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『何者でもない』
- 2022/06/15(Wed) -
原田宗典 『何者でもない』(講談社文庫)、読了。

原田さん、最近どうしてるのかしら?と思いながら本作を手に取りました。

劇団の中で奴隷扱いの下っ端を生きる主人公と、
その周辺の人々の生き様を描いた中編3本。

同期入団で突飛な言動をするクスコとの物語、
看板俳優が突如誰にも見えない「ロバート」と会話を始める物語、
後輩で自分よりも華がある男が元カノと付き合い始めありきたりな展開に至る物語。

1本目は、自信過剰なのに実績が出せないクスコ、
自分の失敗を曖昧な優しさをみせる主人公に押し付けるクスコ、
自分の恋愛を嘘で固めて主人公に話すクスコ、
どこから見ても、クスコは自分の周りには居てほしくないタイプなのですが、
それでも小説の世界の中で読むと、なんだか憎めない存在に見えるのは、
著者の筆力か、はたまた主人公の無計画な優しさのせいか。
会社の同僚にはなかなかいなさそうなキャラですが
劇団という枠の中になら存在しそうな感じです。

2本目の先輩・光島は、誰もいない空間に向けて「おい、ロバート」と話しかけ、
自然な感じで、楽しそうに、会話を続けるという様子を見せ、
周囲の人々は驚愕しながらも、「一人芝居の練習かも」と自分を無理やり納得させ、
見て見ぬふりで光島をそのまま許容します。
いやー、この意識的無関心さみたいなものが怖いです。
人間って、ここまで自分本位に考えて保身に走れるんだなと。
そうは言いながら、自分も、こんな状況に直面したら、
自分が動かなくても済むように、一生懸命理屈付けしちゃうかもしれませんが。

3本目は、ちゃらんぽらんな後輩に振り回される先輩の話のように見えつつも、
でも、演劇の世界では、華があることが一番、人気があることが一番なんだよなー、結局。
そう思ってしまう内容でした。
主人公がどんなに無い知恵を絞って元カノのためにできることを考えたり、
後輩を説得しようとしたりしても、奴隷と華のある男では、後者が主導権を握っちゃう世界なんだろなと
本作を読んでつらちら考えてました。
人間性が優しかったり、厳しくなかったりすることは、演劇の能力とは無関係でしょうからね。

著者が、大学生の頃や、若いころに、演劇の世界と親しかったのかはよく分かりませんが、
「あー、演劇やってる人の日常って、こんな感じな気がする・・・・」と思えるような
リアリティを感じられる作品でした。

3本とも、物語の設定はくすっと笑えるものなのですが、
作品のトーン自体は至って真面目で、読む側にも人生を考えさせてくれるような
思いのほか良い作品でした。




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『笑われるかもしれないが』
- 2019/07/15(Mon) -
原田宗典 『笑われるかもしれないが』(幻冬舎文庫)、読了。

ムネリンのエッセイ本。
事件以降、ムネリンのエッセイを上手く読めなくなってしまってますが、
時間も経過したので、大丈夫かな?と恐る恐るチャレンジ。

いろんな雑誌に掲載されたエッセイの寄せ集めということで、
分量もテーマも結構バラツキがありますが、
ムネリン節のへらへらした感じで何となくまとまってる感。

この手の軽~い感じが心地よいなぁと思っていたところ、
カミサンや、息子が登場してくると、やっぱり頭は事件に戻ってしまって、
「あの時、この人たちはどんな思いをしたのだろう?」と余計なところに
気持ちが分散してしまいます。

あぁ、この人の本をきちんと読めなくなったというのは、まことに残念だなぁ。




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『海の短編集』
- 2016/09/15(Thu) -
原田宗典 『海の短編集』(角川文庫)、読了。

エッセイの方は、ちょっと素直に読めなくなってしまったのですが、
小説なら大丈夫かな?と挑戦。

非常に短い作品がたくさん収められています。

ふわっと始まり、ふわっと終わる。
余韻を楽しむ作品集です。

海の心地よさが、うまく反映されているなと感じました。

海辺のテラス席で読みたかった一冊です。


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『大サービス』
- 2014/05/19(Mon) -
原田宗典 『大サービス』(集英社文庫)、読了。

久々に、ムネリンです。
あぁ、この人も、クスリやっちゃったんだよなぁ・・・・・なんて思いながら(爆)。

くだらない原田節炸裂のエッセイもたくさん入ってるのですが、
どうにもクスリの問題が頭をよぎってしまい、
「父親の作った数千万円の借金で一家離散」とか
「夢判断の結果、文壇に居心地の悪さを感じていることが分かった」とか
「小説を書くという行為は、どこか祈りに似ている」とか、
こういうフレーズが妙に印象に残ってしまうんですよね・・・・・トホホ。

さらに、可愛らしい4歳の娘さんが時々登場してくるのですが、
「彼女はその時どう思ったのだろうか・・・・」なんて、
もう、作品とは全然関係の無いところに意識が飛んでしまったり。

たまたま今だから、こういう目で読んでしまうのか、
それとも、もう、今後、こういう目を持ち続けてしまうのか、分かりません。
いずれにしても、残念です。


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『元祖スバラ式世界』
- 2012/10/07(Sun) -
原田宗典 『元祖スバラ式世界』(新潮文庫)、再読。

お気楽に原田エッセイ。

相変わらず、再読なのに、中身の記憶ゼロ。

そして、いつもながらに、いろいろと運のないハラダ青年。

床屋運のなさは、すご過ぎる。



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『吾輩ハ苦手デアル』
- 2008/10/13(Mon) -
原田宗典 『吾輩ハ苦手デアル』(新潮文庫)、再読。

続けざまに本作も。
こちらは、微かながらに記憶に残ってました(苦笑)。
外国人モデルに囲まれた話とか床屋の話とか。

でも、ある瞬間の描写が映像イメージで記憶されていただけで、
話の展開もオチもさっぱり覚えてなかったので
やっぱり新鮮に楽しめてしまいました。

お気楽エッセイって、実は、何度でも楽しめる魔法の本??



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『東京トホホ本舗』
- 2008/10/13(Mon) -
原田宗典 『東京トホホ本舗』(新潮文庫)、再読。

大学生のころ、ハラダムネノリ作品をガガガガッと読んでた時期があったのですが、
食あたりみたいになって、エッセイの方は全く手をつけなくなってしまいました。

この3連休、実家に帰って暇な時間に、10年ぶりぐらいに原田エッセイを読みました。

いやぁ~、全く内容を覚えてません(苦笑)。
初見のような新鮮さで楽しめました。

10年ぶりの再会でしたが、
やっぱりハラダ君は、困惑してトホホな日々を送ってました。


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『スメル男』
- 2008/06/29(Sun) -
原田宗典 『スメル男』(講談社文庫)、読了。

久しぶりの原田作品。

ある日突然、激烈な体臭を発するようになった男が
東京中に腐臭を撒き散らす・・・・・

かなり現実離れしたお話なのですが、
天才少年たちが現れてから、突如として地球平和規模の話になり、
最後は、SFアクション映画のような場面へと突入していきます。

荒唐無稽なようでいて、
意外と最後まで楽しんで読めてしまいました。
何でだろ?

ナルヒトとマキジャクの活躍ぶりに
結末を知りたくなったからかな?

主人公タケルのどもり症は
これぞ原田作品というようなキャラクターですが、
前半、お話がゆっくりと進む間は、少々うっとうしく感じました。
後半、急展開してからは、ある意味、良い息抜きになっていたのかも。


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