『天災から日本史を読みなおす』
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- 2018/08/03(Fri) -
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磯田道史 『天災から日本史を読みなおす』(中公新書)、読了。
気象・地象×歴史という組み合わせは、 気象予報士が書いた気象側からの作品を読んでいますが、 本作は、歴史学者が書いた歴史よりの作品です。 歴史学者が注目する災害となると、 やはり、死者が大勢出たとか、政権が不安定になったとかいう歴史上の影響が大きいものに なっていきますので、地震とか台風とかにスポットが当たります。 この手の災害は、今も時々起こって、相応の被害が出るものですから、 被害が出ると、ニュースになって、過去の災害の事例紹介とか、 地名に潜むその土地の脆弱性とか、井戸の水が枯れたら大津波が来るとか いろいろ情報としては伝えられますよね。 それを、ニュースのような断片的で使い捨ての情報ではなく、 本として記録にまとめたところに、この本の価値があるのかなと思いました。 1個1個の情報は、普段からニュースに触れている人や、 気象や災害に興味がある人なら、どこかで聞いたことのある話がほとんどだと思います。 でも、それをきちんとまとめて、教訓として伝えることの大事さ、 それが、この本のメッセージなのかなと思います。 私も、『武士の家計簿』の著者が災害のことをテーマに書くなんて、 311を受けてのマーケティングの結果か!?なんて思ってしまいましたが、 著者が大学生時代からコツコツと集めてきた災害の記録の情報を扱っていると分かり、 片手間でできた本ではないとわかり、大変失礼しました。 こういう本は、本として消費されていくのではなく、 きちんと、防災の教科書のように扱われるとうれしいなと思います。
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『江戸の備忘録』
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- 2018/05/21(Mon) -
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磯田道史 『江戸の備忘録』(文春文庫)、読了。
表紙絵とタイトルから、徳川家のエピソード集かな?と思ったのですが、 読んでみたら、室町時代から大正時代あたりまで言及されていて なんだかピントがぼんやりした本でした。 ジャンル的にも、武武家の話もあれば江戸の庶民の話もあり、 遊女の話から幽霊の話まで雑多です。 朝日新聞に連載されていたということですが、 新聞紙面上で箸休め的に読むなら丁度良いのでしょうけれど、 一冊の本として通して読むと、内容が軽すぎて辛かったです。 ただ、後書きで著者自身は、 歴史の肝になる話だけを厳選したと語っており、 私の感想とはズレております・・・・・・。 『武士の家計簿』を書いた著者なので、 もっと、「歴史文書から当時の情景を探る」という姿勢に フォーカスを絞っても良いのではないかなと思いました。
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『武士の家計簿』
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- 2016/03/29(Tue) -
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磯田道史 『武士の家計簿』(新潮新書)、通読。
幕末の加賀藩の武士一家が書き残した家計簿から、 当時の生活ぶりを読み解こうという研究です。 記録の方も詳細なら、読み解く著者の執念も凄まじく、 大きな日本の歴史の動きの中で、この一家の置かれた日常を描き出していきます。 じっくり読むと、様々な生活シーンが想像できて興味深いのでしょうが、 ちょっと今の私のセカセカとした心持ちでは、読み飛ばしてしまいました。 あまり良い読書姿勢ではなかったので、また改めて・・・・・。
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