『捜査一課長』
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- 2016/12/08(Thu) -
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清水一行 『捜査一課長』(祥伝社)、読了。
長らく読んでいなかった清水一行さんの作品。 久々に。 心身障害児を受け入れる施設で、 重度の障害児2名が相次いで行方不明となり、数日後、浄化槽の中から見つかった・・・・。 心身障害児が被害者ということで、暗い気持ちにさせられる事件ですが、 さらに、施設の労働組合などが絡んできて、捜査への抵抗とか協力拒否とか 嫌らしい展開を見せていき、鬱々とした気分になります。 当初、会話文のところが、なんだか違和感を感じる返しが目について、 それが演出や伏線ならともかく、単純に会話の応酬が成り立っていないというか 読みづらいというか・・・・。 ちょっとしんどかったです。 でも、中盤あたりから捜査の様子がじっくり描かれるようになり、 そこから物語の世界に入っていけました。 大きなどんでん返しや、急展開があるわけではなく、 非常にコツコツと地道でオーソドックスな捜査が展開されていくのですが、 小さな成果から次の展開が開けてくる様子や、 取り調べで容疑者を追い込んでいく様子など、興味深く読みました。 ただ、動機って何なんだろう?という疑問には、 読み通しても、なんだか腑に落ちない感じで、 尻切れトンボで終わってしまいました。
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『背信重役』
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- 2007/09/16(Sun) -
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清水一行 『背信重役』(徳間文庫)、読了。
読み応えのある作品でした。 財閥グループ内の企業再編を発端とした役員間の覇権争い。 財閥系だと、やっぱりこういうのあるのかしら?と思いながらも M菱グループをモチーフにしているみたいなので、 やっぱりあるんでしょうねぇ。 これに比べると、うちの会社の常務会・取締役会なんて なんて穏やかなんでしょう・・・という感じです。 なんせ、親会社の銀行様がすべて牛耳ってますからね。 この覇権争いが象徴的に表れてくるのが 「飲み代の原資の奪い合い」というのだから、 なんとも子供じみた争いだと感じるのですが、 意外と大会社の社員レベルをも巻き込んだ人事抗争なんて、 そんなものなのかもしれません。 副社長・山崎は、策士タイプの黒幕化と思いきや、 社長の座に担ぎあげられ、その機会を利用できずに実権を握れないダメ経営者。 実際、銀行から送り込まれる人材なんて、このパターンが多いような(苦笑)。 自分の会社の役員連中の顔を思い浮かべながら読んでいくと 二重に楽しめる作品でした。
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『名門企業』
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- 2007/07/29(Sun) -
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清水一行 『名門企業』(角川文庫)、読了。
企業小説の短編集だと持って買ってきたのですが、 思いのほか艶っぽい作品が並んでいて、ちょっと吃驚。 通勤電車には合いませんでした。 作品としても、 筋の通らない主張をする主人公が多くて、ちょっと辟易。
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『燃え盡きる』
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- 2007/03/19(Mon) -
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清水一行 『燃え盡きる』(徳間文庫)、読了。
城山三郎作品を愛読しながら、 清水一行作品は、これがお初です。 そして、何で今まで読まなかったんだろうと後悔しました。 三菱重工社長・牧田與一郎の死の目前の数十日間だけを描いた作品でありながら、 牧田與一郎という経営者がどのような人物だったのか、 経営哲学、判断基準、行動力、人脈、人徳、 これらあらゆることが凝縮されて描かれており、 この人物の人生を読んだような気持ちになりました。 文章の読みやすいテンポ、臨場感ある会話の描写、 過去のエピソードを組み込んでもすんなりと読める構成、 いずれも流石大作家です。 作品の多い方なので、当分楽しめそうです。
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