です。
そもそも葬儀も法事も、亡くなった本人のためよりも
遺された人々のケアの意味合いが強いと思うので、
遺族が好きなようにすればよいのかなと。

本作では、「0葬」の具体的な内容というよりは、
なぜ「0葬」というものが生まれてきたのか、その背景にはどんな環境要因があるのか
というような分析が具体的にされており、興味深かったです。

墓に遺骨を納めて供養する 
⇒ どの家も墓が必要になる
⇒ 人口が増え家が増えると必要になる墓の数も増える
⇒ 日本の土地は狭く墓にできる土地も限られている
⇒ 墓の取り合いになる
⇒ 墓が高騰する
⇒ 安く供養できる方法が求められるようになる

宗教とか信心とかのアプローチではなく、
経済的なアプローチで「0葬」へ行く着く過程を描いていて
社会科学的に面白い題材だなと思いました。

宗教学的な考察も必要だと思いますが、
葬儀の費用の推移とか、お布施の相場とか、
とにかく下世話なデータをしっかり集めて、これまでブラックボックスだった部分を
明らかにしていくというのも、社会学者として重要な活動だなと思いました。

現代の宗教というもののデータを記録し、考察を行い、推移を観察する、
今の時代というものを掴むのに、面白い研究だなと思いました。

本作を、「0葬」のガイドブックとして期待すると、がっかりすると思います。
本作はあくまで社会学の本だと思います。


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『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』
- 2013/08/13(Tue) -
島田裕巳 『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』(幻冬舎新書)、読了。

オウム真理教事件により、ケチがついた著者ですが、
いつの間にかスルスルっと表舞台に戻ってきましたね。
というわけで、試しに一冊読んでみました。

タイトルからして、何か浄土真宗の謎的なものを解説しているのかと思いきや、
その回答は最後の10ページにしかありません。
しかも、至って真っ当なお答え。

本文の大半は、日本における相応の信徒が居る宗派の解説に充てています。

その解説自体は、オーソドックスで分かりやすかったです。
開祖の生涯から、教えの内容、宗派としての歴史、そして今というように、
一通り知ることができます。

ま、その分、著者の名前から想像するキワモノ感や、
タイトルから想像する意外性を求めて読むと、
ガッカリすると思います。

お盆前に読むには、良い本だったかな。


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