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『全員で稼ぐ組織』
- 2023/04/21(Fri) -
森田直行 『全員で稼ぐ組織』(日経BP社)、読了。

京セラの稲森和夫氏が説く「アメーバ経営」について、
稲森氏の下で現場に新装させる陣頭指揮を執ってきた著者による本。

サブタイトルに「JALを再建させたアメーバ経営の教科書」とあったので、
JALにおける具体的な導入プロセスが解説されているのかなと期待したのですが、
そこは抽象的な描写で終わってしまってて看板倒れです。
アメーバ経営の本質についてはよく説明されていますが、
じゃあJALでどうやって導入していったの?というところはフワフワしてました。

むしろ、中盤で紹介されていた、著者が京セラのグループ会社として
アメーバ経営の普及と導入に取り組んでいる会社の活動事例の方が
具体的な内容になっていて理解しやすかったです。

アメーバ経営の核となっている原価計算については、
自分もサラリーマン時代にプロジェクトチームの一員として取り組んだことがあるのですが、
原価計算まではできても、その後の、部門別採算制度のところが、結構、現場の拒否反応が
強かったんですよねー。

プロフィットセンターとコストセンターという従来の原価計算の仕方だと
コストセンターとされた側の従業員の士気が下がるから、
そこに収益相当の働きを評価しようとするのですが、
じゃあ、この作業1件がいくらになるのかという価格を決めようとすると
明確な値付けの理由がない業務とかは恣意的になっちゃうんですよねー。

厳しめの価格設定をすると、現場から「会社はこの業務をこんな低く評価するのか!」、
高めの価格設定をすると、現場は「結局、原価計算って、適当なんだな~」を気を抜く。
1年間、取締役会で部門別損益の報告をしてましたが、
現場も担当役員さえも不満気で、1年で止めちゃいました。
というか、経営企画部と経理部は引き続き数字を追っていましたが、
取締役会での報告も、各部門へのデータ還元も中止されました。
これじゃぁ、原価計算した成果は半減以下ですよね。

というわけで、個人的には、原価計算から部門別損益に飛躍させるプロセスが知りたいのですが、
それは、ブックオフで100円で古本を買っても知ることが出来なくて、
著者の会社に大金を払わないといけないんでしょうね。




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『稲盛和夫の実学』
- 2019/04/30(Tue) -
稲守和夫 『稲盛和夫の実学』(日経ビジネス人文庫)、読了。

今までに読んだ稲守本の中で一番刺さりました。
会計の話に特化されているので、理解しやすかったのと、
ブラしてはいけない核心の部分をシンプルに語っているので、
なるほどね、と腑に落ちました。

大事なことは何度も語られ、
そこが揺るがせてはいけないところなんだなと伝わってきます。

最後に、盛和塾での実際の質疑の様子を収録してあるのが
実態に沿って経営者としてどのような判断をしているのかが分かりやすかったです。
特に、実社会では、簡単には割り切れない様々な条件が付きつけられる中で、
どういう順番で優先順位を付けて判断を下していくのかが
とても勉強になりました。

瞬間的な判断というのは、どの経営者も日々行っていることと思いますが、
こうやって後から理路整然と判断した理由を文章にできるというのは
かなりの経営の訓練を積んだ人にしかできないのではないかと思いました。

ここまで自らの判断に自信と責任をもって行えるようになりたいものです。




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『ど真剣に生きる』
- 2016/12/17(Sat) -
稲盛和夫 『ど真剣に生きる』(生活人新書)、読了。

京セラの創業者による著作。
経営哲学という面もありますが、半生を振り返った本の色合いを強く感じました。

本編は、「私の履歴書」を読んでいるような感覚になったのですが、
間に挟まったインタビューがなかなか骨太な感じで、
読み応えがありました。

本作の最後にインタビュアーの方が当時を振り返って書かれていますが、
「経営理念を曲げなきゃいけない場面に直面したら、曲げざるを得ないのでは?」
というインタビュー内でのやりとりは、
インタビュアーの方が何度も繰り返し著者に質問を重ねており、
「かなり突っ込むなぁ」と読んでいて思ったのですが、
インタビューしている人も、された人も、同じところが印象に残っているようで、
そこが核心だったのだと、私自身も共有できたように思い、
ちょっと嬉しかったです。

「ど真剣経営」ということに、
それこそ真剣に取り組んでいるという姿を見ることができ、
思いの強さと思いを即行動に移すことの大切さを実感しました。


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『アメーバ経営』
- 2013/09/15(Sun) -
稲盛和夫 『アメーバ経営』(日本経済新聞社)、読了。

勤め先の社内SNSで、稲盛和夫氏の最新刊が話題になっていたので、
100円で手に入る本を買ってきました(笑)。

これまで、「アメーバ経営」という単語は知っていたのですが、
その内容については無知でした。
なんとなく語感から、稲盛氏という個人の力による非常にユニークな経営形態なのかなと
勝手な想像をしていました。

ところが、本作を読んでみると、そこはもう、至極真っ当な管理会計の世界でした。
原価計算を行い、事業ごとの採算を管理する。
うちの会社でも何度か話題に出るものの、ちっとも実行されない経営手法です(苦笑)。

アメーバ経営のユニークさは、
この管理会計の仕組みを緻密に作り上げ、しかも全社に徹底するというところだと思います。

こんな制度をうちの会社に導入したら、
「数字に雁字搦めにされて柔軟な運営ができなくなる!」とか
「この振替え基準は不公平だ!」とか
「赤字になるからちょっと補填してよ~」とか
アホな発言が、役員からどんどん出てきそうな・・・・・憂鬱。
現に先週、「期初目標とは厳格に守るべきなのか」で、某役員と喧嘩しました(悲)。

というわけで、アメーバ経営そのものを導入するかは別として、
管理会計の仕組みを自分の勤め先に上手く適用するにはどうしたらよいか?という
観点で中盤からは読み進めていきましたが、残念ながら解は得られず。

稲盛氏が起こした会社であるということ、
起業して然程時間が経過しないうちに原価計算の仕組みを導入したこと、
その結果、管理会計がなぜ必要なのか幹部が理解していること、
新たに入ってきた社員は、この制度を当たり前のものとして受け入れていること、
これらが大きな理由かなと思いますが、
いずれも、今の我が社には適用できないものばかり・・・・。

そして、何と言っても稲盛氏の経営者としての能力が高いので、
制度の厳格な運営が有無を言わさず守られていること。
反論したり、ネグレクトしたりする必要が無いと言った方が正確でしょうか。

目標管理制度をうやむやにしようとする役員や、
銀行から派遣されてきて2~3年で変わってしまう役員で構成されている
うちの経営陣に、管理会計の適正運営を理解させ、実行させるには
一体どうしたらよいのでしょうか(涙)。


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