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『新書365冊』
- 2023/01/15(Sun) -
宮崎哲弥 『新書365冊』(朝日新書)、読了。

著者は一時期テレビに出づっぱりだった印象がありますが、
今は著述業の方に集中されてるんですかね。
テレビのコア視聴者層はだいぶ偏ってしまったので
言論空間としては不自由というか、テレビでは発言のし甲斐がないのでしょうね。

さて、『諸君!』で2002年~2006年に掲載された新刊新書の書評コラムがベースですが、
そのコラム、毎月出される新刊の新書を「すべて」読んで、
「Best」「Better」「More」「Worst」を選出するという企画。
著者は毎月60~100冊を読んだということなのですが、
その「知」にかけるエネルギーの凄まじさに感服します。
もちろん、このような雑誌の企画がなかったとしても、著者は大量の本を読んでいるのでしょうけれど。

100冊も読むなら、トンデモ本の類は、最初の方をペラペラっと読んで
途中で読み捨ててるのかなと思いきや、「Worst」としてしっかりと評価を下していて、
しかも文中の物言いに対して「これはあまりにひ酷い!」と鉄槌を下しているので、
トンデモ本も最後まで全部読んでいるのか!とびっくりしました。

さてさて、本作の中で紹介されている本のうち、
既に私が読んでいた本は以下の通り。
 養老孟子 『バカの壁』 More
 香山リカ、福田和也 『愛国問答』 More
 山田真哉 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』 Best
 吉本佳生 『金融広告を読め』 More
 橋爪大三郎 『人間にとって法とは何か』 Best
 田中克彦 『ことばとは何か』 More
 三浦展 『下流社会』 More
 鈴木謙介 『カーニヴァル化する社会』 More
 桑村哲生 『性転換する魚たち』 More
 諸岡達一『死亡記事を読む』 More
 長部日出雄 『仏教と資本主義』 Better
 白取春彦『はじめて知る仏教』 Better
 玄侑宗久 『私だけの仏教』 More
 広瀬弘忠 『人はなぜ逃げおくれるのか』 Worst
 神田秀樹 『会社法入門』 Better
 大竹文雄 『経済学的思考のセンス』 Better

さらに、積読状態で保管しているのは以下の通り。
 赤川学 『子どもが減って何が悪いか!』 Better
 佐伯啓思 『自由とは何か』 Best
 21世紀研究会 『色彩の世界地図』 More
 宮本みち子 『若者が《社会的弱者》に転落する』 Best
※2023.1.22追記※ 正高信男 『ケータイを持ったサル』 Worst


双方、ちょっと抜けてるものがあるかもしれません。
著者の評価と私の感想が重なるものもあれば、反対方向を向いているものもありますが、
新しく読みたい本もたくさん見つかったので、マイリストに追加。

コロナ問題でメディアの寵児になった岡田晴恵氏の著作や
統一教会問題で元信者としてメディアのお声がかかってる仲正昌樹氏の著作も
これらのメディア加熱前の業績として冷静に評価されています。
特に岡田氏に関しては、もともとはまともな仕事をされていたのに、
メディアのせいで社会的には抹殺されてしまったのではないかと懸念してしまいました。




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『さみしさサヨナラ会議』
- 2019/11/03(Sun) -
小池龍之介、宮崎哲弥 『さみしさサヨナラ会議』(角川文庫)、通読。

宮崎センセと若手僧侶の組み合わせで「さみしさ」について討論するというので
面白そうだなと思って買ってきました。

ところが、冒頭からいきなり恋愛、特に性的な部分の話になり、
「このテーマは2人の対談が進んだ中盤に持ってきた方が良いんじゃないの?」と
ちょっと引いてしまいました。

そもそも2人(というか特に宮崎センセ)は、恋愛や性関係について、自身の体験を赤裸々に話しながら
議論を進めていきますが、恋愛や性関係を分析するのに、個人的な体験で論を進めるのは
限界があるのではないかと前から思ってます。
それほど恋愛とは、個人の感情や妄想が深くに入り込み、客観視したり普遍化したりするのが
難しいことではないかと思います。

生物学的な視点で「人間の性とは」「人間社会において恋愛とはどんな効果がるのか」というような
分析をすることは可能だと思いますし、その手の本は面白く読んでいるのですが、
恋愛に関する個々の人間の内面に迫ろうとするのは、無理があるんじゃないかなと。
まぁ、私が覚めてるだけかもしれませんが。

恋愛の話が終わったら、別のテーマに移っていくのかと思ったら、
中盤の終わりごろまでずーっと引きずっていったので、途中から読み飛ばしでした。
最後の章は恋愛そのものからは離れたように思いましたが
もう興味をもって読むことができませんでした。

恋愛は、人間にとって非常に重要な問題だとは思いますが、
こうやって対談して深彫りすべきテーマなのか?(深掘りしたつもりになるべきテーマなのか?)
という点で、共感できませんでした。




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『正義の見方』
- 2016/03/24(Thu) -
宮崎哲弥 『正義の見方』(新潮OH!文庫)、読了。

宮崎氏単独著作としては最初の出版ということで、
もう20年以上前の本となります。

時事ニュースを中心に、当時の世論や議論に対する意見を述べているものが多いのですが、
当時、私は高校生なので、覚えているものもあれば、記憶にないニュースも。

やや時事ネタに寄っている論旨が多いため、
今の時代にあえて読む必要がある本かというとアレですけれど、
世論の流れに押し流されずに、冷静に自分の意見を持つという姿勢の大切さは
本作から伝わってきました。

世論や議論がワーッと盛り上がっている場合、
結構、本質的な問題ではない部分で議論になっていることがあります。
「何か変だな・・・」と思ったときに、
一体何が変なのか、意外と突き詰めないまま終わっていくことが私は多いです。

そんな時に、「本質的な問題は何なのか?」を自分の頭で考えるようになると
思考力が身についていくようになるのでしょうね。

分かっていても、難しいんだなぁ。


正義の見方正義の見方
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