『異端のすすめ』
|
- 2023/07/04(Tue) -
|
橋下徹 『異端のすすめ』(SB新書)、読了。
上海電力問題でネット上が騒々しかった時、 ついに橋下さんもバッシングのレベルにとどまらない 公式な失策が記録されちゃうのかなぁ・・・・と、かなり興味をもって眺めてましたが、 大阪市職員も意外と橋下さんを守る側に回ったのか、それとも攻める側のジャーナリストの力不足か、 うやむやのまま静かになっちゃいましたね・・・・。 ジャーナリストの山口敬之氏が『Hanada Plus』上で追及している間は、結構きちんと 取材で詰めていっている印象を受けたのですが、百田尚樹氏が自分の動画チャンネルで騒ぎだしてから 私怨も交じって変な方向に行っちゃった気がします。 山口氏も組む相手を間違えたというか、やはり放送作家は刹那的な面白さ最優先なので ジャーナリズム的な追及の仲間にはなり得ないかな・・・・・と。 というわけで、結局、言論人というか、テレビコメンテーターのポジションを維持し続けている著者。 とりあえず上海電力の件を横にどけて、素直な気持ちで読んでみると、 やっぱり橋下氏の戦略的な仕事の向き合い方は説得力が高いです。 私もそういう風に動きたいと思う思考法と行動原理が、私の何倍もの濃度で展開されていて、 やっぱり成功する人は行動原理が明確だなと再確認できました。 若いときは経験がないからスピードを重視するという考え方は、 私自身も新人のころ特に気を付けていたポイントでした。 まず、上司に何か指示されたら全て受け入れてすぐに対応する、 簡単に結論や結果が出なさそうなときは進捗を適宜報告するなどなど。 ビジネスマンにとって、勉強になる言葉が多いなと思う本でした。 賛否は起きやすい人だけど、やっぱり面白いなと思います。 必ずしも全部には賛成できないけど、そう考えた理屈も込みで発言されるので 批判もしやすいのが、分かりやすくて良いです。 あと、この人はどうやってメディアに出てきたんだろう?というのが この本で詳しく紹介されており、ラジオの生放送で当初予定の弁護士がドタキャンになり 急遽ピンチヒッターとして学校の先輩のラジオディレクターからの相談に対応したとのこと。 初のメディア出演で、生放送、しかも直前のオーダーで、 よりによってテーマが当時発生直後の酒鬼薔薇事件という四重苦の状況なのに、 「出ます!」と即断即決する胆力。そりゃメディア関係者は重宝しますよね。 この出演を機に、大阪の番組にレギュラーで参加する機会を得て、 さらに東京キー局のテレビ番組にも呼ばれて・・・・という展開も納得。 Twitterを直接フォローするのは毒が強いので、 ネットニュース経由ぐらいで今後も注目していこうと思います(苦笑)。 ![]() |
『反ポピュリズム論』
| ||
- 2016/03/20(Sun) -
| ||
渡邉恒雄 『反ポピュリズム論』(新潮新書)、読了。
ナベツネ氏自ら、自身の最後の書になるだろうとして書き上げた 衆愚政治化する日本の状況を批判した一冊。 小泉政権~菅政権あたりへの批判、そして、これら政権への国民の不満が 表出した一事例として登場した橋下府知事・大阪市長について 思う存分意見を述べています。 最初の印象は、現在の政治状況の考察や提言については意外とまともな意見が多く、 読んでいて勉強になりました。 ただ、読売グループ会長・主筆としての立場でどんな行動をしようとしているのかというと、 やはり政治の世界に踏み込みすぎなのではないかと感じてしまいます。 テレ朝の椿事件について強く批判をしていますが、 ナベツネ氏の政界に対する行動も同じように感じられてしまいます。 椿氏は、テレビ番組の内容を偏向したものにして世論を作り上げようとしたわけですが、 ナベツネ氏も多くのメディアからその動向が注目される立場になってしまっている以上、 新聞の記事を偏向させようとする意図はなくとも、読売会長のナベツネ氏が 公の場で発言したことは、聞いた側は、読売の意見として捉える可能性も十分考えられ、 マスコミの公平性について論じるのであれば、自分の行動も控えるべきではないかと感じました。 読売グループにおける立場からリタイアした後であれば、 何を言おうが、どの政治家と会おうが、何を画策しようが、 それは個人の政治活動だと思うので、あれこれ周囲が言う筋合いのものではないと思いますが。 ま、「マスコミの公平性・客観性」なんて、ないものねだりに過ぎないのですが(爆)。
![]() |
||
『体制維新 - 大阪都』
| ||
- 2016/01/13(Wed) -
| ||
橋下徹、境屋太一 『体制維新 - 大阪都』(文春新書)、読了。
橋下さん、政界から引退してしまいましたね・・・・。 結構、各政治課題に対する主義主張は、賛同できるものもあったので残念です。 この政治家の、言葉や仕草による表現の仕方は私好みではないのですが、 しかし存在が気になってしまう大きな理由は、各政治課題の中で何が論点かを絞って提示し、 世の中の関心をひきつけ、議論を巻き起こすことが得意な政治家だったということです。 その世の中の議論は、得てして、見当違いなものも引き寄せてしまい 発散ばかりで収束が見られなかったり、橋下氏の主張を曲解しているものも多かったのは 日本人の政治感覚の幼さが明らかになり残念ではありましたが、 しかし、多くの人の関心を政治に向けることに成功していたという力量は素晴らしいと思います。 本作でも、素晴らしいと思ったのは、 当時の大阪府知事の立場で、府が抱える1個1個の課題に対する主義主張を並べるのではなく、 大阪府という大きな組織を俯瞰して、一体どうすれば府が変革できるのかという 大きな視野で語っていることです。 そして、個別課題の対策ではなく、組織制度としての構造改革を行う必要性を重ねて述べて、 そのための知事として民意を引き寄せるための方法論や、行政と連携していくための ルールや運用面での必要なプロセスをきちんと考慮していることが語られており、 言うだけでなく「実行しよう」としている覚悟が伝わってきます。 あくまで、執筆当時にやりたいと思っていることが述べられているだけなので、 それがどれだけ実現されたかは、府民の方々が判断、評価すべきことでしょうが、 その姿勢や行動計画の立て方は、非常に勉強になりました。 今後どのような活動を行う予定なのかは知りませんが、 評論家ではなく、実行家のままで居て欲しいです。
![]() |
||
『橋下主義を許すな!』
| ||
- 2013/06/23(Sun) -
| ||
内田樹、香山リカ、山口二郎、薬師院仁志 『橋下主義を許すな!』(ビジネス社)、読了。
図書館に本を返しに行ったときに目に留まった一冊。 「え、区立図書館にこんな政治的メッセージの詰まった本を置いて大丈夫なの!?」と 驚いて、ついつい読んでしまいました(爆)。 現在も様々な問題でご活躍の(苦笑)橋下市長ですが、 とにかく問題提起には熱心で、そこにシンプルな二項対立の軸を描く手腕は素晴らしい。 テレビの手法を政治に見事に取り込んでいます。 きっと弁護士という仕事も、複雑な事情をいかにシンプル化して共感を得るかなんでしょうね。 で、問題は、この「シンプル化」の作業。 本質をシンプルに整理して見せられれば、これほど市民にとって助かることはないわけで、 これまでブラックボックス化されていた政治について関心をもち、 意見を言う切っ掛けになると思います。市民の政治力が上がると思います。 ところが、「シンプル化」の過程で、本質を間違ってとらえてしまうと、 議論そのものを空転させるだけでなく、ミスリードするんですよね。 さらに悪いのは、意図的に「シンプル化」の対象を本質からずらすこと。 これって隠蔽です。 橋下市長の政治の進め方に賛同する人たちには、 各課題での「シンプル化」が適切に行われているかチェックする機能を きちんと自分たちの中に備えておかないと、どこかで自爆しちゃうと思います。 で、本作ですが、内田センセの主張は、ちょうど著作を読んだばかりだったので 分かりやすかったですが、後半の鼎談に関しては、 部外者が評論家の立場でコメントしているだけで、 同時代性が感じられないというか・・・・ なんだか過去の出来事に対して、コメントしているような傍観的な印象を受けました。 大阪で人を集めてまで行う意義があった鼎談だったのでしょうか? なんだか、橋本政治に不満を持つ人たちが、不満の存在を確認し合っただけで、 不満の解決方法を描くきっかけにはなっていないように思いました。
![]() |
||
| メイン |
|