『牛乳時代』
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- 2016/10/14(Fri) -
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中島らも 『牛乳時代』(角川文庫)、読了。
「あー、らもさんの本が100円だー」と、著者の名前だけで買ってきたのですが、 エッセイかと思いきや、なんと落語のネタ集でした。 予想外の内容でしたが、これがまた、器用に面白かったです。 ちゃんと、まくらがあって、 すぐに噺の方に入っていきますが、 かけあいありの、くすぐり的なギャグありの、 結構、ちゃんとした落語の噺になってて、面白かったです。 「鶏ぶるまい」とか「鉄工バンドが行く」とか 職場が舞台の話は、ウィットに富んでて面白かったです。 表題作の「牛乳時代」は、私的にはイマイチでした。 なんだか、男の子の世界感の話なんだろうなとは思いました。 短いかな?と思ってしまうぐらいの サクッと終わるところが、良かったです。
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『お父さんのバックドロップ』
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- 2015/10/13(Tue) -
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中島らも 『お父さんのバックドロップ』(集英社文庫)、読了。
表題作を含め4つの父と子供の物語が収録されています。 かなりアッサリした作品が多く、 最初は、「えっ!?これで終わり?」と思ってしまいました。 映画化されているという前知識もあって、そう思ってしまったのだと思います。 でも、全編を読み通してみると、そのアッサリさゆえに、 読者側でいろいろ想像を膨らませることができ、 想像しているうちに、自分自身と父親との関係に思いを馳せるようになり、 読後感は芳醇な感じを味わえました。 変な父親ばかりが登場しますが、 軽いギャグにまぶすことで、微笑ましく読める作品です。
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『ネリモノ広告大全』
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- 2014/01/12(Sun) -
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中島らも 『ネリモノ広告大全』(双葉文庫)、読了。
カネテツデリカフーズで展開されていた広告「啓蒙かまぼこ新聞」に 掲載されたらもさんのマンガやエッセイを集めた作品。 まー、シュールですわ。 会社のキャラクターである「てっちゃん」が主人公なのですが、 バカボン一家も真っ青の父ちゃんの無軌道ぶり。 それを、食品メーカーがやってしまうんですから、 平和な時代だったんだなぁ・・・と時代の空気を思いつつも、 やはり、この企業としての尖がった姿勢は空前絶後だと思います。 どこまで、この前衛さに付いていけているかというと、 ちょっと自信ないですが(苦笑)。 作品的には、最後の海のエッセイが、味があってよかったです。
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『西方冗土』
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- 2013/11/17(Sun) -
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中島らも 『西方冗土』(集英社文庫)、読了。
バカバカ本を読んでいますが(苦笑)、 部屋の積読が酷いのに、また昨日も散歩ついでに神保町に行ってしまい・・・。 これはいかんということで、軽そうな本を片っ端から片付けようかと。 で、らもさんです。 雑誌に載ったエッセイをまとめたものでしょうか。 主に、大阪について考察したというか、紹介したというか、 馬鹿にしたというか、そんなエッセイです(笑)。 大阪弁の会話がところどころに登場するのですが、 あまりにドギツイ大阪弁なので、 同じ関西弁の括りに入る伊勢弁ユーザーの私でも、 ちょっとノリが分からないところがありました。 それぐらい、大阪・オオサカしたエッセイでした。
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『頭の中がカユいんだ』
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- 2012/12/19(Wed) -
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中島らも 『頭の中がカユいんだ』(徳間文庫)、読了。
らもさんの「ノン・ノンフィクション」。 ということは、私小説なのかしら。 広告代理店でのサラリーマンなんだかフリーランスなんだか分からない勤務状況のお話や、 知り合いのモテ男のお話や、 南の島での売春ツアーのお話など、 変な人々が登場するのですが、らもさんの周りになら居るかも・・・ という変な納得感がありました。 夢の世界にトリップされると、掴みどころのない世界が広がるので、 そこに付いていくのは難しかったですが、 現実世界での主人公のモノの見方は面白かったです。 エンタメ小説も面白いのですが、 この著者の作品では、やっぱり自分自身を切り取って見せている作品の方が 面白さが際立っているように感じます。
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『白いメリーさん』
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- 2012/01/14(Sat) -
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中島らも 『白いメリーさん』(講談社文庫)、読了。
らもさんの短編小説集は、実は、初めて読みました。 いきなり「日の出通り商店街いきいきデー」という 年に1度殺人が許される商店街のイベントを描くという作品から始まり、 スラップスティック系の作品を書くんだ!と驚いたのですが、 重い文章で中年男の孤独と死を描くような作品もあり、その幅の広さにまた驚きました。 ジャンルやテーマの使い分けだけでなく、 文体そのものが硬軟様々に使われていて、すごい才能だと感じました。 そして、何より、舞台装置とストーリー展開が面白いんです。 「いきいきデー」もそうですが、 スポンジ地球という世界観を持つホームレスとシンナー遊びの高校生の対峙を見る空疎な自分、 「白いメリーさん」についての噂話の中で、現実と噂の狭間に落ち込む少女、 いずれも結末が残酷なところに飛んで行くのも、興味深かったです。 「白いメリーさん」は横浜の話ですが、 実は、私の地元には「赤いメリーさん」がいました。 噂話のレベルではなく、私が小学生の頃、いつも同じバス停の待合室に座っているのを見ています。 地元の子供たちは、彼女の物語を様々に作り上げて、共有していました。 でも、怖い存在とか、異質な存在とかではなく、 なんとなく子供たちの日常生活というか、日常感覚の中に取り込まれていた存在でした。 あのお婆さんがあそこのバス停に座っているのが当たり前という感覚。 話しかけたことはありませんでしたが、例えば近くの席に座ることは怖くありませんでした。 いつの頃からか姿を見かけなくなりましたが、不思議な存在でした。 そういう意味では、昔は、大らかな時代だったのかもしれませんね。
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『その辺の問題』
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- 2010/12/20(Mon) -
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中島らも、いしいしんじ 『その辺の問題』(角川文庫)、読了。
対談でございます。 ま、「対談」というような大層なものではなく、 その内容の95%が、どーでもよい話です(笑)。 褒めてます。 でも、時々、ふわっとインテリ風が吹くときがあります。 さすが、灘高 vs 京大。 でも、やっぱり、C級映画の話をしているところなんぞが 面白くって仕方がないのです。 いしいしんじさんは、本作で初めてお名前を知りました。 この対談を聞いてる限り、ちょっと作品は難易度が高い印象を受けました。 一方、らもさんは、作品は知っていますが、 挿入されていた対談の写真を見て、 「あれっ?こんなお顔でしたっけ??」と思っちゃいました。 なんか、メガネの印象がすごーく強かったものですから。 眼差しが印象的な方だったんですね。
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『獏の食べのこし』
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- 2009/11/01(Sun) -
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中島らも 『獏の食べのこし』(集英社文庫)、再読。
複雑ミステリーの反動で、らもさんのエッセイをば。 ロックのこと、映画のこと、お酒のこと。 どれもマニアックなネタを題材にしているのですが、 それはあくまで入口にすぎず、 最後はさらっと社会を切り取ってみせてくれます。 いくつかのエッセイには、以前読んだときに引いた鉛筆の線が残ってました。 ドクロの灰皿のエピソードは、気持ちがほっこりしました。
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『永遠も半ばを過ぎて』
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- 2009/02/28(Sat) -
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中島らも 『永遠も半ばを過ぎて』(文春文庫)、読了。
降霊、写植、詐欺、酔いどれ、三色頭、姫さざえ・・・・・・ らも小説の真骨頂です。 偉いさんのお医者連中を前に 堂々たるプレゼンをぶちかます詐欺師のくだりは 読んでいてスカッとするほどの気持ち良さです。 一方、大ヒットとなってしまったペイシェンス・ワースの作品ですが、 それよりも、写植屋の朦朧とした意識の中で繰り広げられた ダイエット広告ならぬ肥満しようぜ広告の描写が凄かった。 皮膚が割れて、黄色い脂肪の塊が流れ出てくるところなんて、 その画を頭に描いてしまったら、しばらくフリーズしてしまいました。 この真・善・美トリオは、シリーズ化してもいいと思うぐらい 面白かったです。
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