『生活者起点の「行政革命」』
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- 2022/10/05(Wed) -
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北川正恭 『生活者起点の「行政革命」』(ぎょうせい)、読了。
昨日読んだ地方行政の改革本が自分的に不発だったので、 積読の山の中をゴソゴソ探したら、元三重県知事の北川さんお本が出てきました。 今まで何冊か北川さんの三重県行政改革に関する本は読んできましたが、 いずれも部下なり第三者なりの手によるものだったので、 本人が書いたものは、一層、思いの部分が強く伝わってくるかなと思い読んでみました。 北川さんは、三重県議を何期も務めてきた人なので、 三重県庁という組織がどんなものなのか、十分理解したうえで県知事として乗り込んできたと 思われます。反対に、職員の側も、北川という人物がどういう考えを持ち、どういう動き方をするのか ある程度は心構えみたいなものが出来ていたのではないかと思います。 だからこそ、北川さんの打ち出した改革方針というのは、 当時の日本の地方行政においては、非常に革新的なものだったと思いますが、 知事と職員の間で、そこまで大きな衝突が起きなかったのかなと感じました。 (まぁ、そういうところは端折って書いてる可能性もありますが) あっけにとられて、困惑し、不安になった職員はたくさんいたと思いますが、 例えば元大阪府知事の橋下さんの時のような職員の抵抗は少なかったのではないかと想像。 北川氏の改革の進め方が上手くいったのは、 何よりも最初に本質的にどういう状態を目指すのかということを「生活者」というキーワードで 明確に打ち出して、それを何度も職員や県民に向けて発信したことかなと思います。 そのうえで、では具体的にどうするかということを、トップダウンで落とすのではなく、 職員と一緒に議論しながら作っていくという、非常に手間のかかるプロセスを踏んで 積み上げていったからかなと思います。 そういう風に、最初から議論の輪に入った職員は、 自分たちのやったことが反発を受けたとしても、成果がきちんと出てきたら 達成感があるし、自信にもなりますよね。 反発があればあるほど、成果が出るのは嬉しくなるし、反発も収束するでしょうしね。 きっと、この時に、北川さんに鍛えられた若手職員さんたちが、 20年経って、今や県庁の重要ポストに就いているのではないかなと思います。 地方行政の改革には、信念のもとで断行するトップの存在と、職員への教育&意識改革、 これが最も大事なのだろうなと、本作を読んで、思いを深めました。 ![]() |
『知事が日本を変える』
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- 2018/09/23(Sun) -
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浅野史郎、北川正恭、橋本大二郎 『知事が日本を変える』(文春新書)、読了。
北川サンのお名前があったので買ってみました。 改革派知事として連携していた浅野サン、橋本サンとの鼎談です。 ただ、鼎談と言いながらも、それぞれが自分の主張を滔々と述べていて、 あまり相互コミュニケーションみたいな流れを感じられない構成でした。 編集部の仕切り方のせいなのか、それとも政治家がしゃべりたがりなのか。 ま、でも、浅野サンや橋本サンの政策って、あまり知らなかったので、 初心者にとっては、それぞれの主張がじっくり読めて分かりやすかったです。 北川サンの政策については、過去に他の本で読んだことがあり、 また当然三重県出身者として、当時は東京に住んでましたが、ニュースなどで その動きをチェックしていたものです。 経済面でシャープ亀山工場の誘致とか、 中部電力の芦浜原発計画を中止させたりだとか、 いろいろ大きな仕事をやっていますが、 やっぱり印象に残るのは県庁職員の意識改革。 本作でも、その話を中心に語っています。 私は、今の三重県職員の方しか知らないのですが、仕事を一緒にし始めたときは、 「へぇ、県職員って、こんなに丁寧で人当たりの良い対応してくれるんだ」と 驚いた記憶があります。 北川改革によって旧態依然とした職員は一掃されたのか、 それとも県民の目が届かない職に配置転換されたのかは知りませんが。 さらに一歩進んで、骨のある、芯のある人材が育ってくれば、 三重県ももっと積極展開できるようになると思います。 それにしても、首長1人の力で大きな組織でも変われるんだなということが 良く分かりました。 リーダーって大事ですね。
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『改革断行』
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- 2017/06/25(Sun) -
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ばばこういち 『改革断行』(KKゼスト)、読了。
三重県の北川県政時代の改革についてまとめた本。 もう、20年近く前の話になるんですねぇ・・・・・。 北川改革を描くにあたり、 北川知事の取材を中心に置くのではなく、 その側近たちへの取材を通して、北川県政のあり方を描いていきます。 なにかにつけて地味な三重県において、 この側近たちが意外と曲者ぞろいというか、 アクの強い人が集まっている印象です。 総務部長だった村尾氏については 前に著作を読んだことがあったので知っていたのですが、 叩き上げの県職員の方々の本音のコメントを取っていて、 そこが面白かったです。 まぁ、一般職員ではなく、昔から異端児とみなされていた 変わりもん職員の言葉なので、どこまでが北川改革の効果なのか、 もともとそういう人だったのかという線引きは難しいですが、 しかし、ずぶずぶの県職員が、こういうインタビューに本音で答えているのは、 県庁の風通しが良くなったからなんだろうなと思います。 今の三重県庁とは、私も仕事でのおつきあいがあるのですが、 北川県政のときほどの緊張感ではないのだろうなと思いつつ、 でも、その時に培った行動力みたいなものが、今の鈴木県政でも 土台になっているのだろうなと思います。 もうちょっとガツガツした職員さんがいても良いかなとは思いますが。 トップが変われば組織が変わるということを 証明してみせた首長さんだと思います。 ![]() |
『行政を変える!』
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- 2015/12/05(Sat) -
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村尾信尚 『行政を変える!』(講談社現代新書)、読了。
タイトル買いしたのですが、 読み始めたら「三重県庁に出向」と出てきてビックリ。 慌てて経歴を検索したら、NEWSゼロのキャスターさんだと分かり、これまたビックリ。 三重県知事選で敗北(しかも3位という半端さ・・・)とか、いろいろ面白い経歴の人ですね。 前半で語られている、三重県庁の総務部長としての出向時の行政改革の話が面白かったです。 北川知事による大改革が進んだ三重県は、革新知事のいる県として当時もてやはされてましたが、 当然、知事一人の力で改革ができるわけでもなく、 著者のような参謀格の人と、さらには実行部隊の県庁職員さんの活躍があってこそであり、 総務部長の目を通して、県庁職員が変わっていく様が描かれているくだりが 特にぐっときました。 素朴な土地柄なので、組織に火がつくと真剣にまじめに取り組むんだろうなと想像します。 後半の、著者自身の県知事戦への出馬のエピソードは、 知事選を通して何を主張しようとしていたのかが良く分からず、 なんだか活動日記を読んでいるような内容の薄さでした。 これでは、当選しないわなぁ。
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