『風の中のマリア』
- 2018/01/19(Fri) -
百田尚樹 『風の中のマリア』(講談社文庫)、読了。

オオスズメバチの世界を描いた本。

私は、オオスズメバチを擬人化することで
人間社会の縮図のようなものを描いた作品なのかと勝手に思ってましたが、
そうではなく、本当にオオスズメバチの世界を緻密に描いたものでした(苦笑)。

最初から、生物学として楽しめる本ですよ~、という売りが頭に入っていれば
もっと楽しめたかもしれませんが、余計なものを期待していたために
肩透かし感がありました。

残念。

でも、非常に細かく下調べをして作品を書く人なんだなということは
良く分かりました。

次の読書に期待!


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『幸福な生活』
- 2017/11/02(Thu) -
百田尚樹 『幸福な生活』(祥伝社文庫)、読了。

時々、本読みさんのBlogで見かける本なので読んでみました。

百田氏の作品に抱いていた「重厚」というイメージとは打って変わって、
皮肉のこもったショートショート集でした。

個人的にはイマイチ。
オチの落差を激しくしようとしてなのか、
それまでの話のテンポが軽すぎというか、悪乗りしすぎというか。

私としては、オチの1行前まではひたひたと日常が進行し、
最後の1行ですとんと落とすタイプの落差の方が好みです。

ちょっと下ネタの色が濃いのも
苦手な要素の1つだったでしょうかね。

しっかりとした長編を今度は読んでみたいと思います。


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『海賊とよばれた男』
- 2017/10/07(Sat) -
百田尚樹 『海賊とよばれた男』(講談社文庫)、読了。

大ヒット本。
分厚い上下二巻本で積読状態だったのですが、
東京出張で移動時間がたくさんあったので挑戦してみました。

出光興産の出光佐三がモデルですが、
ここまでユニークで強烈な経営者だったとは知りませんでした。

石油と言えば、エネルギー業界の王様であり、
それが原因で世界経済が歪んだり、戦争が起きたり、
とにかく国家レベルで向き合う事業だという認識です。

そんな中、一企業・・・・・というか一民間商店が、
自分の力だけで事業をやっていこうとする、凄まじいエネルギーの物語でした。

大正時代の話なら分かりますよ。
どれだけ将来性があるか見えていないオイル製品を
山師のような商人が手を付けようとするのは。

ところが佐三は、戦後の時代において、
GHQや日本政府、石油業界団体を敵に回してでも
独立独歩で行こうとするのですから、この信念には魂消ました。

昔、出光興産やそのグループ会社の方々と仕事を一緒にしたことがあるのですが、
非常に情熱的だし、お客様第一という姿勢が骨身に沁みついているという印象でした。
社員教育のレベルというよりも、信念が合う人を採用しているというイメージです。
そんな社員がなぜ生まれるのか、その理由が本作に詰まっていると感じました。

冷静に考えたら、「それは役員会でストップかけなさいよ!」というような
非常識な経営判断がどんどん繰り出されるのですが、
個人商店が大きくなってしまったという出光では、店主の声が神の声。
落ちてきた命令に対しては、「どうやって実現するかを考え行動する」という
選択肢しか残っていません。
これで社員がついてくるのですから、佐三個人の人間性がいかほどのものだったのか
想像が追い付かないぐらいです。

本作では、あまりに佐三がかっこよく書かれ過ぎて、
その働かせ方はいくら何でも酷いだろうとか、
その命令は理不尽過ぎるだろうとか、
マイナス印象の経営判断や事故については書かなかったんじゃないだろうかとか
いろいろ思ってしまう面もありましたが、
ま、これは、一人のヒーローの物語ということで、
最後まで気持ちよく読めるのもアリかなと思えました。

そして、彼のような存在を支えられたのは、熱い思いの従業員が多数いたから。
戦後10年ほどで、どんどん大きくなっていく様子には、
トップ1人の力ではどうにもならない凄まじいエネルギーを感じました。
結局、これって、戦前からの教育の蓄積により、ちゃんと人材が育っていたからなのかなと。
世界中の戦争後の混乱状態を思うにつけ、
日本がこれだけ急激に復活できたのは、やはり教育の力のように思いました。

現在は、昭シェルとの合併話で創業家と揉め揉めしてますが、
こういう出自の企業なら、アイデンティティを失うような話になるので、
そりゃ創業家は止めに入りますわなぁ。
どのような結末になるか、見ものですね。


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『鋼のメンタル』
- 2017/07/17(Mon) -
百田尚樹 『鋼のメンタル』(新潮新書)、読了。

我が母校を舞台に、騒ぎになっている百田氏(爆)。
ま、学生側の対応の不慣れというか世慣れていないところもあって
(1・2年生がやってるので仕方ないですが)
外野陣に良いように舞台装置に使われてしまっている感じですね。

そんな百田氏が説く、心を強く持つ秘訣。
どんなに炎上してもへこたれない著者に学ぼう!という企画です。

そもそも百田氏の読者層は、強気なライトサイドの人が多いのではないかと思われ、
こんな本のニーズなんてあるのだろうか?(苦笑)と思いつつ読みましたが、
丁寧な語り口と、具体的な行動指南により、
自身の気の弱さに悩んでいる人には、少しは助けになるかも・・・・と思いました。

しかし、実際には、著者がどんなに放言しても気にしない妻や息子の存在を思うと、
強い人のところには強い人が集まるんだなぁという感慨の方が大きかったです。

冒頭、著者が、なぜ炎上をも辞さない発言をするのか?という問いに対して、
「言いたいことを我慢するストレスよりも、言って叩かれるストレスの方が楽だから」
と答えていて、まさに、それに尽きるんだろうなと思いました。

私は、結構、仕事の虫というか、働き過ぎと周囲に言われてしまうのですが、
中途半端に仕事を放りだしたり、先延ばしにすることがストレスなので、
とにかく実行したい!完結させたい!完成させたい!という思いに駆られてしまうのです。
放っておくより、残業してでも完結させる方がストレスが少なく、満足度も高いからです。
でも、それを分かってくれる人は意外と少なく、
考え方の違いというのは、なかなか乗り越えられないんだなと思う日々です。

となると、結局、心の弱い人がこの本を読んでも、
そもそもの志向というか思考というか嗜好というかが違うのだから、
あまり解決にならないのかもしれませんが、
でも、人は皆、価値観を置く場所が違うのだということが理解できるだけでも
大きな収穫のような気がします。


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