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『カイシャを辞めて就く仕事』
- 2018/09/16(Sun) -
浅川純 『カイシャを辞めて就く仕事』(祥伝社文庫)、読了。

子会社に単身赴任で出向したまま、不況のあおりで本体に戻れず
ヤキモキしている男のお話。

私立探偵に「自分が本体復帰できる可能性を調べてくれ」と依頼し
「復帰の可能性はない」との冷たい回答を得たところで探偵と関係が始まるので、
てっきり、脱サラして探偵業に鞍替えする話かと思ったのですが、
主人公はサラリーマンという立場に未練があり、ずるずると会社にしがみつきます。

そんな状態で、「妻が不倫してるかも!?」と疑い、
探偵の真似事みたいな行動をとり始めます。
というわけで、本作は、探偵の真似事が軸となっている内容でした。
うーん、緊張感が足りないなぁ。

主人公は、冴えないサラリーマンのように見えて、
実は探偵に必要な特性を持っているというか、
とっさの判断力とかが意外とあるのですが、
「それをサラリーマン稼業に活かせよ!」と、つい思ってしまいます(苦笑)。

途中で、電車に惹かれて死んでしまおうとしているサラリーマンを助けるのですが、
その自殺願望男の人物造詣が、どうみても我が母校の人のよう・・・・。
エリート銀行マンですが、家庭を顧みず仕事に没頭し、その仕事で大失敗をして
精神を病んでしまったかのような設定です。
うーん、うちの大学のイメージって、そんな感じなのかしら。

そんな感情も入り混じって、あまり乗り気のしない読書で終わってしまいました。


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『最終人事の殺意』
- 2008/02/28(Thu) -
浅川純 『最終人事の殺意』(新潮文庫)、読了。

世界進出を果たしている大手電機メーカーにおける
不可解な連続飛び降り自殺事件の真相に
アメリカ帰りの役員が迫る・・・・・・。

なかなか興味深い設定ではあったのですが、
ミステリーなのか企業小説なのか、
軸がはっきりしないまま話が進行していくので、
のめり込むところまではいきませんでした。

3人の死は、いずれも「企業」と「従業員」という枠組みが
良くも悪くもそれぞれ鮮明に表れたようなケースでした。
橋爪副社長の件は、ちょっと極端かな?とも思いますが。

主人公の吉本も、ただスマートなのではなく、
夢を追おうとするもののなかなか軌道に乗せられないという
人間味のあるキャラクターだと思います。
まぁ、最後の最後で自分のどんでん返しの境遇に満足してしまうところは
最も会社人間なのかもしれませんが。

ポイント、ポイントでアクセントとなって登場するカールソンは、
最後までおいしいとこ取りで、素敵な人物でした。


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『わが社のつむじ風』
- 2007/07/05(Thu) -
浅川純 『わが社のつむじ風』(新潮文庫)、読了。

日出製作所 勤労課長が関わる
企業ぐるみ選挙、中堅社員研修、新人教育等の業務の数々を描いた作品。

人事スタッフ系の業務につきものの厭らしい部分がクローズアップされており、
いかにもな日本株式会社的物語が楽しめます。

若干、著者の勤め先であった日立製作所の色が強く出すぎていて
小説としてみたときの魅力が薄れてしまっているような気もしますが、
やはり選挙運動などのくだりは興味深いです。


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