『生死を分ける転車台』
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- 2021/07/18(Sun) -
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西村京太郎 『生死を分ける転車台』(祥伝社ノンノベル)、読了。
十津川警部モノは、読むたびに「リアリティがない」だの「ご都合主義だ」だの 批判的な感想をたくさん書いてしまうのですが、それでもなぜ読んでいるのかというと 実家のお店のお客さんが読み終わった本を置いていってくださるので、タダで手に入るから(爆)。 とりあえず目の前にあったら手に取ってしまうのが活字中毒のサガでして・・・・・。 あと、やっぱり、気楽に読めるのが良いですね。時間つぶしにピッタリ。 というわけで、またまた十津川警部ですが、今回のテーマは「ジオラマ」。 私の父が学生時代にジオラマづくりをちょっと齧っていたようで、 実家の本棚の一角に、列車の模型がいくつか置いてあります。 でも、幼い頃の私が触っても別に何も言われなかったので、そこまでジオラマ命!って感じではなかった印象。 最近は、弟の子供のために、実家の空いた部屋がプラレールの部屋化しているので ジオラマ愛も少し復活しているのかも。 というわけで、私自身は、ジオラマには興味がなくても親近感は覚えている分野なのですが、 本作に出てくるのは、ジオラマの大会で優勝を争ったり、 はたまた作ったジオラマが数十万円で売れたりするような凄腕のジオラマ職人なので 知らない業界を覗いているような面白さを感じました。 なんとなく私の中でプラモデルとごっちゃになっているので、 ジオラマも作ること自体が楽しいのではないかと思ってしまうのですが、 出来上がった見事な作品を所有すること自体も趣味になるのですね。 殺人事件の犯人捜しの手法として、ちょっとジオラマ愛好家たちのことを マニアな人間というか偏執狂的な性質があるということを前提にして 十津川警部が作戦を組み立てているような気がして、 これは本来のジオラマ好きの人たちからクレーム来ないのかな?とちょっと心配になりました。 あと、肝心の殺人事件は、 なんで、その殺人事件の現場に、たまたまそいつが居合わせて、 しかも足だけ見てるんだよ!!という驚きのご都合主義展開で(苦笑)、 ま、それも十津川警部かなと、ある意味笑いながら読めました。 ![]() |
『消えたエース』
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- 2021/05/26(Wed) -
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西村京太郎 『消えたエース』(角川書店)、読了。
プロ野球界におけるリリーフエースの誘拐事件を描いた作品。 以前に、長嶋巨人軍がまるごと行方不明になるという作品を読みましたが、 本作は阪神タイガースと思われる京阪ハンターズのリリーエース江島が行方不明になり ホステスの殺人事件の容疑をかけられたと思いきや誘拐事件に発展するというもの。 主人公は、京阪ハンターズのマネージャーの男ですが、 彼の目を通して、プロ野球という業界の内情や、球団への愛情、ファンへの思いが語られ、 著者は野球が好きなんだぁな・・・・と感じられて好印象です。 舞台は、優勝争いを演じる1位の巨人と2位の京阪の甲子園4連戦なのですが、 巨人の選手はみんな実名で、京阪側はモデルが類推できる名前を当てられているのですが この扱いの違いはなぜ? 事件に巻き込まれる側なので、クレームが出ないようにということでしょうかね。 問題児のリリーフエース江島は、ぱっと見では江夏豊さんがモデルのように思えますが、 作品中では、江夏選手は日ハムのピッチャーとして出てくるので、 この辺もやっぱりクレーム防止策なのですかね。 さてさて、本題のほうですが、正直、ホステス殺し、ピッチャー誘拐に加えて、 それ以外にも殺人や誘拐が絡んできて、正直、単なる怨恨に対して犯罪を詰め込みすぎという 費用対効果の不経済さが気になってしまいました。 特に、甲子園の試合中に起こる事件は、あんなに観客が大勢いる中で、 しかもファールボールが飛んできて周囲の人が注目している環境下で その展開は無理だろう・・・・・と思ってしまいました。 ただ、甲子園での試合の描写が生き生きとしていて面白かったので、 途中からは、事件の展開よりも、巨人阪神4連戦の展開のほうが気になってくる始末(爆)。 というわけで、本題とは違う部分で楽しめてしまう作品でした。 ![]() |