『心の力』
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- 2018/10/24(Wed) -
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姜尚中 『心の力』(集英社新書)、通読。
近所のおっちゃんがくれた本。 著者の学問領域の本は面白く読めたのですが、 啓発系(?)の本は、どうも苦手です。 本作は見るからに後者なのですが、くれるというので、遠慮なく(苦笑)。 『悩む力』に引き続き、本作でも夏目漱石作品が語られ、 苦難に耐えることについて述べられています。 私も、漱石作品は好きなので、そこまでは良かったのですが、 トーマス・マンの『魔の山』も登場し、さらには、それぞれの主人公が直接対話をする 創作小説が始まってしまったら、ちょっとついていけなくなりました。 お互いの世界観を投影し合うだけだったら良かったかもしれませんが、 この2人の対話の中に「乃木希典が・・・・」とか出てきたので、 突然の生臭さに、引いてしまいました。 著者なりの熱い思いがあるのは重々承知なのですが、 熱くドロッとした状態のまま投げ出されているような感じがして、 どうも私は受け止めるのに気後れしてしまいます。 それだけ、著者の気合十分ということなのかもしれません。 ![]() |
『ナショナリズムの克服』
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- 2012/11/15(Thu) -
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森巣博、姜尚中 『ナショナリズムの克服』(集英社新書)、読了。
ナショナリズムをテーマにした対談。 森巣博氏という作家さんは、本作で初めて知ったのですが、 賭博者、ギャンブル作家と言いながら、その知識の深さと幅広さにびっくり。 しかし、奥様はテッサ・モリス=スズキという学者さんだそうで、 息子さんはヘッジファンドで巨万の富を築いているとのこと。 なんとも凄い家族です。 さてさて本題。 ナショナリズムとな何ぞやを探るに当たり、 姜尚中氏は、在日韓国人という自らの出自を語り、 森巣博氏は、日本を出て英国に移ったことを語ります。 対談中、様々な日本の「知識人」の名前が登場し、 そこは付いていけませんでしたが、 「想像の共同体」「再想像の共同体」という考え方は面白いなと思いました。 ここまで「民族」や「ナショナリズム」という概念が前面に出てきたのは、 自然なものではなく、多分に政治的・意図的なものでしょうから。 ただ、タイトルのように、この対談が「ナショナリズムの克服」に向かっているのかというと、 そこはピンときませんでした。 日本人論や在日論的なものを分析し、時には批判していますが、 その先に「克服」という境地が待っているのか、見えてきませんでした。 結局は、「リイマジネーション」の結果、 新しいナショナリズムが生まれるだけなのではないかと思いました。 なんたって「ナショナリズム」や「民族」というのは、 一定のグループをまとめあげるのに、非常に効率的で効果的な概念だということが 歴史の中で実証されているのですから。 この「便利さ」を、強い者も弱い者も捨てることはできないと思います。 というわけで、ナショナリズムというものを知るには非常に面白い本でしたが、 結論については、あまり刺さってきませんでした。
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『姜尚中の政治学入門』
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- 2012/06/08(Fri) -
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姜尚中 『姜尚中の政治学入門』(集英社新書)、読了。
前回読んだ姜先生の新書は、 なんだか拍子抜けだったのですが、本作はガッツリきました。 「暴力」「主権」「憲法」などのキーワードを、 社会科学の先達たちの思考の枠組みを踏まえながら、 今の日本を舞台に解説してくれます。 「政治学入門」というタイトルのようには 主要テーマを満遍なく押さえられているわけではないのですが、 取り上げられたテーマでの解説は、分かりやすく、面白かったです。 古典のエッセンスも簡潔に紹介されていて、 なんだか頭が良くなった気分(笑)。 ただ、現代日本の社会問題については、あまり踏み込まない姿勢のようで、 ちょっときれいにまとめてしまった感があります。 領土問題とか、自衛隊の派遣問題とか、 そういうホットなところに斬り込んで欲しかったです。
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『悩む力』
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- 2011/09/01(Thu) -
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姜尚中 『悩む力』(集英社新書)、読了。
学者先生の本もたまには・・・・・と意気込んで買ってきたのに、 意外と薄い内容でガッカリ。 「悩む力」というタイトルと、「姜尚中」というブランドへの期待値からすると、 この本で書かれている内容は、ちょっと方向違いな印象を受けました。 姜尚中先生が愛だの夢だのを語るというのも、 私としては、何も姜尚中センセに語ってもらわなくても・・・といったところです。 個人的に、夏目漱石の話は興味があるので、 ちょくちょく出てくる漱石話や漱石の作品の話は面白く読んだのですが、 普通の読者の方にとっては、どうだったんでしょうかね? むしろ、「姜尚中が読む漱石」ぐらいのテーマでガッツリ取り組んでくれたほうが 私的には一層興味が持てたかも。 最後も、やたらと能天気な夢を語って終わってしまったので、 拍子抜けしたままでした。
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