『幸田文の箪笥の引き出し』
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- 2015/08/25(Tue) -
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青木玉 『幸田文の箪笥の引き出し』(新潮文庫)、読了。
有吉玉青さんの本だと思い込んで買ってきたら 青木玉さんでした(苦笑)。適当すぎるわ、わたくし・・・・。 著者は幸田文さんの娘さんということで、 文筆家としての血筋はしっかりしていて、安心して読めます。 小気味良い文章は、お母様ゆずりですね。 幸田文さんの着物にまつわるエッセイですが、 写真もふんだんに使われていて、着物初心者でもわかりやすく、目にも楽しく読めます。 着物と聞くと、1着あたりのお値段が張るイメージがありますが、 長年着ることができ、着古した後も生地を転用したりできることを思うと、 愛着を持って身につけらる品なんだなぁとよくわかりました。
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『崩れ』
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- 2014/08/20(Wed) -
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幸田文 『崩れ』(講談社文庫)、読了。
変わったタイトルだなぁ・・・・と思いながら買ってきたのですが、 なんと「山の斜面が崩れたところ=崩れ」にはまってしまった著者の 「崩れ訪問記」でございます。 そもそも「崩れ」という具象名詞があることに驚いたのですが、 さらには「日本三大崩れ」などといった全国共通認識もあるとのことで、 まだまだ、私の知らない日常世界が広がっているなぁと変なところで実感してしまいました。 で、「崩れとは何か」を知った今でも、 なんで崩れなんかに興味が持てるのか?という本作の発端のところは 最後までよく分からず・・・・・・。 これは、やはり、本物を目の当たりにするしかないのでしょうかね。 幸田作品の魅力の一つである「擬態語」「擬音語」の数々ですが、 本作ではあまり印象に残りませんでした。 なんでだろう???と思いながら後半は読んでいたのですが、 やっぱり擬態語や擬音語というものは、人間の仕草や感情と寄り添っているときが 一番活き活きとしているのかなと思い至りました。 本作は、自然を描写することが多いので、印象に残らなかったのかなと。 自然を通して、最後は人間に関心が向くという読書になりました。
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『台所のおと』
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- 2013/02/28(Thu) -
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幸田文 『台所のおと』(講談社文庫)、読了。
最近、仕事でお疲れなので、 活き活きとした日本語を・・・と思って、この著者の作品に手が伸びました。 が、読み始めるまで、エッセイだと思ってました(爆)。 自分が台所に立って感じた雑感などを書いたものかなと・・・。 病床に就く料理人の夫と、代わりに店に出る妻。 その妻の立てる台所(厨房)の音から、妻の心情を想像する夫。 そんな夫の様子から、病状を心配する妻。 微妙な心の綾を綴っていく表題作。 他にも、ちょっとした心の通い合いや、 ふとした瞬間の心情を描いている作品が収録されており、 その細やかな描写は、流石です。 そして何より、「気持ちがうじゃじゃける」というような独特の日本語が楽しいです。 なんだか幸田エッセイも読みたくなっちゃいました。
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『父・こんなこと』
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- 2009/08/03(Mon) -
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幸田文 『父・こんなこと』(新潮文庫)、読了。
どうも体の具合が悪くなると幸田文エッセイに手が伸びるようです・・・。 しかし、本作は失敗。 幸田露伴が亡くなるまでの数日間を記録したエッセイに始まり、 もう、どよ~んと死の影が全体を覆っているのです。 しかも、幸田文独特の文体にはなれていたつもりだったのですが、 この作品集は、なんだか読み難かったです。 ちょっと集中力が足りなかったのかもしれません。 いずれ再読して補いたいと思います。
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『雀の手帳』
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- 2009/04/05(Sun) -
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幸田文 『雀の手帳』(新潮文庫)、読了。
やっぱりこの方の日本語のセンスには惚れ惚れします。 「ちゃらっぽこな気持ち」なんて言葉、 自分の頭ではどこをどう叩いても出てこないと思います。 なのに「ちゃらっぽこ」と言われると、 確かにその気持ちがどんなものか伝わってくるのです。 また、各2ページずつの短いエッセイですが、 ピューマの話から始まったと思ったら税金の話になっている、 この話題展開の豊富さと突飛さに、 どの話も新鮮な気持ちで読めました。 とにかく、エッセイ全体から醸し出される若々しさに、 こんな大人の女になりたいと思ったものです。
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『季節のかたみ』
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- 2009/01/24(Sat) -
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幸田文 『季節のかたみ』(講談社文庫)、読了。
インフルエンザさんと共生しているときに 2度ほど病院へ行ったのですが、その時のお供に。 同じような症状の人々で激混みで、1時間待ちは当たり前、 読書が読書がススムくんです。 「高熱でつらいんです・・・・」と看護士さんに訴えながらも待合室でずーっと読書、 インフル簡易検査の結果待ちの間、「つらいでしょうから」と処置室で横にさせて もらったにもかかわらず読書してたら、「つらい」発言に信憑性無いかしら? 気分がすぐれない時なんかに読書すると本に集中して体調のことを忘れられるので 体調ダメな日はずーっと本読んでること多いんですが、 友人からは変人扱いされます。 でも、パスカルは頭痛になると数学の本を読んで頭痛を鎮めたと言いますし。 (私は天才ではないですが) 話がそれまくりですが、 この作品はインフル頭に何とも爽やかなエッセイでした。 メレ子さんのBlog を一気読みしている最中で、 頭が♪虫よ~花よ~になっていたため、このエッセイの世界観に 入って行きやすかったです。というか、勝手に色つきの空間を想像しながら読んでました。 他の作品も読んでみたいです。
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『きもの』
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- 2008/12/14(Sun) -
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幸田文 『きもの』(新潮文庫)、読了。
久々の幸田文作品。 前回読んだ『流れる』が小説として本当に面白かったので、 自伝的要素の強い本作は、やや盛り上がりに欠けるような印象でした。 ただ、祖母が教えてくれる「ものの考え方、生き方」というものが とても興味深く、るつ子と一緒に学んだような気持ちになりました。 当初、るつ子のあまりにも我儘で乱暴な振舞に辟易したところもあったのですが、 最後は、よくぞまぁここまで成長したなあと親戚のおばさんのような 目になってしまいました。
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『流れる』
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- 2007/02/28(Wed) -
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幸田文 『流れる』(新潮文庫)、読了。
自分の中で思わぬヒット作でした。 独特なリズムを持った文体で、 読んでいて「楽しい」と感じることができます。 解説でも触れられているように、擬音語が多用されており、 また、ありきたりな表現ではなく、それぞれが非常にユニークです。 「恋でへぐへぐになる」だなんて、現代のようなノリの言い回しです。 そしてまた、キャラクター設定が面白い! かつては良いところの奥様だったという主人公の 臨機応変な身のこなしと、鋭い観察力による描写とで 芸者置屋の日常を見事に抉っています。 そして、芸者連中やその取り巻きの人間模様も 山あり谷あり事件続出で、休まる時がありません。 物語の結末は、話の流れからすると已む無しの展開なのでしょうけれども、 なかなかに寂しいものがありました。 梨花さんは、このあとどうなっちゃったんでしょうかねぇ。
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『おとうと』
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- 2005/07/31(Sun) -
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幸田文 『おとうと』(新潮文庫)、読了。
げんと碧郎を余すところ無く描ききっており、圧巻。 互いを気遣おうにも気遣いきれない、 時に不恰好な姉弟の会話が、親近感を与えてくれる。 それにしても、社交性の無い週末。
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