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『実行力』
- 2022/05/12(Thu) -
橋下徹 『実行力』(PHP新書)、読了。

最近、あちこちで炎上してますね、橋下さん(苦笑)。
ウクライナ関連の発言や中国関連の発言は「炎上」の範囲内だと思いますが、
今問題になっている上海電力の件は、炎上というより疑惑ですよね。
結構ヤバそう。

もともと橋下さんの、それこそ「実行力」は信頼してました。
実際に維新の会が大阪の財政状況の立て直しを進めており、その端緒は橋下さんが作ったものだと思います。
「実際に改革をしたのは松井さんや吉村さんだ!」という反論もあるのかもしれませんが、
でも、維新による改革の最初のムーブメントは、やっぱり橋下さんの功績だと思います。
松井さんだけでは実力があっても地味なので市民や府民の気持ちに火をつけられたか疑問ですし
吉村さんは、橋下さんや松井さんによる抜擢があってこその活躍のように思います。

なので、橋下さんが政治家を引退したときは残念だなと思いましたし、
その後もネットニュースでその発言は結構追いかけていたつもりです。
政界に近いところから発言することで、良い影響を与えてくれたらなと期待していたのですが、
先日の北村弁護士との対談番組を見て、「あー、こんな人になってしまったのか・・・・」と
正直、気持ちが冷めてしまいました。

北村弁護士の発言を遮る、上から被せるように大声で発言する、「違う違う」と連呼する、
顔をしかめる、睨むようなきつい目つきをする、そして、ぐいぐい酒を飲む。
建設的な議論だったり、自分の意見をきちんと説明しようとしたりする姿勢には見えませんでした。
北村弁護士を論破し、「すみません」もしくは「わかりません」と言わせようというところが
ゴールになっているような対決姿勢に見えました。

そんな残念な気持ちで、積読だった本作が目に留まったので読んでみました。
大阪市長に初当選してから、政治家引退をするまでの数年間に
実際に大阪市や大阪府の行政の長として取り組んできたことを、
具体的な実例をもとに、どういうスタンスで仕事に当たってきたかを説明しています。

もし、北村弁護士との対談動画を見ていなかったら、本作の感想は今まで通り、
「やっぱり橋本氏の決断力や実行力、腹のすえ方は凄いなぁ」と感心して終わってたっと思うのですが、
今回の読書では、「なんで、あの動画ではあんな姿勢だったんだろう?」とモヤモヤしてしまいました。

読み終えて何となく感じているのは、行政が抱えているような課題は、
「金が足りない」「人手が足りない」「能力が足りない」「理解が足りない」というような
ある程度、課題が数値化できたり誰が評価しても課題として認識できたりして
客観的に課題の度合いが共有できるので、「この課題に取り組むぞ!」とリーダーが意思決定し
部下からすると、リーダーが腹くくって取り組むというなら自分も仕事として頑張ろうと受け入れ、
皆が入れ動き始めたら、ちゃんと成果が出るという、ある種、分かりやすい構造にあるのかなと。

それに比べて、今、炎上している案件は、どちらかというとイデオロギーに根差した価値観が
大きく影響している事象(ウクライナ人は侵略にどう向き合うべきか、中国は「悪」なのか等)のようで
人により、立場により、見解が180度変わるようなものなので、行政課題の解決のような
一人のカリスマが「こうだ!」と高らかに発言しても、解決するどころか議論に燃料投下するような
そんな感じになってしまうのかなぁと。
さらに、橋下さんは口が悪いので、一層燃えやすいのかなと。
そしてプライドが高いので、他者からの意見には超絶キツイ言葉で反論するので、一層一層燃えるという。

維新の会との関係も切れてしまった今、親身になってこの難局を助けてくれる人が
どれぐらいいるんだろう?と心配にすらなってしまうほど。
まぁ、維新の会も「もう関係を持つのはデメリットの方が多い」と判断してのことかもしれませんが。






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『大阪維新で日本は変わる!?』
- 2018/10/10(Wed) -
福岡政行 『大阪維新で日本は変わる!?』(ベスト新書)、通読。

最近、橋下徹さんが出演しているネット番組を時々見るようになったので、
知事や市長をやっていたときよりも、橋下さんへの関心が高まってます。

で、タイトルを見て、そもそも橋下さんが何をやりたくて
大阪維新の会を立ち上げたかわかるかな?と思い、買ってきました。
ちなみに、著者の名前は知りませんでした。

が、読んでみてガッカリ。
タイトルだけで、維新の会について深く掘っているページは全くありません。
維新の会もみんなの党も登場してきますが、
批判している内容が凄く表面的なことばかりで、
ワイドショー的な目線で語っているように感じました。

もっと、ローカルパーティーズが出てきた歴史的意味とか、
それぞれの党の方針や存在力、今後の展望などを知りたかったのですが。
(ま、知ったところで、過去の時点での評価に過ぎないのですが)

あとで著者のことを調べたら、
結構、TVとかに出て、解説なりコメンテーターなりしてた人みたいですね。
うーん、論客というよりは、TVコメンテーター的な人だったのかな。




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『反ポピュリズム論』
- 2016/03/20(Sun) -
渡邉恒雄 『反ポピュリズム論』(新潮新書)、読了。

ナベツネ氏自ら、自身の最後の書になるだろうとして書き上げた
衆愚政治化する日本の状況を批判した一冊。
小泉政権~菅政権あたりへの批判、そして、これら政権への国民の不満が
表出した一事例として登場した橋下府知事・大阪市長について
思う存分意見を述べています。

最初の印象は、現在の政治状況の考察や提言については意外とまともな意見が多く、
読んでいて勉強になりました。

ただ、読売グループ会長・主筆としての立場でどんな行動をしようとしているのかというと、
やはり政治の世界に踏み込みすぎなのではないかと感じてしまいます。

テレ朝の椿事件について強く批判をしていますが、
ナベツネ氏の政界に対する行動も同じように感じられてしまいます。
椿氏は、テレビ番組の内容を偏向したものにして世論を作り上げようとしたわけですが、
ナベツネ氏も多くのメディアからその動向が注目される立場になってしまっている以上、
新聞の記事を偏向させようとする意図はなくとも、読売会長のナベツネ氏が
公の場で発言したことは、聞いた側は、読売の意見として捉える可能性も十分考えられ、
マスコミの公平性について論じるのであれば、自分の行動も控えるべきではないかと感じました。

読売グループにおける立場からリタイアした後であれば、
何を言おうが、どの政治家と会おうが、何を画策しようが、
それは個人の政治活動だと思うので、あれこれ周囲が言う筋合いのものではないと思いますが。

ま、「マスコミの公平性・客観性」なんて、ないものねだりに過ぎないのですが(爆)。


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『体制維新 - 大阪都』
- 2016/01/13(Wed) -
橋下徹、境屋太一 『体制維新 - 大阪都』(文春新書)、読了。

橋下さん、政界から引退してしまいましたね・・・・。
結構、各政治課題に対する主義主張は、賛同できるものもあったので残念です。

この政治家の、言葉や仕草による表現の仕方は私好みではないのですが、
しかし存在が気になってしまう大きな理由は、各政治課題の中で何が論点かを絞って提示し、
世の中の関心をひきつけ、議論を巻き起こすことが得意な政治家だったということです。

その世の中の議論は、得てして、見当違いなものも引き寄せてしまい
発散ばかりで収束が見られなかったり、橋下氏の主張を曲解しているものも多かったのは
日本人の政治感覚の幼さが明らかになり残念ではありましたが、
しかし、多くの人の関心を政治に向けることに成功していたという力量は素晴らしいと思います。

本作でも、素晴らしいと思ったのは、
当時の大阪府知事の立場で、府が抱える1個1個の課題に対する主義主張を並べるのではなく、
大阪府という大きな組織を俯瞰して、一体どうすれば府が変革できるのかという
大きな視野で語っていることです。

そして、個別課題の対策ではなく、組織制度としての構造改革を行う必要性を重ねて述べて、
そのための知事として民意を引き寄せるための方法論や、行政と連携していくための
ルールや運用面での必要なプロセスをきちんと考慮していることが語られており、
言うだけでなく「実行しよう」としている覚悟が伝わってきます。

あくまで、執筆当時にやりたいと思っていることが述べられているだけなので、
それがどれだけ実現されたかは、府民の方々が判断、評価すべきことでしょうが、
その姿勢や行動計画の立て方は、非常に勉強になりました。

今後どのような活動を行う予定なのかは知りませんが、
評論家ではなく、実行家のままで居て欲しいです。


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『橋下主義を許すな!』
- 2013/06/23(Sun) -
内田樹、香山リカ、山口二郎、薬師院仁志 『橋下主義を許すな!』(ビジネス社)、読了。

図書館に本を返しに行ったときに目に留まった一冊。
「え、区立図書館にこんな政治的メッセージの詰まった本を置いて大丈夫なの!?」と
驚いて、ついつい読んでしまいました(爆)。

現在も様々な問題でご活躍の(苦笑)橋下市長ですが、
とにかく問題提起には熱心で、そこにシンプルな二項対立の軸を描く手腕は素晴らしい。
テレビの手法を政治に見事に取り込んでいます。
きっと弁護士という仕事も、複雑な事情をいかにシンプル化して共感を得るかなんでしょうね。

で、問題は、この「シンプル化」の作業。
本質をシンプルに整理して見せられれば、これほど市民にとって助かることはないわけで、
これまでブラックボックス化されていた政治について関心をもち、
意見を言う切っ掛けになると思います。市民の政治力が上がると思います。

ところが、「シンプル化」の過程で、本質を間違ってとらえてしまうと、
議論そのものを空転させるだけでなく、ミスリードするんですよね。
さらに悪いのは、意図的に「シンプル化」の対象を本質からずらすこと。
これって隠蔽です。

橋下市長の政治の進め方に賛同する人たちには、
各課題での「シンプル化」が適切に行われているかチェックする機能を
きちんと自分たちの中に備えておかないと、どこかで自爆しちゃうと思います。

で、本作ですが、内田センセの主張は、ちょうど著作を読んだばかりだったので
分かりやすかったですが、後半の鼎談に関しては、
部外者が評論家の立場でコメントしているだけで、
同時代性が感じられないというか・・・・
なんだか過去の出来事に対して、コメントしているような傍観的な印象を受けました。

大阪で人を集めてまで行う意義があった鼎談だったのでしょうか?
なんだか、橋本政治に不満を持つ人たちが、不満の存在を確認し合っただけで、
不満の解決方法を描くきっかけにはなっていないように思いました。


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