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『龍の棲む家』
- 2021/03/11(Thu) -
玄侑宗久 『龍の棲む家』(文春文庫)、読了。

父親が認知症になった!ということで、介護をするために経営する喫茶店をたたんだ次男が
実家に戻ってきます。父と次男の2人暮らし。
長男は離れに家を構えますが、勤め先で部長をしているため介護に時間を割けず。
もともとは長男の嫁が介護をしていたのが、1年前にガンで亡くなってしまうという不幸があり
父親の認知症も、そんなショックが引き金になったのかも・・・・というスタートです。

1日中父親に付き添い、徘徊が始まれば止めるのではなく一緒についていき、
妄想で過去の世界に飛んでしまった時も、打ち消すのではなく話に乗ってあげる。
この次男の介護ぶりは、並大抵の忍耐力ではできないのではないかと思ってしまいました。
文章が穏やかで簡潔なので、私は「この次男は人間ができているなぁ」と思い読めましたが、
実際に、今、認知症の介護をしている人が読んだら、かなりしんどい気がします。
自分と比べてしまって。

中盤から、介護士経験のある女性が関わってくるようになるのですが、
この女性の介護対象への向き合い方が、腹が座ってて興味深かったです。
相手が過去に戻っていってしまい現実と夢とが混同し始めたらどう合わせるか、
自分のことを正しく認識してもらえなくなったらどう気持ちを整理するか、
そういう、認知症の進展の過程で起こり得そうなことを、
介護対象の気持ちが最も収まる形で、逆に言うと自分の気持ちはある程度我慢して
相手に付き合ってあげるという姿勢を取っています。

これは、なかなかできないことだと思います。
自分の家族に対してもイライラしてしまいそうなのに、
仕事として介護に携わっている人なら、もっと割り切っていないと心がしんどくなってしまいそうです。

それが、なんだか、この作品に登場する女性ならできてしまいそうな、
そんな安心感というか、現実味が感じられました。
著者の文章の温かさや、キャラクターづくりの絶妙な匙加減によるものなのでしょうけれど、
父親がどんなに突飛なことを言い出しても、受け止める家族や介護士が
こういう心構えで向き合ったら、こうも穏やかな日常になるのかと驚きました。

もちろん、父親が予想外に暴れてしまったりしたこともありましたが、
症状が進行していくのを止められない病気なので、そういう展開は仕方がないのかなと思います。
そんなときに、自分がどれだけショックを受けないか、
正しくは、ショックは当然受けるのでしょうけれど、それを上手く横に流せるか。
そんな胆力が必要になってくるのだろうなと思います。

祖父が認知症だったので、実家に帰ったときは、少し介護の手伝いはしましたが、
ほんの少しの時間なので、祖父に対して優しく応対はできました。
でも、毎日向き合っている両親は大変だろうなと感じてました。

いずれ自分も介護をする日が来るのかもしれませんが、
そのときになってジタバタしないように、
今から少しずつ覚悟を積み重ねていこうかなと思います。




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『観音力』
- 2018/07/01(Sun) -
玄侑宗久 『観音力』(PHP研究所)、再読。

近所のおばちゃんが貸してくれた本。

講演録とエッセイの併録でしたが、そこここに引っかかる言葉があり、
面白かった!と思って、Blogに感想を書こうとしたのですが、
著者名で検索をかけたら、なんとこの本、すでに読んでました!
しかも、同じおばちゃんから借りてるし!
全く記憶から抜け落ちてて、まっさらな気持ちで読めました。
しかも、前回は感想で「物足りない」とか書いてますが、今回は面白かったです。
たった1年前のことなのに・・・・・・。

今回は、あんまり仏教の本だと思い込まずに読んだのが良かったのかも。
西洋思想(キリスト教的思想)と日本人の思想の違いとか、
個性に関する考え方とか、興味深かったです。
それが、一般的な学説であるのか、著者の勘なのかは分かりませんが、
着眼点は面白かったです。

読んでいるときの気分で、こうも感想って変わるもんなんですね~。


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『観音力』
- 2017/02/27(Mon) -
玄侑宗久 『観音力』(PHP研究所)、読了。

近所のおばあちゃんが貸してくださった本。

講演録を中心にまとめた一冊。
いずれも内容は、観音菩薩が象徴する生き方、日々の受け止め方について
易しく説いたものとなっています。

講演会場に居て、直接、この語り掛けを聞いていたら
自分も感化されるように思いますが、
活字で読んでしまうと、なんだか距離を感じてしまいました。

日々の出来事、悩みや困難も含めて、
自然な気持ちで受け止め、柔軟に対処しよう、
それが観音様の持つ「応化力」が教えるところだ

・・・・・というふうに自分は解釈したのですが、
これって、人生を折り返した人には重みがあり、かつ温かい言葉でしょうが、
まだ30代の自分が読むには、アグレッシブさがなくて物足りないです。

もっと自分自身の手と足と頭で、道を切り拓いていく覚悟を
求めるような熱いメッセージでないと、
掴みどころがないように思えてしまいます。

まぁ、宗教に何かを見出そうとする人は、
困難に直面していたり、苦労を乗り越えてきたリした人が多いのでしょうから、
仏様の教えとしては、穏やかな日々を目指すものになるのでしょうけれど。

30年後に読んだら、すっと心に沁みてくるお話のように想像しました。


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『私だけの仏教』
- 2016/03/21(Mon) -
玄侑宗久 『私だけの仏教』(講談社+α文庫)、読了。

非常に分かりやすく読みやすい仏教の解説書でした。

まず著者のスタンスとして、
仏教は非常に多様な経典を持っているため全てを解説することはできない、
その結果、宗派が細分化されており、それも全ては紹介できない、
だから私なりの仏教の考え方を記す。
こういう控え目なスタンスのため、解説が柔らかく読みやすいです。

また、仏教の教えを真正面から四角四面に捉えるのではなく、
現実の生活と如何に折り合いをつけていくのかという視点で語られているので、
自分に引き寄せて考えやすくなっています。

このような視点で語られる仏教であれば、
今の時代にどのような役割を果たしてくれそうなのか
自分なりに考えることがしやすくなるのではないかと思います。

良書です。


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『中陰の花』
- 2009/02/12(Thu) -
玄侑宗久 『中陰の花』(文春文庫)、読了。

叔母の四十九日法要の時に
和尚さんが法話の中で触れていた作品で、ずっと気になっていました。

主人公夫婦の会話の中で語られる仏教のお話は面白かったのですが、
「おがみや」という、少しオカルトがかった話が軸になっていたので
物語としてはあまり楽しめませんでした。

併録されている「朝顔の音」も「霊おろし」がテーマで、
同じジャンルの話だったのも、ちょっと興ざめでした。

仏教関連の作品は、小説よりも
純粋な仏教解説本の方が自分は楽しめそうです。

中陰の花 (文春文庫)
中陰の花 (文春文庫)玄侑 宗久

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