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『NPSの奇跡』
- 2023/09/21(Thu) -
篠原勲 『NPSの奇跡』(東洋経済新報社)、読了。

こちらも近所のおっちゃんからもらった本。
銀行勤務だった人なので、この手の経営指南本もたくさんお持ちで。

New Production System って何なんだろう?昭和の頃の流行りものかな?と
中身が分からないまま読み始めたのですが、
どうやらトヨタのジャストインタイムの系譜だということは分かったものの、
NPSの説明がないまま、NPS研究会がいかに素晴らしい先見性に富んだ組織化という話と、
研究会の会員企業がNPSに入会する前はいかに酷い経営をしていて、それがどう改革されたか
という自慢話が進んでいくので、NPSの周辺を撫でているだけで、本質が見えてこず、
読んでてイライラ。

これは何かの副読本みたいな位置づけの本なのかな?とも疑いましたが、
本文中に、「NPS研究会は口外不可の秘密の組織」「一業種一社しか入会を認めない」というような
閉鎖的な話を強調しているので、そういうノリを売りにしているのかも・・・・・。

トヨタ生産方式の生みの親・大野耐一を担いで立ち上げた組織のようですが、
本作曰く、大野氏はトヨタ社内でのトヨタ生産方式の目指す方向性に不満があったようで、
当人のやりたい形を追求するために本会が立ち上がったような書きぶりです。

とにかく、本作は、強気の上から目線の物言いが気になります。
トヨタの不十分さを批判したり、会員企業のこれまでの経営を怠慢だと面罵したり、
ロスジェネ世代の私からすると、なんだかバブル崩壊直前の傲慢な日本ビジネス界の姿を
象徴的に体現しているように感じました(爆)。

と、まぁ、印象は悪いのですが(苦笑)、生産方式として言っていることは納得できるというか、
私が経営している会社も、設立から数年たって、結果的には、NPS的な仕組みに
変わってきています。

昔は、原料が安いときに大量に購入し、パートさんなども使って一度に大量生産し、
それを保管して、注文の都度随時出荷していくというやり方をしていました。
人件費を使っても、大量生産すれば、1個当たりの製造原価は数字の上では小さくできます。
でも、保管費用が掛かるし、保管中に破損してしまうものも出るし、
大量生産するための人繰りの調整に時間がかかって思っていたより生産予定が先延ばしになるなど
やりにくさも感じてました。

今は、このラインは超えないという製造原価の上限を定めておき、
それを下回る状況の時に、必要な量のみ生産するようにし、
その代わり、昔は単品種製造だったのを、今は同時に多いときは7本ぐらいのラインを
走らせるように変えました。しかも、パートさん雇わずに1人で作業できるようにしました。
製造原価は多少上がりましたが、保管料とかは大きく削減でき、在庫の滅失も減りました。
人繰りの手間もなくなり、1人さえ都合がつけば、すぐに製造できる体制になり、
かなり効率化できました。

実際に、自分が、このNPS方式に近いような体制で事業運営をできて、売上を伸ばし利益も出せているので
本作の内容は納得できるものでしたが、体験実感をしていなければ、
なかなかスッと納得することは難しいだろうな・・・・と感じてしまいました。

本作では、かなり大口を叩いている印象ですが、
現在のNPS研究会は、どんな業容なんでしょうかね?




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『トヨタの口ぐせ』
- 2022/12/20(Tue) -
㈱OJTソリューションズ 『トヨタの口ぐせ』 (中経文庫)、読了。

会社員時代はよくトヨタ関連の本で、組織づくりとか業務フローの作り方を学んだものですが、
会社組織を離れてしまうと、縁遠くなってしまってました。

ブックオフで手軽に読めそうな本を見つけたので買ってきました。
著者になる法人は、トヨタとリクルートの合弁会社です。
要は、トヨタが培ってきたノウハウを他の企業に伝導していこうというコンサル会社。
実際に、トヨタの現場で指導してきた社員がトレーナーとして同社に在籍しており、
自らの経験をもとにコンサル&指導してくれるというもの。
コンサル会社としての能力は折り紙付きという感じですね。

本作は、そんなトレーナーたちが、実際に自分がトヨタの現場にいる際に、
上司からどういう指導を受けてきたのか、それを「口ぐせ」というキーワードで説明しています。
「口ぐせ」というからには、繰り返し口にされることであり、「トヨタの」というからには
特定の上司個人ではなく多数の上席が同じようなことを口にしていることであり、
つまりはシンプルな一文で表現されたトヨタの企業風土の本質だと思います。

いろんな言葉が紹介されていますが、それは、「三現主義」であったり、
「ジャストインタイム」であったり、そういうトヨタの企業風土として解説されるワードが、
現場レベルで一体どんな言葉で一人一人の従業員に投げかけられていたのかということが
リアルに分かって面白かったです。

Amazonのレビューでは、「底が浅い」「当たり前」「普通」なんていう評価が散見されますが、
この「当たり前」を組織内のすべてのスタッフに徹底させるのがいかに大変なことか、
会社では経営企画部、退職後は起業してみて、ほんと身に染みて感じることです。

会社勤めのとき、新設の合弁会社の経営企画部に転籍になって、
合弁相手の全く企業風土の異なる人たちと一緒に仕事をすることになったのですが、
その人たちが、オペレーション部門の中で合言葉のように何度も口にする言葉があり、
「あ、一つの言葉で組織の仕事ぶりってまとめあげることができるんだ」と感動しました。
口にしているのは統括部門の人や幹部陣たちばかりだったのかもしれませんが、
でも、毎日のように言われ続け、回覧物の中にも書かれていたら、
そりゃ嫌でも覚えるし、気にするようになるわなぁと実感しました。

その後、合弁相手の会社の方にさらに転籍したのですが、
そこも言葉を大事にする組織で、社長自身、外に出る文章も中に出る文章も
自分で細かくチェックして直させていたのが印象的でした。
口ぐせは組織の風土文化を表すというのはまさにその通りだし、
口ぐせになるほど上司が口にする言葉は、本物のその組織の本質だと思います。

本作は、勉強にもなったし、自分が働かせてもらった組織でいろいろ勉強させてもらったことへの
感謝の気持ちを改めて抱かせてれる良い本でした。




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『トヨタ・レクサス惨敗』
- 2011/05/28(Sat) -
山本哲士、加藤鉱 『トヨタ・レクサス惨敗』(ビジネス社)、読了。

あまり車のブランドについては知らないので、
レクサスって、成功したブランドなんだと思ってました。
ショールームとか、存在感ありますからね。

でも、米国では大ヒットしたものの、日本での展開には失敗したというところを
テーマにした一冊です。

導入部分は、「へー、そうだったのかぁ」と興味本位で面白く読んだのですが、
本文の論旨があまり内容が無くて、深みがありませんでした。

大学教授×ジャーナリストの組み合わせで書いているにもかかわらず、
客観的な論証がほとんど出てこないのです。

日本で失敗したという状況は分かったのですが、
何をどう失敗したのかということを事実として伝える数字がほとんど出てきません。
トヨタの戦略を体系だって説明することも無く、
思うところから無秩序にダメ出しをしていくような進め方で、
結局、どこに原因があって、何をすべきだったのか、よく分からずじまいでした。

著者の思いだけが並んでいるので、
ルポルタージュというよりも、感想文みたいな印象の一冊でした。

ただ、ホスピタリティに関する文章は、
自分の仕事を振り返るには、よい機会になりました。


トヨタ・レクサス惨敗―ホスピタリティとサービスを混同した重大な過ちトヨタ・レクサス惨敗―ホスピタリティとサービスを混同した重大な過ち
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『トヨタの現場管理』
- 2011/02/27(Sun) -
門田安弘 『トヨタの現場管理』(日本能率協会マネジメントセンター)、読了。

またまた古い本を読んでしまいました(苦笑)。
でも、トヨタ生産方式の根本は、きっと変わっていないはずですから、
この本でも十分かなと思います。

そして、現場管理の枠組みだけを紹介するのではなく、
「なぜそのに着目するのか」「なぜその指標を使うのか」という
考え方の部分をきちんと押さえた説明になっているので、
分かりやすかったです。

大野耐一氏の言葉は、どれをとっても、真理をズバッと突いてますね。


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『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』
- 2010/07/30(Fri) -
若松義人 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』(PHP新書)、読了。

学ぶことの多い本でした。

トヨタ式経営やトヨタ式生産管理、トヨタ式の人材育成は
至るところで絶賛されていますが、私個人が感じるトヨタの強みとは、
一握りのトップが良いことを言っているだけではなく、
その精神が現場の末端まで浸透しているということです。

笛吹けど・・・という会社はどこにでもあると思いますが、
トヨタは、トップがメッセージを発信し、トップ自らその言葉を行動で示し、
そして、それに感化された中間管理職が育ち、また、その下を育てていく。

この人材力の拡大再生産とも言える無限ループが素晴らしと思います。

この本では、そんな拡大再生産の様子を
具体的なエピソードをもって説明してくれます。

徹底して、自分が発したメッセージの実現を求め、
地道な行動と、我慢強い人材育成に力を注ぐ。
これは、ちょっとやそっとの思いでは達成できない姿勢です。

トヨタの底力を感じます。


トヨタの上司は現場で何を伝えているのか (PHP新書)
トヨタの上司は現場で何を伝えているのか (PHP新書)若松 義人

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『トヨタ経営語録』
- 2009/07/25(Sat) -
小宮和行 『トヨタ経営語録』(PHP文庫)、読了。

目からウロコの言葉がふんだんに盛り込まれているのかと思いきや、
ちょっと拍子抜けしました。

トヨタの経営者たちですから、
的を射る言葉をたくさん発していると思うのですが、
その言葉達の中から、著者が切り取った、その切り取り方が
上手くないような気がしました。

「そこを引用しても、あんまりインパクトが無いんだよなー」
というような印象です。

フリージャーナリストであるこの著者よりも
元秘書さんの方が上手かったかも。


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『トヨタのできる人の仕事ぶり』
- 2009/07/04(Sat) -
石井住枝 『トヨタのできる人の仕事ぶり』(中経出版)、通読。

こちらは、「トヨタの役員秘書が見た」というサブタイトルに惹かれて
借りてきました。
家政婦は見た的な面白さを期待して(笑)。

役員秘書7年、技術職10年、その間に一般職から総合職への転換と、
非常に面白い経歴の著者です。
そして、そういうキャリアを自分で作ってきたんだなと
納得させるだけの観察力と理解力を持っている方だと思います。

役員や上司の行動の意味、指導の意味をきちんと感じとって
次につなげる能力を、若い時から持っていることに脱帽。

紹介されている役員や上司の行動を見て、
トヨタのような大きな組織で上に立つ人は、
やっぱり凄いなーと思うとともに、
一般職社員にこのような視点をもっている社員がいること、
そして、一般職社員でも能力のある人はどんどん引き上げること、
ここにトヨタの組織としての強さがあるんだと納得しました。

それにしても、「元トヨタの役員秘書」という肩書は、
相当なブランド力がありますよねー。
羨ましい。


トヨタの役員秘書が見た トヨタのできる人の仕事ぶり
トヨタの役員秘書が見た トヨタのできる人の仕事ぶり石井 住枝

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『トヨタの知識創造経営』
- 2008/07/16(Wed) -
大薗恵美、清水紀彦、竹内弘高 『トヨタの知識創造経営』(日本経済新聞出版社)、読了。

一橋大学開放講座に参加した際、
大薗先生の「名刺を置いていって頂ければ新刊本を送ります」とのお言葉に飛びつき、
しがない名刺をお渡ししたところ、早速本作が届きました。
ありがとうございました!!

トヨタの成長力を「3つの拡張力」と「3つの結合力」で読み解きます。

内容が非常に興味深かったのはもちろんですが、
それ以上に、開放講座での60分で、
本作のエッセンスを余すところなく講演された大薗先生のプレゼン力に感動。

要所を押さえ、全体のバランスを保ち、なおかつウィットにとんだ言葉で説明する。

そんな力を身につけたいものです。


トヨタの知識創造経営
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starsあるのなら、次回作に期待かな。
starsタイトルが悪すぎる。

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『トヨタ生産工場のしくみ』
- 2007/10/28(Sun) -
青木幹晴 『トヨタ生産工場のしくみ』(日本実業出版社)、読了。

原価計算のプロジェクトに一緒に関わっている先輩から教えてもらい
勉強のために読んでみました。

トヨタ自動車の「かんばん方式」について解説した本で、
その中の一つの章で部品原価の把握方法について説明されています。

ちょうど、先日読んだ『明日を支配するもの』においても、
日本の自動車産業での原価計算の取り組みがちょこっと触れられていたので
良い機会だと思って週末にお勉強です。

専門用語・トヨタ用語がバンバン出てくるので、
なかなか初心者には取っ付きにくい面もあったのですが、
「かんばん方式」の徹底ぶりには改めて驚かされました。
中学校の社会科の教科書で初めて習った「かんばん方式」ですが、
考え方そのものよりも、この方式をトヨタグループ全体で徹底して実行するという
その実行力・運営力の方に驚かされます。

著者は、「天守閣と石垣」という表現で、
天守閣であるトヨタ生産方式を支える標準化という石垣の重要性を説いていますが
私は、その石垣を積み上げてきたトヨタマンの実行力、
または石垣を積み上げさせてきたトヨタの運営力に目が行きました。

激烈なエネルギーをもった組織でなければ、
トヨタ生産方式は導入に成功しないと見せつけられたような思いになりました。

その一方で、社会学部卒としては、
鎌田慧が投げかけている問題がこの仕組みの下でどうなっているのか
気にはなるところですが・・・。

さて、本題の原価計算の考え方は図解されていてわかりやすく、
「原単位」×「単価」の分析を徹底するという方式に納得。
うちの会社は製造業ではありませんが、
事務サービスを一つ一つ作りだしていると考えれば、
同様の考え方が適用できるかな?と思いました。
しかし、ここにも、原価意識を全社に徹底させるプロセスがあり、
このエネルギーをどのように生み出すか、やはり大きな課題です。


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