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『ノーライフキング』
- 2020/03/06(Fri) -
いとうせいこう 『ノーライフキング』(河出文庫)、通読。

裏表紙のあらすじに「著者圧倒的代表作」とあるのですが
私は全く知らない作品でした。
とりあえず、著者名で買ってきました。

小学生の間で空前のブームとなっているゲームソフト「ライフキング」。
そのゲームにまつわる様々な噂話が子供たちの間に蔓延し、
現実世界の子供たちの間に不安や恐怖が重さを増してくる・・・・。

最初に感じた印象は、「古いな」というもの。
30年前ぐらい、つまり自分が小学生だった頃の雰囲気が漂っています。
実際、発刊は1989年だったようで、ちょうどその頃。

私が小学生の頃は、スーパーファミコンが登場し、みんなが争うように有名ゲームの
発売日に店頭に並び、その後必死になってプレイするという世界。
(私はファミコンを持ってなかったので、そんな社会を横目で見てた感じですが・苦笑)
その他にも、ビックリマンチョコのブームや、光GENJIのローラースケートブームなど、
とにかく、それ一色に子供たちの世界が染まってしまうような空間がありました。

それは、当時、子どもたちに与えられたおもちゃの種類が少なく、
ごく一部のヒット商品に、みんなが群がるしかなかったからかなとも思います。

今や、子どもたちもスマホやPCを持ち、自分の好きな世界を探し当てるツールを手にしているので
一つ一つの世界はマニアックに広がっていても、30年前のような、
誰もが同じものに熱中するような時代ではなくなってきているような気がします。

いや、これは、私が年をとってしまったから見えなくなっているだけで、
ポケモンとか、ムシキングとか、遊戯王とか、実は30年前と同じような状況なのかもしれませんが。

というわけで、私の目には、こんな、噂がどんどん生み出され、子どもたちがそれに熱狂し
また自分を見失うほどに混乱する世界が訪れることは、もはやなくなってしまったように感じました。
そのため、本作の印象が「古いな」になってしまいました。

20年前の、自分が大学生だった頃、大学生がPHSを持ち始めたころに
本作を読んでいたら、もっとビビッドな印象を受けたかもしれません。

もしくは、小学生というところが物足りなかったのかも。
中学生の話には夢中になれたので。




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『想像ラジオ』
- 2016/12/06(Tue) -
いとうせいこう 『想像ラジオ』(河出文庫)、読了。

芥川賞の候補になったとき、
3.11のことをストレートに扱った作品であると知り、
まずは、このタイミングでガッツリこのテーマに取り組もうとした姿勢に驚きました。

いとうさん、内村さんとよく一緒にテレビ出てたなぁ・・・・なんて思い出しながら、
そして、徳ちゃんのラジオで紹介されて、さらに気になってきました。

でも、3.11にまつわる死者の話みたいだしなぁ・・・・と逡巡していたのですが、
100円で見つけたのを機に、ようやく手に取りました。

第1章から、いきなりトップスピードで入ってくるDJアークのおしゃべり。
「あれれ、意外とポップなのね」と思っていたら、
章が進むにつれて、段々と核心に迫っていきます。

基本、DJアークが一人でしゃべっている内容で物語が進んでいくため、
自分や家族の生と死にまつわる認識を、DJアークが次第に深めていく過程が
切なかったです。

無理に明るく振る舞おうとしている様子とか、
周囲の人に素直に助けを求める姿とか、
一瞬にして自分の命を失ってしまった魂が
現実を受け入れてい過程を膨大な言葉の海の中で見ることになり、
この絶妙なバランス感覚にドキドキしました。

一方、偶数章で語られる現実世界側の話は、
あんまりピンときませんでした。
あまりにDJアークの存在が大きすぎるものだから。

でも、1冊丸々がDJアークの語りだったら、
言葉の洪水に押し流されてしまいそうで、
私にとっては、偶数章は箸休めのような場でした。

たぶん、偶数章の方からこそ、本作の意味を読み取っている人も
たくさん居るのだろうと思いますが、
私は、そこまで消化しきれませんでした。

杉の木のてっぺんから流れてくる想像ラジオ。
杉の木に引っかかっている死体。
放射能のために引き取りにいけない場所。

この舞台装置は凄いなと。
凄いとしか言いようのない創作力。

杉の木の上にとどまったままの魂からの言葉。
東北の地には、こんな魂があちらこちらに埋もれていそうで、
それを想像すると、また痛ましい思いが沸き上がってきますが、
1つでも多くの魂が、天に昇れますように。
そう願います。


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『見仏記2』
- 2011/09/06(Tue) -
いとうせいこう、みうらじゅん 『見仏記2』(角川文庫)、読了。

またもや買ってしまった見仏記。
仕事に疲れると、こういう世界に逃げたくなります(苦笑)。

今回のいとうさんの文章は、前回ほどの堅苦しさを感じず、
肩の力が抜けた読みやすい見仏文章でした。
雑誌の企画という枠組みから抜け出し、2人だけで見仏に出てしまったという勢いと、
2人だけで自由に会話ができるという自由な感じから、
バランスの良い空間が出来上がったのではないかと思われます。

前回は仏像そのものが気になって「写真を見た~い」と感じてしまったのですが、
今回は、道中での2人のやりとりが一層面白く、
仏像そのものよりも、仏像を見て2人が何を感じたのか、
そしてどんなバカ話をしたのかという方に興味を持ちました。
本に描かれた世界だけで、十分楽しめたという印象です。

四国や北陸といった遠出以外に、目黒のお不動さんも出てきて、
昔、目黒に住んでいた身としては、懐かしく感じました。
でも、五百羅漢寺は拝観したことが無かったのが悔やまれました。
今度、行ってみたいと思います。


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『見仏記』
- 2011/05/17(Tue) -
いとうせいこう、みうらじゅん 『見仏記』(角川文庫)、読了。

『ホントコ』などでウンナンさんとよく絡んでいたせいこうさん、
その著作を読むのは、実は初めてです。

せいこうさん、みうらじゅんさんが有名な仏像を見に行くエッセイ。

「あの」みうらじゅんさんですから、マニアックな仏像の楽しみ方をするんだろうなと
思って表紙をめくったら、なんと小学生のじゅん少年が作成したという
「仏像スクラップブック」が登場。
こんなに激しい小学生だったとは!と、改めてビックリ。

みうらじゅんさんのパッション溢れる仏像評価・・・というか
純粋な仏像への愛の言葉は、清々しいほどの惚れっぷりです。

一方、せいこうさんは、仏像鑑賞の中で、何か気づきを得ると、
一気に思考の世界へと飛び立っていきます。

仏像目当てに本作を読んだ身としては、ちょっと重く、また理屈っぽく感じてしまいました。
じゅんさんのパッションとの対比があまりに鮮やかだったため、そう感じたのかもしれません。

みうらじゅんさんのイラスト解説付きの本に向かって
こんな要望を出すのは間違っているとわかっているのですが、
やっぱり、仏像の話を目当てに読んだ自分としては、
仏像の写真を入れてほしかったです・・・。


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