『挑む力 世界一を獲った富士通の流儀』
| ||
- 2018/01/23(Tue) -
| ||
片瀬京子、田島篤 『挑む力 世界一を獲った富士通の流儀』(日経BP社)、読了。
ビジネス誌だか日経だかの書評で見て、 「スパコン京の開発プロジェクトの話なんて、面白そうだな!」と思い、 買いたい本リストに入れてました。 ようやく100円で発見。 ただ、内容は、富士通が関った8つのプロジェクトについて紹介しており、 丸々が京というわけではなかったのが残念。 正味200ページちょっとの本で、8つのプロジェクト紹介は 盛り込み過ぎというか、1つ1つが浅く広くになってしまい残念。 東証の株式売買システムやすばる望遠鏡のシステムなど、 他のプロジェクトも本当に大規模、国家の威信にかかわる規模のものであり、 もっと深く読んでみたいと思いました。 ページ数が少ない分、プロジェクトの紹介は、 ビジネスケースとして分析するところまで到達できておらず、 正直な感想は、「私の履歴書」レベルだと思ってしまいました。 ただ、その中でも印象に残ったのは、 富士通マンが持っているDNAの部分です。 ともかくやってみろ 挑戦者に無理という言葉はない 夢をかたちに 歴代の社長が口にしたフレーズが、 幹部社員やエース社員にしっかりと浸透していて、 彼ら基幹人材を支える全社員が組織としてしっかり統制されているという印象です。 そして、8つのプロジェクト紹介で終わってしまったら ちょっと散漫な感じで終わってしまったであろう本作を 野中郁次郎先生が解説することで、しっかりと締まっていて、良かったです。 富士通DNAAとは何なのかが簡潔に分析されており、分かりやすかった!
![]() |
||
『一橋ビジネスレビュー64巻4号』
| ||
- 2017/08/02(Wed) -
| ||
『一橋ビジネスレビュー64巻4号』
一橋大学のイノ研が設立20年だそうで。 私の入学した年に誕生したんですね~。 イノ研の20年を踏まえつつ、これからの20年を展望するという特集ですが、 米倉センセ、不祥事事件から、よく立ち直ったよなぁ・・・・と 変なところで感慨深いものです。 さてさて、本題の中身の方ですが、 「イノベーション」という概念自体も、この20年間で変動してきたというか、 多様化されてきたようで、各研究事例の紹介も興味深かったです。 でも、一番印象に残ったのは、軽部大先生の言葉。 イノベーション研究は事前の「バカな(非常識)」と事後の「なるほど(常識)」を 結果的に結びつける周縁領域の変則事例の発見・受容・制度化過程の解明に もっと注力すべきである そう。 イノベーションって、成功したから事後的に「イノベーション!」と称賛されるわけで、 失敗したら、「判断ミス」「戦略の誤り」と糾弾され、 下手をすれば誰も見向きもしてくれなかったりするわけですよ。 その違いは何なのか。 「イノベーション!」と「ほんとバカ!」の違いはどこで生じるのか。 結果論だけではない、プロセスの解明を是非進めてほしいものです。 あとは、後半の野中郁次郎先生と米倉誠一郎先生の対談が面白かったです。 一橋大学の顔同士、師弟関係でもあり、 適度に肩の力が抜けた対談で良かったです。 あと、プロレス団体「ドラゴンゲート」の事例研究が、 へぇ、こんな団体あるんだぁという驚きもあり、興味深かったです。
![]() |
||
『一橋ビジネスレビュー62巻3号』
| ||
- 2014/12/29(Mon) -
| ||
『一橋ビジネスレビュー62巻3号』
今回の特集は「小さくても強い国のイノベーション力」。 どんな源泉にイノベーションの秘密が隠されているのか興味深々だったのですが、 「強い国」の定義が、各種ランキングによる評価を前提としていて、 なんだかそこに違和感が・・・・。 「イノベーション」の解を探すために、 数字で個性を消してしまいそうな統計(しかも評価基準が適切なのかも良く分からないもの)に 頼ってしまうところが、なんだか、このアプローチでは解に辿り着けないのではないかという 疑念を生んでしまいました。 というわけで、特集はイマイチな印象。 唯一、イスラエルについて分析した中東調査会の中島勇主任研究員の論文が面白かったです。 ま、これも、イノベーションという観点よりも、比較文化論的な意味での興味ですが。 他には、野中郁次郎先生の寄稿、青島矢一先生や吉原英樹先生の連載が面白かったです。 競争戦略論は、言い方は悪いが、「合法的なカルテル」を指南する学問 経営学が追究してきた生産性増大の工夫は、「人々が楽をするための工夫の総体」 こういう風に本音の解説をしてもらえると、 社会学部出身者として経営学のイケイケな熱意に対して感じてしまう距離感も、 縮まるように思いました。
![]() |
||
| メイン |
|