『惜別』
- 2012/09/03(Mon) -
太宰治 『惜別』(新潮文庫)、読了。

「惜別」と「右大臣実朝」を納めた中編小説集。

ぱっと開いた2ページが改行無しの全面文字だらけには圧倒されますが、
それでも、リズム感を持って読めてしまうのが、大作家の文章の凄さ。

物語としては、「右大臣実朝」が面白かったです。
わたくし、日本史の中で鎌倉時代は苦手な範囲だったので、
読み始めてから、「あぁ、実朝って、3代将軍かぁ」とようやく気づく始末。
でも、執権の名前とか、戦乱の名前とかで、なんとなく思い出すことが出来ました。

実朝の穏やかさ、知性と、その悲劇の最期とのギャップが、
なんともやるかたない物語です。

ところで、「惜別」が刊行されたのは昭和20年9月5日だとか。
あの敗戦からわずか20日で文学作品が発刊されているとは、
日本人のたくましさに驚きました。


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太宰 治

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『晩年』
- 2011/11/18(Fri) -
太宰治 『晩年』(新潮文庫)、通読。

久々の太宰作品は、最初の短編集というものを手にとってみました。
(ま、買ったときは、そんなことは考えずに「100円で発見!」てなものでしたが・・・)

太宰作品とは、それなりに相性が良いつもりだったのですが、
本作は、あまり入り込めませんでした。

ちょっと観念的な描写が多かったからでしょうか・・・。

なんだか読むのがしんどくて、読み飛ばしながらの読書でした。

葉蔵も出てきたのになぁ・・・・・・残念。

「猿ヶ島」は捻りの利かせ方がお見事でした。
起承転結が完璧だと思いました。


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『きりぎりす』
- 2007/08/19(Sun) -
太宰治 『きりぎりす』(新潮文庫)、読了。

「夏休み気分で太宰作品でも読むか~」と思って手にしたのですが、
自分のblogで前回読んだ太宰作品を検索したら、
8月14日に読み終わってました。
毎年おんなじこと考えてる私はなんて単純な人間なんだ・・・・・。

さて、この短編集ですが、
大人の世界を見ている子どもを描かせたら(というか自分のことなのでしょうが)
やっぱり太宰は凄いなぁと思わずにはいられません。
(褒める語彙が貧困で恐縮です)

「千代女」などは、
まさに大人の浅はかさを見抜いている少女の視点で語られており、
特に、本作は大人が少女を利用しようとしている様が
ありありと出ているので、少女の冷静な視点との対比が興味深かったです。

また、「おしゃれ童子」のように、
大人ぶろうと背伸びをする少年の世界もまた不思議な魅力があり、
一種の青春小説のような趣がありました。

これとは反対に、堕落し破壊的な成人男性が出てくる物語は、
私の苦手とするところです。
『人間失格』で、前半の幼年・少年期にのめりこんでも
成人以降の生活の描写に耐えられませんでした。

本作では、「日の出前」の兄の存在が苦手で、
それ以上に、この兄の存在を許してしまう妹や母の弱さに
悲哀よりも嫌悪を感じてしまいました。

その他の作品では、「皮膚と心」「きりぎりす」などの
女性を主人公にした作品が面白かったです。


きりぎりす
きりぎりす太宰 治

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stars太宰の本の中でも究極のおすすめ作品、★10個
stars気難しい奥さん
stars読みやすくてアトラクティヴ。
starsせつないせつない廻り灯籠の様な短編集

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stars30歳過ぎてわかる味
stars良くも悪くも影響を受けました。
stars反主流派の作品が、大勢の日本人に支持される可笑しさ……。
stars意味深なこの別れの挨拶
starsこの本合格!!

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『パンドラの匣』
- 2006/08/14(Mon) -
太宰治 『パンドラの匣』(新潮文庫)、読了。

久々の太宰作品をば。
夏休みっぽいですねー。

「正義と微笑」「パンドラの匣」の2作品を収録。
タイトルからして「重たい作品だったらイヤだな」と思いながら
読み始めたのですが、
意外や意外、両方ともカラッとした青春小説でした。

「正義と微笑」では、
主人公の洒脱な日記の文章にクスッと笑わされながらも、
やっぱりお兄さんのキャラクターが素敵です。
自分の人生には器用でないけれど、
弟には非常に温かい眼差しを向けており、
そして、弟に投げかける言葉が洒落ています。

「パンドラの匣」では、手紙形式で話が展開しますが、
やはり手紙の文体はウィットに富んでいます。

両作品とも、主人公の年齢を考えると、
少々大人びた文章で、若干リアリティに疑問を感じますが、
前向きに生きる両人のエネルギーを思うと、
それもありかなという気持ちになります。

パンドラの匣
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『津軽』
- 2005/11/16(Wed) -
太宰治 『津軽』(新潮文庫)、読了。

このようなジャンルの作品を残しているとは知らなかった。
思いのほかお調子者のところを素直に見せている。

自分の兄弟よりも、実家に仕えた者たちへ親近感を持っている様子が
素直に描かれている。
時代を考慮に入れても、兄への異様な距離が感じとれてしまう。

太宰についての研究書などは読んだことが無いので、
家族構成や作品の背景などは全く知らないが、
お調子者の言動の裏に、暗い陰が見て取れる。

作品としては、非常に興味深いものだった。


津軽
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