『結婚相手は抽選で』
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- 2016/07/27(Wed) -
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垣谷美雨 『結婚相手は抽選で』(双葉文庫)、読了。
お初の作家さんです。 それほど期待せずにお試しで買ってみたのですが、 予想以上に面白くて一気読みでした。 25歳~35歳の独身男女を対象に、 政府がお見合い相手を抽選で決めて、3人以内に結婚しなさいという法律案が審議中。 3人目も断ると、即、テロ対策後方活動支援隊という名の軍隊もどきに強制入隊。 国民の非難轟轟の中、法案は通過してしまう! 単なる少子高齢化対策としてだけでなく、 軍備増強や、僻地への医療派遣など様々な国家課題の解決策として この法案が用意されているという設定が、まず興味深いです。 そして、この法案成立を受け、右往左往する青年男女の姿を追っているのですが、 オタクだったり、子離れできない母を抱えた娘だったり、 成金の親のコネでなんの考えもなく生きてきた高慢娘だったり、 まさに現代の若者を登場させることで、 若者が抱える社会問題というものも描いています。 でも、重苦しくなく、若者らしい軽いタッチで物語は進み、 しかしながら、彼らの婚活を通しての気づきは、人間らしさや社会性を取り戻すのに 重要な視点だったりして、私も読んでいて一緒に勉強した気分です。 結末は、ちょっと都合よくまとめ過ぎた感じがありますが、 それぞれに納得した人生が歩めているというのは、 読者としてホッとするところです。 タイトルは、もうちょっと工夫がほしいなぁというところですが、 内容は面白かったです。
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