『深海の超巨大イカを追え!』
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- 2018/04/14(Sat) -
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NHKスペシャル深海プロジェクト取材班+坂元志歩 『深海の超巨大イカを終え!』(光文社新書)、読了。
NHKスペシャルで放送されたダイオウイカ番組について 10年に渡る取材の様子を描いた作品です。 番組放送当時、録画して見ました。 何人もの専門家が、自分独自のアプローチ方法でダイオウイカに迫る様子が 番組内で紹介されていましたが、その着眼点の面白さ、現場でのワクワクした表情、 そして何よりも撮影に成功した時の盛り上がり様、 とにかく、専門家として向き合っている対象に対する熱意や情熱が ヒシヒシと伝わってくる番組で、面白かったです。 プロって、こういうことだよね~と。 で、その舞台裏というか、番組では映されなかった 番組になる前の9年間の取り組みも含めて追いかけています。 NHKのドキュメンタリー番組は、相当な予算と期間で作られているとは分かっていたつもりですが、 苦節10年と聞くと、私の想像のレベルを超えてました。 プロデューサーとディレクター、その2人の情熱で、 10年間のプロジェクトが途切れることなく進められてきたと言っても過言ではないです。 一度追いかけ始めた取材対象をモノにするまでは離さないという その根性が素晴らしいです。 そして、本作ではプロジェクトメンバーが書くのではなく、 外部のライターさんを雇っていることで、科学エンタメとしても面白くなっていました。 結構、文章が演出的に煽っている面もあるのですが、 メンバー自身がこの調子で書いていたら内輪受け的な雰囲気が出ちゃったのではないかと思います。 そこを、上手く煽りながら抑えるところは抑えているので面白く読めました。 一方で、苦節10年の内容をここまで詳しく知っていまうと、 このプロジェクトの費用対効果のようなものが知りたくなってしまいます。 無駄なコストをかけ過ぎだという批判がしたいのではなく、 これだけの予算と時間と労力をかけて撮影した映像が、 生物学という学問分野において、どれぐらいの価値があるものなのか、 金額換算してみたくなってしまうのです。 収支の点に興味が向いてしまいました。
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『里海資本論』
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- 2017/07/04(Tue) -
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井上恭介、NHK里海取材班 『里海資本論』(角川新書)、読了。
「『里山資本主義』が売れたからって、パクリか!?」と思いきや、 藻谷さんとの共著者が書いた2番目の本でした。 失礼しました。 瀬戸内海でのカキ養殖による水質浄化や藻場再生の話に始まり、 海が身近な生活を送る人々の姿を描いていきます。 本作の主張で共感できたのは、 単に「自然は素晴らしい!」「環境保護だ!」と言うのではなく、 あくまで目指すのは自然との共生であり、人間の手を加えることで 自然の恵みを最大化しようというところ。 これまでの海を巡る経済活動は、短期的な視野での利益最大化を目指していたので 乱獲などの問題を抱えていましたが、長期的な視点を入れることで、 資源管理することが利益の最大化につながるという判断になります。 これは、私が大学生だった頃にモヤモヤと感じていた 経済学と社会学の視座の違いみたいなところと繋がり、共感できたのだと思います。 経済活動としては利益最大化や事業継続を目指しますが、 それにより生まれた社会問題を、私が学んでいた社会学のゼミテンたちは 「社畜」などと呼んで批判していました。 でも、私は、社畜では従業員の体力が続かず、離職もするだろうから 長期的に見れば企業にとってマイナスな事態であり、 従業員の働きやすさを追求して全体のアウトプットを高めるという視点は 企業側も持つインセンティブが働くはずだと思っていました。 経済活動と人間らしい生活の両立というところでしょうか。 それは、本作では、人間の暮らしと自然の共存という形で表現されており、 すんなりと腑に落ちたのかなと。 自然と人間、人間と経済、異なる立場の者たちが お互いの利益を最大化できるポイントが、必ず見つかるのではないか、 それは、主義主張が異なる人間同士の間においても同様に 折り合う点が見つけられるのではないか、 そういう前向きな気持ちになれる本でした。
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『グリーン・ニューディール』
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- 2015/09/06(Sun) -
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寺島実郎、飯田哲也、NHK取材班 『グリーン・ニューディール』(NHK出版生活新書)、読了。
当たりの本が続いていたのに、これは残念ながらハズレでした。 オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策を取材したNHKのスタッフが それぞれ寄稿する形で一冊になっているのですが、 自然エネルギー推進派の前のめりな主張ばかりを集めていて、 偏りぶりが半端ないです。 批判の精神がないという姿勢が どれほど怖いものなのか反面教師にできる本です。 こういうことを、マスコミ(しかも国民の皆様の局)が平気でやってしまうことに 非常に危ないものを感じてしまいました。
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