FC2ブログ
『闇を引き継ぐ者』
- 2020/08/31(Mon) -
西村京太郎 『闇を引き継ぐ者』(祥伝社文庫)、読了。

忙しいので、お気楽な十津川警部でも・・・・・と思って手に取ったのに、
事件の推理というよりは猟奇サスペンスものといった作品で、
気持ち悪いけど展開が気になって読み止められない・・・・という感じでした。
結果、睡眠不足が加速(苦笑)。

死刑が執行された連続殺人犯のもとに、執行前の1年間にわたり通い続けた男がおり、
その男が正統な後継者を名乗って、新たな連続殺人を繰り広げるというもの。

殺人犯の逮捕に向けて捜査を進めていくという感じではなく
十津川警部は、ただただ翻弄される警察組織の顔としての存在にすぎず、
いいようにやられっぱなしです。

単に女性を殺すだけでなく、死の恐怖に苦しむ姿をどう楽しむか、
周囲の邪魔な人間はどう効率的に抹殺するか、そして弟子になりそうな人間をどう洗脳するか
とにかく犯人の歪んだ不気味な人間性がえぐり取られるかのように描かれていきます。

気持ち悪い。
でも、どう展開していくのか気になって読み止められない。
そんな感じです。

こんな作品を描いてしまって、作者自身は、自分のことが怖くならないのでしょうか。
それほど、人間の恐ろしい側面を文章に落とし込んでいる作品のように思いました。

早苗刑事は、なんだか職場復帰する方向で描かれていますが、
そこだけは腑に落ちず。
事件にこんな巻き込まれ方をした刑事が、すんなり職場復帰できてしまうという心理は
ちょっと理解できないです。
そこだけシリーズもののご都合主義を感じてしまいました。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  西村京太郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『鳴門の愛と死』
- 2020/03/04(Wed) -
西村京太郎 『鳴門の愛と死』(実業之日本社文庫)、読了。

出先でお手軽読書をということで、十津川警部です。

とある女優が自宅で殺害された事件に関し、
夫は鳴門に出張中というアリバイがありシロと判定され、
そのまま真犯人が見つからず迷宮入り。
ところがある日、夫と仕事仲間だった人物が警察に対して
「夫が犯人だから逮捕しろ!」と強く申し入れてきます。

それでも警察は、夫がシロであるという判断を正しいと考えており、
しかし、持ち込まれた「新証拠」を無視することもできず、
歪んだ再捜査がスタートします。

この物語の構造はユニークで面白かったです。
その後、法廷劇に突入していくのも、8連敗中のダメ弁護士など個性的な設定で
ずんずん読めました。
法廷劇では、もはや十津川警部の存在感はゼロでしたが(苦笑)。

しかし、どうにもコトの真相というか、動機の部分が、
「こんなことで、こんなに面倒くさいことするの?」という感じですし、
「そもそもそんなに粘着するような出来事なのか?」という
そこの心情に納得がいきませんでした。

まあ、何十年もたって、最初の出来事なんてどうでもいいくらい
恨みつらみや、押し付けられた恩義など、様々な感情が積もり積もって
歪んだ思いが醸成されたのかもしれませんが。

真相はハラオチしませんでしたが、お手軽読書にしては読ませてくれました。




にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL |  西村京太郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『銚子電鉄 六・四キロの追跡』
- 2020/01/25(Sat) -
西村京太郎 『銚子電鉄 六・四キロの追跡』(双葉文庫)、読了。

ちょっと精神的に疲れてしまったので、息抜きに十津川警部。
タイトルから判断して、ご当地ネタ出して適度に誤魔化したお気楽作品だろうと思いチョイス。

失礼な物言いですみませんが、だいたい合ってました。
まぁ、ご当地モノって、銚子鉄道の各駅の情報と、ぬれ煎餅ぐらいしか出てきませんが(苦笑)。

銚子電鉄の取材に行った旅行雑誌の記者が車内でカメラ盗難に遭い、
その流れから、私立探偵の事故死、それを捜査していた刑事の殺害と
事件が続いていきますが、その後もどんどん人が死んでいき、
「おいおい、そんなに重要な真相がこの裏側にあるのか???」と思ったのですが、
それほど大きな事件には膨れ上がりませんでした。

「密漁」とかのキーワードが出てきたので、
北朝鮮まで繋がっていくかな?とも思いましたが、そこまでの大風呂敷ではなかったです。

正直、十津川警部シリーズには、犯行の緻密さとか推理の理詰め観とかは求めてないので、
ちょっとスパイス的に社会問題の要素を散りばめてもらえると
今の日本社会に繋がる視点をもらえるので、読み甲斐があるなぁと思ってしまいます。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  西村京太郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『無縁社会からの脱出』
- 2019/09/29(Sun) -
西村京太郎 『無縁社会からの脱出』(角川文庫)、読了。

「無縁社会」という言葉が目に留まる作品です。

東京の河原にある空き家に侵入して暮らしていたホームレスの遺体が見つかり、
殺人事件として捜査が始まります。

東北の寒村から出てきて、就いた職も途中で失い、
自ら周囲の人との関係を断って、孤独な日々へと沈んでいく。
「無縁社会」ができていく様子が分かり、興味深かったです。

本作では、こういう孤独な老人の存在を、個々の老人の問題としてしまうのではなく、
若い世代の人にも、将来の不安として存在しているのだということを描いていて、
私自身の問題でもあるということを突き付けてくるので、恐怖を感じました。

少子高齢化の、高齢化の方も問題であるだけでなく、
少子化ということは兄弟がなく、結婚も養子も選択しなければ
いずれ一人になる時が来るという社会なんだなと。
なかなか考えさせてくれる作品でした。

ただ、殺人事件を解決するミステリ作品としては非常に物足りないです。
死んだホームレスはなぜ1千万円以上もの預金を持っていたのか、
なぜ女子中学生がホームレスの身の回りの世話をしていたのか
宝くじの当選くじを盗まれたと主張していた男は警察の裁定に納得していたのか
どれも一応文章中で表現がされていますが、表面的なもので終わってしまい
説得力がありません。

犯人についても、そんな理由で殺すか?、そんな方法で目撃者を始末しようとするか?と
こちらも非常に杜撰なストーリー設計に思えました。

これだけ多作な作家さんだと、1つ1つの作品にそこまで求めるのは
酷なのでかねぇ。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  西村京太郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『特急ゆうづる3号の証言』
- 2019/07/21(Sun) -
西村京太郎 『特急ゆうづる3号の証言』(角川文庫)、読了。

大阪出張のお供に十津川警部。

表題作は、殺人事件のアリバイ隠しに婦女暴行事件をあえて起こすという
「え、そんな価値観あるの!?」的な、驚きのトリックです(苦笑)。
刑の軽重はあるにせよ、前科者になっちゃったら人生終わりだと思うのですが、
借金地獄に落ちた人は、判断力も鈍ってるということなのでしょうかね。

で、この話が、「やけに真相に早くたどり着いちゃうなぁ・・・・どんでん返しあるのかなぁ?」と
のんきに読み進んでいたら、なんと短編集でした(爆)。

4本の作品が入っていたのですが、
1本は異色の歴史ネタというか、太平洋戦争に突入していく段階の
近衛首相を狙った暗殺事件がテーマ。
まぁ、暗殺事件の構造も安易だし、計画も杜撰で、社会性もなし。
あんまり存在価値のない作品だなぁという印象でした。

他3つは十津川警部でしたが、
表題作で感じたように、「そんな殺人計画立てるか?!?」という感じの
捻りすぎな印象で、リアリティに欠けます。

動機もなんだか共感できないものが多く、
みんな自分勝手だなぁとしか思えませんでした。

最後の解説で、著者の本が500冊を突破したと書かれていましたが、
クオリティはともかく、それだけの量を生み出すエネルギーはすごいなと思います。




にほんブログ村 本ブログへ




この記事のURL |  西村京太郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『特急街道の殺人』
- 2019/03/15(Fri) -
西村京太郎 『特急街道の殺人』(双葉社)、読了。

タイトルから、電車の時刻表を使った王道トリックなのかな?と思いましたが、
各地からの特急が到着する高岡駅を中心とした事件という意味のタイトルでした。

たまたま北陸旅行をしていた男が立ち寄った観光案内所に、
「私は朝倉一族の末裔だ」とうそぶく女が登場し、
しかも、その男が昔お見合いをした相手だったという
「そんな偶然あるの!?」という設定から物語が始まります。

「朝倉一族の末裔だから、朝倉の遺構を1億円で買いたい」というような
眉唾な話をもちかけるので、詐欺事件か、心の病かという感じですが、
どちらも絡んでくるという(笑)。

詐欺事件の方は、だんだんと大掛かりな話になってくるので
結構、興味深く読んだのですが、
「あれ?こんな話は前に読んだことがあるような・・・・・」
と思ったら、同じく西村京太郎氏の作品でした(苦笑)。

本作は、関係者の嘘のつき方が下手くそだったのが、
詐欺師っぽくなくて、杜撰な感じです。
まぁ、だから詐欺事件は頓挫したのでしょうけれど。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  西村京太郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『欲望の街 東京』
- 2018/07/23(Mon) -
西村京太郎 『欲望の街 東京』(徳間文庫)、読了。

気晴らしに、いただきものの本作をば。
十津川警部の短編が4作収録されています。

冒頭の「十津川警部の苦悩」は、部下が署内で拳銃自殺し、
その遺書に「恨むならTさんを恨んでくれ」とあったため、
自らのことではないかと責任を感じる十津川警部。

この設定は面白かったです。
でも、肝心の自殺の理由は、「俺のヘビースモーカーぶりに嫌煙家の彼は悩んでいたんだ」と
思い込んで苦悩し、さらに同時に起きた菓子職人の殺害事件においても
「ヘビースモーカーの彼は吸わない同僚に嫌われていたんだ」と思い込みで推理。
こんな上司が居たら、部下の刑事たちはドン引きでしょう(苦笑)。

証拠も何もない、思い込み、思い付きでの推理が
他の作品でも展開されていき、もう、これは推理小説ではなく
単なる十津川警部シリーズでしかないですね・・・・。


十津川警部 欲望の街 東京 (徳間文庫)十津川警部 欲望の街 東京 (徳間文庫)
西村京太郎

徳間書店 2010-06-15
売り上げランキング : 120521

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  西村京太郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『萩・津和野・山口殺人ライン』
- 2018/06/01(Fri) -
西村京太郎 『萩・津和野・山口殺人ライン』(徳間ノベルズ)、読了。

何だか仕事が異様な立て混み具合で、
バタバタした日々を送っています。
というわけで、本を読む時間が寝る前ぐらいしかなく・・・・・。
本作ならパパっと読めるかな?と思って手に取ったのに、
結局、3日ぐらいかかってしまいました。

そういう、邪念が入った状態で選本したせいか、内容は全然ノレず・・・・でした。

とある殺人事件で、
犯人が持っていた6名の名前が載ったリスト。
その先頭に書かれていた人物が殺され、犯人の服役後に、2人目が殺された!

・・・・・・って、なんで最初の捜査の時に6名をしっかり確認しないのよ!?
この事件に関しては、この疑問が全てでした。
警察の力を持ってすれば、戸籍で検索をかけるローラー作戦で絞り込めるでしょうに。

しかも、この6名が関与して法人組織まで作ってたというのですから、
なぜ当時、他の5人が「どこの誰か分からない」という結論で捜査が終わっていたのか意味不明。

そして、服役後に起きる事件に関しても、
ただ1人ずつ殺されていくだけで、そこにはトリックも人間描写もなく、
ただただ人が死んでいくだけです。

高杉晋作について書きたかったのでしょうけれど、
こんな事件とセットでは、全然、晋作の魅力が伝わってきませんでした。


萩・津和野・山口殺人ライン ~高杉晋作の幻想~ (トクマノベルズ)萩・津和野・山口殺人ライン ~高杉晋作の幻想~ (トクマノベルズ)
西村京太郎

徳間書店 2012-09-13
売り上げランキング : 1346654

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL |  西村京太郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『つばさ111号の殺人』
- 2018/04/26(Thu) -
西村京太郎 『つばさ111号の殺人』(光文社文庫)、読了。

息抜きに十津川警部。

とある殺人事件の目撃者として裁判で証言した5人の男女。
事件から2年が経った頃、1人が事故死、1人が自殺、そして1人が行方不明に。
何らかの関係があると見て、十津川警部が捜査に動き出す。

前半は、どんどん事態が展開していき、
そのテンポの良さにぐいぐい読ませてくれました。

ところが、登場人物たちが出尽くしてしまうと、
中盤で一気に進捗が無くなり、中だるみの状態へ。
なんだか同じことをくどくど整理しているようで、全く進みません。

が、急に十津川警部の推理というか空想が発動して、
終盤は、その空想に沿って一気に犯人を追い詰めていきます。

うーん、リアリティがない。
事件の真相や動機も腑に落ちないですが、
そこは、まあ異常な思考を持った人の行動だとしたとしても、
捜査の進め方に何もロジカルな点がないところが、どうにも辛いです。

せっかく序盤は面白かったのになぁ。
残念。


つばさ111号の殺人 (光文社文庫)つばさ111号の殺人 (光文社文庫)
西村 京太郎

光文社 2012-05-10
売り上げランキング : 856388

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ
この記事のURL |  西村京太郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『特急ワイドビューひだに乗り損ねた男』
- 2018/03/17(Sat) -
西村京太郎 『特急ワイドビューひだに乗り損ねた男』(カッパノベルズ)、読了。

なんにもやる気が出ないわぁ・・・・・ということで
十津川警部に逃げ込んでおります。

本作は、飛騨・高山出身の男が床下から白骨死体になって見つかった事件がきっかけで
高山を地盤とする政治家を巻き込んだ事件に発展していきます。

かなりドロドロとした政治の世界が展開しますが、
30億円という巨額のお金の生み出し方が
高山という場所を活かした仕組みになっていて、
ナルホドなぁと思ってしまいました。

政治家が雇っている秘書たちの中に、
詐欺師みたいなものやチンピラみたいなものが混じってて、
こんなのを足下に抱えてたらボロが出ちゃうだろうに・・・・・と思いますが、
でも、そういうダーティな人材も必要な世界ということなのでしょうね。

たまたま売れ残りの中古住宅が買われ、さらに床のリフォームということが
行われたから白骨死体が見つかり、そこから芋づる式に
何人もの殺人事件が明らかになったわけですが
そういう偶然がなかったら、行方不明者なり事故死者として扱われていたといことであり、
政治の世界って、怖いわぁ。


特急ワイドビューひだに乗り損ねた男 (カッパ・ノベルス)特急ワイドビューひだに乗り損ねた男 (カッパ・ノベルス)
西村 京太郎

光文社 2012-03-17
売り上げランキング : 1293605

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  西村京太郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン | 次ページ