『未来力養成教室』
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- 2016/12/28(Wed) -
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日本SF作家クラブ編 『未来力養成教室』(岩波ジュニア新書)、読了。
SF作家たちが、SF好きの子供たちに向けて書いたメッセージ集。 それぞれ、想定している子供の姿が異なるのか、 硬く熱い文章もあれば、軟らかい文章もあります。 が、これは多分、著者たちが、子供だった頃の自分に向けて書いた メッセージなんだろうなと想像します。 つまりは、硬い文章の著者は、子供時代も理屈っぽく、 軟らかい文章の著者は、子供時代に物語との対話が好きだったんだろうなと。 そんな著者たちの子ども時代に思いを馳せながら、 私の好みだったのは、荒俣先生と夢枕先生のエッセイ。 荒俣先生はアメリカのSFの大家のもとを訪れたエピソードを 本当に嬉しそうに描いていますし、 夢枕先生は、なぜお話には終わりがあるのかという子供の頃の疑問を述べており、 「あぁ、そんなこと、私は考えもしなかったなぁ・・・・」と 真の物語好きの人の着眼点に感嘆しました。 同じSF作家という職業に就けども、 いろんな子供時代があるのだなと思い、 結局は、どんな人生を歩んできても、やりたいことをやれている人は 幸せなんだなと思い至りました。
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『万博とストリップ』
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- 2014/06/26(Thu) -
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荒俣宏 『万博とストリップ』(集英社新書)、通読。
アラマタ先生、これまたマニアックなテーマで・・・・・と思い、つい買ってしまいました。 ま、正直、ストリップの世界というのは、 女である私には縁遠い場所で、飲み会の席でオジサマの昔話に出てくる程度。 (あ、これ、セクハラじゃないですからね。笑って聞ければハラスメントじゃないです) いきなりGストリングとか、バタフライとか、専門用語(?)がバンバン出てきますが、 これらは男性諸氏なら常識なのでしょうか? のっけからこんな調子なので、なかなかついていくのが大変でした。 ま、ただ、基本的には、「女性が肌を見せるなんて!」という価値観の時代から、 次第にショーアップされていく中で、どのように見せるか、魅せるかという工夫がなされ 最後に今のすっぽんぽんのストリップに至るという過程を辿っていく内容なので、 これも、文化の進化の歴史ということになるのでしょう。 残念ながら、今の場末に置き去りにされているような表現で語られるストリップ小屋は この進化の過程でどん詰まりまで行ってしまったということなのでしょうから、 テレビドラマなどで描かれる、あのうらぶれた感じをイメージして読み始めると、 華やかなショーの世界観に圧倒されます。 「女性の裸を見る」ということには関心が湧きませんが、 光の女魔術師ロイ・フラーの「サーペンタイン・ダンス」とやらは ロートレックが描いた絵画の挿絵を見て、一度見てみたい! ・・・・・・と思ったら、YouTubeにありました! どんな情報でも共有させてもらえるというのは、ありがたい世の中になったものです。
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『知識人99人の死に方』
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- 2012/02/01(Wed) -
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荒俣宏 『知識人99人の死に方』(角川ソフィア文庫)、読了。
アラマタ先生の編集による、知識人99人の最期をまとめた一冊。 作家さんなどだと、死についての作品やインタビューがあったりして、 生前の言葉通りの死を迎えた人もいれば、死に直面して慌てる人もいるということで、 やはり人間さまざまです。 しかし、誰もが一度しか経験できない死というものを前にして、 後者の人を、言行不一致と責めるのはかわいそうですね。 ガンで亡くなった叔母の最期の数日を病室で一緒に過ごしました。 死と向き合うという姿を目の前で見続けたのは、 この時が初めての経験で、いまだに唯一の経験です。 叔母が感じていたであろう恐怖や、悟りの境地は、 端で見ていて、「あぁ、あの日を境に死を受け入れたんだな」と思うものがありました。 しかし、叔母が感じていた「恐怖」そのものの中身は、 私には決して分からないものでした。 「恐怖を感じているんだな」ということを理解することしか出来ませんでした。 そのため、私は、「死」というか、 むしろ「死を受け入れるまでの懊悩の期間」に対する恐怖の気持ちが強いです。 死に際して、自分がどれだけ取り乱してしまうのだろうかという恐怖です。 本作を読んでいても、ガンのような、次第に体が蝕まれていき、 いやでも死というもの考える時間を与えられてしまうような最期を過ごした人の 死に様について、非常な興味関心を持って読みました。 しかし、結局、何も分からないことに変わりはありませんでした。 年齢的には、まだ死そのものを意識することは少ないですが、 死を受け入れるまでの期間に対する恐怖は、 恐怖のままで、ずっと私の中に居続けるんだろうなと感じました。
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