『日本の地下人脈』
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- 2013/10/05(Sat) -
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岩川隆 『日本の地下人脈』(祥伝社文庫)、読了。
戦争中に軍部や満州、上海で培った人脈を基に 戦後の日本で暗躍、または表舞台で活躍した人物に迫ったルポルタージュ。 取り上げられている人物には、以前から興味があったので、 その権力の源が分かるかと思って読んでみました。 人脈がどのように培われたのかは書かれていますが、 インタビューをしている相手のうち、紙面を割いているのが どうも敵対的もしくは腹に一物ある感じの関係の人が多く、 言葉の端々に、やっかみやいらだちを感じてしまいます。 戦後の混乱期を走り抜け、 今の日本の基礎を裏側で作り上げた人々のエネルギーあふれる話を期待していたのですが、 どうにも爽快感のない描写で、読んでいてやや疲れました。 ま、そのような爽やかさは、週刊誌記者あがりの著者に期待するのが 間違っているのかもしれませんが・・・。
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『上着をぬいだ天皇』
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- 2012/05/23(Wed) -
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岩川隆 『上着をぬいだ天皇』(角川文庫)、読了。
昭和天皇の日常に迫った作品です。 毎日、どのような生活をされているのか、 歯磨き、朝食、御璽、生物学研究、夜の検診・・・・・ これら日常の一コマひとコマを描写していきます。 そこに描かれるのは、昭和天皇、香淳皇后の優しいお心遣い、 周囲の人々への配慮、国民への温かい眼差し、 そして天皇と皇后の間の夫婦愛の姿です。 今上天皇に比べて、やはり戦争の歴史を直接背負っている昭和天皇は、 どうしても国民との距離を感じてしまっていました。 それは、悪い意味ではなく、現人神であった立場から人間宣言をされて、 国民の側に一生懸命近づこうとされた努力の姿勢が、 反対に、両者の間に距離があるという現実を際立たせていたのだと思います。 今上天皇は、皇后さまともども、より一層の温かな眼差しで国民を見守り、 また、精神面で守ってくださっていると何かにつけて感じますが、 それは、昭和天皇が、戦後40年の間に、ここまで国民と皇室との間の距離を 縮めたからのことなのだと、改めて感じ入りました。 『おことば』でも感じましたが、 昭和天皇、そして今上天皇は、 日本民族の文化や歴史の結晶のような存在なのだと思います。 きっと、大正天皇や明治天皇もそのような方だったのではないかと思います。 敗戦の際に、ここまで堂々と戦勝国側に会いに行った国家元首は そうそう居ないのではないでしょうか。 無謀な戦争の拡大は、日本の過ちでしたが、 その敗戦を受け入れる姿勢を元首自ら示したという精神の潔さは、 誇るべきものではないかと思います。 いつか、終戦前後の昭和天皇を描いた作品を読んでみたいです。
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