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『「法令順守」が日本を滅ぼす』
- 2019/05/16(Thu) -
郷原信郎 『「法令順守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、読了。

タイトルに惹かれて手に取ったものの、
著者の名前を見て、「う~ん、買おうか買うまいか・・・・」と悩んだものの
えいやっ、と買ってきました。
ま、50円だったし(笑)。

法令が構築する「理想の社会」と、現実社会が求める理想の社会にはギャップがあるので
法令をどれだけ一生懸命守っても、本当の理想の社会にはならない・・・・という話かなと
自分なりには解釈しました。
前に読んだ『思考停止社会』と、同じことを言っているのだと思います。

ライブドア事件、耐震偽装事件、パロマ事件など
世間を騒がせた事件を具体的に解説して、何が違法だったのか、何が社会的に反していたのかを
具体的に解説しているので、分かりやすいです。

ただ、これらの事件が起きた経緯と、
形式的なコンプライアンス(=法令順守)主義とは、根っこが別の話だと思うんですよね。
「とにかく法令を言われたとおりに守っていればよい」という思考停止のコンプライアンス信仰と、
先ほど挙げた事件を起こした人たちの意図的な脱法の発想は、
全く違う思考回路から出てきてると思うんです。

なので、タイトルでなされた問題提起に、この本は答えていないのではないかなと思います。
看板と中身にズレがるというか、違う方向を向いているというか。

腑に落ちた感が得られない読書となりました。




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『思考停止社会』
- 2016/02/04(Thu) -
郷原信郎 『思考停止社会』(講談社現代新書)、通読。

実家のお店のお客様からのいただき本。

何か決められたルールを遵守することのみに心血を注ぎ、
その本質的な意義を問うことを止めてしまうことで陥る思考停止社会。
その問題提起は正しいと思います。

でも、この人の本って、自分が関わった案件について、自分の活躍話になってしまって、
客観的に社会問題に対する問題提起や解決策の提言というレベルに至っていない印象を受けます。
俺って頑張ったでしょ!的な。

冒頭の不二家や伊藤ハムの食品「偽装」問題に対する社会の異常な反応は、
確かに、実際のリスクに対して過剰な批判が巻き起こったということで、
その思考停止的な世論のありようを批判したくなるのは分かります。

「正しく不安がる」という落ち着いた姿勢は、成熟した社会において、重要なものだと思います。
そして、日本人は、例えば地震のような、何度も経験しているリスクに対しては、
世界が賞賛するほどの落ち着き払った行動が取れる一面を持ちながら、
あまり経験のない事象に直面したり、マスコミが報道で煽ると一気に火がついたりする
極端な反応も目に付きます。

だからこそ、事態を正しく把握し、評価しようという姿勢は大事なのですが、
「不二家の偽装は衛生上も品質保持上も全く問題のないものだった」と言い切ってしまうのは、
読者へのアプローチ方法として適切ではないと思います。
言いたいことはそれだったとしても、もっと表現の仕方があるだろうにと思います。

こういう極端な物言いをしてしまうところが、
私が、この著者を、主観的な自分語りの人だと思ってしまう理由なのだろうなと思います。

自分も、文章表現やアプローチ方法に気をつけよう・・・・ということで、
反面教師にしたいと思います。


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『検察崩壊』
- 2014/01/13(Mon) -
郷原信郎 『検察崩壊』(毎日新聞社)、読了。

民主党政権時代、正直、全く政治に興味が持てなくなり、
小沢氏関連の事件も、ほぼスルーしてました。
なので、このような検察によるでっち上げ事件が起きていることは
認識できていませんでした。
実家に帰ったとき、たまたま見た『そこまで言って委員会』で
石川元議員が呼ばれていろいろ主張してたのをチラッと見たことがあるぐらいで・・・。

で、なぜ、こんなものを読んだのかというと、
父が知人からもらった本の箱の中に入っていました。
自分では買わない本ということで、試しに・・・・。

本作では、当事者や関連者との対談により、
検察側がどのような「でっちあげ」を行ったかを暴いていきます。

ただ、当の事件の内容を把握してない人間には、
超簡単な概要説明だけしかなされないので、付いていくのが大変でした。

あと、この事件における「でっちあげ」のポイントは分かりましたが、
「でっちあげである」ということを一生懸命訴えているだけで、
「なぜ検察がそんなことを行ったのか」という大局的な視点が弱いので、
「検察って酷いことするのねー」という感想以上のものが抱きにくいです。

「こんなことを狙って検察は事件を作り上げようとした」
「最終目的は、こういうことだ!」という観点の提示があると、
「あぁ、日本の世の中は、そういう方向に誘導されようとしていたんだ」
「流されてしまわないように注意しなきゃ」というように、
自分の問題として落とし込むことができます。

佐藤優氏の本
にあって、この本に無いのは、そういう大局観かなと思いました。
そこが物足りない・・・・。

それにしても、「対検察」「検察の陰謀」というジャンルが、
鈴木宗男氏、佐藤優氏の事件以降、出来上がった感がありますね。


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