『果つる底なき』
- 2017/02/23(Thu) -
池井戸潤 『果つる底なき』(講談社文庫)、読了。

銀行の融資先とのトラブルを巡る死。
事故死なのか、他殺なのか。
同僚の銀行員が真相を探る・・・・・てな感じでしょうか。

銀行業務の根幹である融資と回収について扱っているので、
金融モノが好きな私にとっては、面白かったです。

ただ、死の真相については、
「そんな動機で、そんな立場の人が、人を殺すかいな?」というのが
私の個人的な感想です。
罪の重みと得られる利益がアンバランスな気がします。

副支店長も精神的に弱すぎで、
墓穴掘りまくりなところも、ちょっと銀行員らしくない。

だから、江戸川乱歩賞受賞とか言われると
非常に違和感を覚えてしまうのですが、
金融ビジネスの世界を久々に覗いて、
懐かしいなぁ・・・・・と感慨に浸るには手頃な作品でした。


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池井戸 潤

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『オレたち花のバブル組』
- 2015/12/25(Fri) -
池井戸潤 『オレたち花のバブル組』(文春文庫)、読了。

ようやく半沢直樹です。
もう、世間から三周半遅れぐらいな体たらくです(苦笑)。
第1弾読んでからも6年経っており、テキトーな読書姿勢ですわ。

さて、わたくし、ドラマは全く見ていなかったので、
ゼロスタートの状態で本作を読むことになりました。
当然、その面白さに一気読みです。

老舗ホテルの建て直しと金融庁検査という大きな軸に、
銀行から取引先への出向というサブストーリーも絡めて、
銀行員としての生き様を一気に見せていきます。

どの企業にも、自分の利益をたくらんだり、保身に走ったりする悪人がいるものですが、
一方で、黙って耐えていたり、やり返す時期を狙っていたりする正義の人もいるわけで、
そのバランスが、エンタメ小説として丁度良いのでしょうね。

あと、正義の人も、目の前のニンジンに浮ついてみたり、
最後の勇気が出せなかったりと、完璧ではない人間臭さがこれまたリアルなんでしょうね。

半沢シリーズはまだあるので、次の作品も楽しみたいと思います。


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池井戸 潤

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『かばん屋の相続』
- 2015/10/01(Thu) -
池井戸潤 『かばん屋の相続』(文春文庫)、読了。

支店勤務の銀行マンを主人公にした短編6つ。
面白かったです。

最近、中小企業診断士試験の実務補習を立て続けに受講したのですが、
中小企業の経営者の方々とお話していると、とにかく面白いんです。

自分がなぜ会社を興そうとしたのか、どうやって事業を軌道に乗せたのか、
そして、これから会社をどうしていきたいのか、
これらの話を活き活きと語られるんですよねぇ。

ほんと、その情熱は凄いと思います。

で、そういう中小企業の経営者たちと仕事でお付き合いしている大企業としては
銀行が最たるものなんだなと、改めて認識しました。
ただし、銀行マンと日常的にコミュニケーションがあるのは、
どちらかというと、経営に問題を抱えている中小企業でしょうけれど。

というわけで、これまで行井戸作品を私は銀行目線=大企業目線で見ていたのですが、
本作では、中小企業の経営者目線で見ていました。
彼らがどんな情熱を持って、目の前の問題を解決する、もしくは乗り越えようとするのかと。

そういう点で、本作は、自分の会社の仕事に熱い思いや哲学を持っている人が多く登場し、
また結末も前向きなものが多かったので、読んでいて、自分自身が背中を押されるような
気持ちになれました。

非常にエネルギーをもらえた読書となりました。


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『下町ロケット』
- 2015/01/04(Sun) -
池井戸潤 『下町ロケット』(小学館)、読了。

直木賞受賞作にようやく挑戦。

下町の中堅産業部品メーカーが国産ロケットへの部品納入に挑むという
プロジェクトX的なお話。

しかし、目標高く、努力して、一度躓くけど、頑張った!的な
起承転結の分かりやすい単なる娯楽作品の枠には留まっておらず、
時代の変化も上手く取り込んでいると思います。

そもそも中堅メーカーが国内トップ企業に楯突くという発想自体が最近の流れですし、
社長をはじめ部長ら幹部連中が高い企業目標を掲げたときに
課長、係長クラスの中堅社員がしらけているというのも当世風です。

最後の一致団結への持って行き方が、多分、池井戸風なのかなと。
今回は、銀行出向者の殿村さんが、かなり格好良い役をあてがわれていますが、
敵役たちにジワジワと詰め寄らせておいて、もう逃げ場がない・・・・となったときに
誰かがドカーンと啖呵を切るというのが、池井戸作品の特徴な気がします。
爆発の威力を大きくするために、ストレスを極限までかけさせるストーリー展開と言いますか。
喝采を送りたくなる反面、ちょっと劇画調だなといつも感じてしまいます。
短編だとスカッと爽やかなんですが、長編だとややリアリティに欠ける面も。

それでも、やはり、銀行の融資係とのやりとりだとか、
一流メーカーによる下請け会社のチェックだとか、
サラリーマンからすると「これって大変なんだよなぁ」という共感とともに読める作品というのは
大事な存在なんだろうなと思います。

で、結局、一日で一気読み!
面白かったです。


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池井戸 潤

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『ようこそ、わが家へ』
- 2014/12/01(Mon) -
池井戸潤 『ようこそ、わが家へ』(小学館文庫)、読了。

裏表紙の「嫌がらせ」「ストーカー」「執拗に続く攻撃」という紹介文と、
本のタイトルから、サイコサスペンス系の話だと思って読み始めたのですが、
どちらかというと、それはサイドストーリーな感じで、
メインは、銀行から取引先に出向になった主人公が、出向先の営業部長の不正を暴く!
という方でした。ま、ある意味、池井戸作品らしい内容と言いますか。

出向先における主人公と営業部長の対立や、
主人公を支えてくれる優秀な総務部社員の存在、
頼りにならない社長、支援してくれる銀行の中の仲間など、
いつもの池井戸ワールドが広がっています。

一方で、ストーカー問題の方は、正直、物語の展開のテンポが遅いですし、
主人公たちの対応も想定の範囲内での、しかも小さな効果しか上げられません。
なんだか、こちらにはスカッとするものがありませんでした。
ただの気持ち悪い思考回路の男と、それにつきまとわれる可哀想な一家というだけで・・・・・。

主人公の息子の健太が、なかなか大人っぽい発言をするところは面白く読みましたが。

というわけで、なんだか1つの作品の中で内部分裂してしまっているというか、
相互に良い効果を与え合うとことまでは至れていないように感じました。


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『不祥事』
- 2014/05/25(Sun) -
池井戸潤 『不祥事』(講談社文庫)、読了。

半沢直樹ブーム、凄かったですねぇ。
その余波か、ちょっと静観していた池井戸作品(←天邪鬼な私)。
結局、半沢シリーズも、まだ一冊しか読んでおりません(苦笑)。

本作も、ドラマ化されてますね。
短編集だったので、お気楽に読めるかと思い、久々に池井戸作品をば。

銀行内の事務ミスを減らすことを目的に活動する「事務部事務管理グループ」が
主役の銀行モノです。

私の会社も、メガバンク系の金融会社なので、
この手の「事務ミス撲滅!」という掛け声は実感をもってよく分かります。
ま、数千人が働く会社で、ミス「撲滅」は非現実的なんですけどね。

しかも、事務ミスを起こしたときの行内検査の減点主義、
本部系や営業系の人たちが、この手の事務管理の部隊を見下していることや、
金融庁検査における銀行員の戦々恐々ぶりのバカバカしさ、
エリート一直線行員の傲慢さ、
いろんなことが、本当に、こんな感じです。
変な人も、いっぱい居るんですよねー。
誇張されているのは、主人公・花咲舞というズケズケものをいう存在だけだと思います。

細かいところをあげつらえば、
行員2人が雑談をする中で「当行」なんて畏まった言い方はしないだろうとか、
経営企画部長が大取引先の社長の息子を預かりながら配属支店を知らないはずはないとか、
いくら実力があっても、部下が上司の調査役にタメ口で会話をすることはないとか
(上司-部下じゃなくても、1年の年次の違いが絶対の世界です!)
いろいろ気になるところはあったのですが、著者はもともと組織内の人ですから、
知らないというよりは、小説の筋を優先して変えたのかなと感じました。

サクサクと気持ちよく読み進められ、
「いるいる、こういうムカつく人!」と一緒になって憤慨でき、
最後にスカッと爽快な解決を得られる。
楽しい読書となりました。


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『金融探偵』
- 2011/10/23(Sun) -
池井戸潤 『金融探偵』(徳間文庫)、読了。

池井戸作品の連作もの。
会社清算によりリストラされてしまった元銀行員が
職探しの傍ら、「金融探偵」を名乗り、事件を解決していく・・・・・。

設定は面白いと思ったのですが、
「金融探偵」という名前に負けないほどの金融事件が起こらない(爆)。

もっとズブズブの、銀行マンの知識フル活用の事件が起こるのかと思ったのですが、
ちょっとした金融知識があれば、町の探偵でも解決できるような内容で
ちょいと拍子抜け。

特に、採用面接に向かった先の銀行が絡んだ事件に遭遇したときは、
もっとハチャメチャな展開になるかと期待したのですが、
こじんまりと終わってしまいました。

ま、日常生活とはそういうことかもしれませんが、
もう少し派手な展開を見たかったです。


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『架空通貨』
- 2011/02/15(Tue) -
池井戸潤 『架空通貨』(講談社文庫)、読了。

久々の池井戸作品は、450ページもあるのに2日で読み切りました。
おもしろかった!!

とある地方の有力企業が企業城下町で密かに張り巡らした経済の罠、
この罠に巻き込まれた東京の下町の工場の娘と、その高校の担任が、
罠にかかった企業城下町の住人とともに奮闘するお話。

経済ミステリーという分野を切り拓いたとされる作品だそうですが、
企業城下町×振興券×マネーロンダリングという
金融、経済の仕組みの絡み合い方が非常に良く考えられていて、
知的興奮を覚える作品でした。

小説としても、伏線の張り方に無理がなく、無駄がなく、
非常に読みやすかったです。

金融経済に翻弄される人々の姿もきちんと描いており、
その脅威が実感できました。

お勧めの作品です。


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『オレたちバブル入行組』
- 2009/12/26(Sat) -
池井戸潤 『オレたちバブル入行組』(文春文庫)、読了。

無理な融資の結果、回収不能となった債権の責任をとらされた融資課長が
回収と復讐に奔走する一冊。

いつも池井戸作品を読んで感じることなのですが、
銀行の世界に生きる人々を、本当にうまく描写しているなぁと思います。

私の勤務先は、銀行ではないものの金融業なので、
銀行の人々とも深~いお付き合いがあります。
で、この作品に出てくるような傲慢部長や、理屈の通らない激怒をする意味不明上司が
輩出されても不思議ではないな・・・と思えてしまうものを銀行文化には感じます。
もちろん、日本経済を動かすビッグ・プロジェクトには不可欠な
知性と行動力が揃っているという組織だというのも重々実感してますが。

普通の会社には、こんな上司がいるのだろうか?と、
金融業しか知らない私の長年の疑問です(苦笑)。

さて、ストーリーのほうですが、
債権回収に奔走するくだりが、手に汗握る感じで面白かったです。
金融の仕組みも上手く紹介されていて、勉強になりました。

ただ、結末が私好みではありませんでした。
支店長とのケリの付け方とか、融資課長自身の身の振り方とか。
ちょっと、ここは、組織の中にいる人間の判断としては、
リアリティが無いように感じました。

なので、回収劇は面白かったですが、復讐劇はイマイチ乗り切れず。


オレたちバブル入行組 (文春文庫)
オレたちバブル入行組 (文春文庫)
おすすめ平均
stars手に汗握り
starsのめり込む面白さの痛快銀行ドラマに脱帽。
starsおもしろい!
stars小気味いい復讐譚

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『株価暴落』
- 2008/03/23(Sun) -
池井戸潤 『株価暴落』(文春文庫)、読了。

1年ぶりとなった池井戸作品。
企業テロ事件をネタにしていますが、やはり舞台は銀行。
今回は、企業融資がメインテーマとなっております。

対顧客、対市場、対金融庁、そして何より自行の業績。
そこに行内の権力闘争が絡んでくるものだから、面白いったらありゃしない。

企業テロの方も、サスペンスとしても面白かったです。
トキオ爆破犯のリアリティが足りない気がしたのと
真犯人の動機が、タイトルから簡単に予想できる範囲のものだったことが
少々残念でしたが(グリコ・森永事件のときに散々言われた手口ですからねぇ)、
犯人にたどり着くまでに二転三転あったので、十分楽しめました。

そして、保身に走るのではなく、
自己の主張を頭取めがけて真っ向から発信する調査役・坂東の人物に惚れちゃいました。
私の周り見渡して、「こんな金融マン、いないよ・・・・・」と溜め息。

自分が役員会の事務局をやっていることもあって、
「解任動議」なんていうシーンになると、必要以上にドキドキしちゃいます。
坂東が頭取に訴えるシーンも同じく。
上にたてつくなんて、うちじゃぁ、考えられないからなぁ。


株価暴落 (文春文庫 い 64-1)
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おすすめ平均
stars4つの視点から描く経済小説
stars1冊で3度おいしい小説です!
stars金融推理小説
stars推理小説なのか経済小説なのか?いずれにせよ面白い
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闇に消えた怪人―グリコ・森永事件の真相
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stars戦後日本の闇に何が蠢いて居たか
stars奥歯にモノがはさまったような
stars関西で生まれ育った人でないと分からないかも。。。
stars綴られた事件の裏側
stars最後の詰めが

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