『ミステリー列車が消えた』
- 2017/03/08(Wed) -
西村京太郎 『ミステリー列車が消えた』(新潮文庫)、読了。

国鉄が企画した行き先不明の「ミステリー列車」。
相当な倍率の抽選を経て乗車できた400人の乗客は、
いつも間にか列車ごと行方不明になっていた・・・・・。

鉄道ミステリーを得意とする著者らしく、
ミステリー列車という企画モノの設定が事件に与える制約が面白く、
また、誘拐事件の犯行計画の組み立てなど、
「そんなことが可能なのか!」というマニアックな視点が活かされており、
プロットは面白かったです。

しかし、警察側の捜査体制があまりにリアリティがなく、
エンタメ性というか、十津川警部のスーパーマンぶりを誇示するために
荒唐無稽な推理小説になってしまった感があります。

400人もの乗客が行方不明になり、国鉄の総裁さえ巻き込んだ騒動になっているのに、
警察側も国鉄側も事件解決に投入されている人員は数名。
日本社会において最も統制のとれた組織の一つであろう警察と鉄道。
この2つが組み合わさりながら、個人プレーで解決しようとする設定は
キャラクタ・シリーズものの限界を覚えずにはいられません。

そして、捜査の進め方や推理の展開1つ1つにしても、疑問が。
ミステリ列車が行方不明になったことを隠ぺいするために
旅程が急遽1日延長されたと家族たちに発表したり、
川であがった死体の額に帽子の日焼け跡があっただけで鉄道マンだと判断したり、
民間飛行機の追跡を自衛隊に頼んだり。
そりゃぁ、ないでしょうに・・・・・。

エンタメ性を追求しすぎて、荒唐無稽さが目についてしまいました。

あと、現在の運行管理情報が細かく把握されている仕組みのもとでは、
このような犯行は不可能でしょうから、あくまで昭和の時代のお話というか、
もしかすると、私よりも若い世代の人たちは、もうこのようなアナログ社会を
想像できないのではないかと思ってしまいました。


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『びわ湖環状線に死す』
- 2016/11/04(Fri) -
西村京太郎 『びわ湖環状線に死す』(光文社文庫)、読了。

東京で末期の病状のホームレスを収容する施設で
老人が1人死んだ。
遺族を探し、数少ない遺品を手渡そうと職員が滋賀県に向かうが、
その道中で1人死に、2人死に・・・・。

舞台設定は現代風で面白いと思いました。
滋賀県に移ってからも、質屋が登場したり、地元企業の社長が登場したり、
話が大きくなっていく感じがあり、ワクワクしたのですが、
ページを進むにつれて、新事実の発見が間遠くなり、
なんだか物語のスピードがペースダウン。

そして、「あと数ページしかないのに、会議室で捜査方針を検討してて解決できるの?」
と思っていたら、まさかの展開であっけなく幕切れ。

え?って感じでした。


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『韓国新幹線を追え』
- 2016/06/21(Tue) -
西村京太郎 『韓国新幹線を追え』(光文社文庫)、読了。

十津川警部、なぜか韓国で起きる要人暗殺事件を担当することに。
どんだけ担当範囲が広いんだ!(苦笑)という内容で、
警察の組織論としてはリアリティがないのですが、
軍隊モノとして読んだら意外と面白かったです。

要人暗殺未遂事件の対処のために、
十津川警部ら日本の警察とSP、韓国の警察とSP、
そして韓国軍が関わることになるのですが、
本作内で語られる、警察と軍隊のリスク対処の思想の違いが
興味深かったです。

計画が成功したときのプラス要素をどう勘定し、
失敗した時のマイナス要素をどこまで考慮するか、
確かに、組織の目的が違えば、目標設定も効果測定も違うんだろうなと納得。

そのあたりの分析が面白かったので、
ストーリーのリアリティは、あまり気になりませんでした。

日韓関係についても、意外とストレートな物言いで書いてますし、
変な考慮がない分、読みやすかったです。

ま、でも、本作は、十津川警部シリーズの中では
例外的な作品なんでしょうね。


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『汚染海域』
- 2016/05/01(Sun) -
西村京太郎 『汚染海域』(廣済堂)、読了。

公害問題に絡んだ殺人事件を扱っていますが、
サスペンスとしては大した謎が起きませんし、
社会問題の摘発としては、通り一遍の問題の描き方で
どちらにしても非常に中途半端です。

登場人物の性格や、物語における役割も型にはまっていて、
目新しさがありません。

公害の原因を垂れ流し続ける企業と、
漁業補償の確保や風評被害の危惧から声を上げない漁師たち、
海が汚れていくことに真正面から取り組みながら若さゆえに脱線していく若者たち、
どれもありきたりです。

この構造が、ページの95%を読み進んだところまで続いていくので、
最後、どんな結末になるのか、果たして話がちゃんと閉じるのだろうかと
訝しんでいたところ、まさかの、これまたありきたりで投げやりな結末にガッカリでした。


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『十津川警部の休日』
- 2015/10/08(Thu) -
西村京太郎 『十津川警部の休日』(徳間文庫)、通読。

何か軽い読みものはないかなぁ・・・・・・と思って積読の中から出してきました。
もしかすると、初・西村京太郎作品かもしれません。

長編ではなく、お気楽に中編集で。

うーん。
殺人事件の推理は、思いつきとラッキーに偏っている気がしますし、
事件そのものの動機も痴情のもつれ程度で興味が湧かず、
トリックもワクワクする感じの新らしさはなく・・・・・。

どうやって楽しめばよいのか分からないまま終わってしまいました。

やはり長編作品を読まないとダメなんですかね?


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