『十津川警部 愛と祈りのJR見延線』
- 2017/07/21(Fri) -
西村京太郎 『十津川警部 愛と祈りのJR見延線』(集英社文庫)、読了。

気分展開にお気軽ミステリー。

資産家のおばが見延山旅行中に消息不明に。
旅程を組み同行した旅行会社の社員は、実は在籍していなかった・・・・・・

って、もう、この時点で警察に相談するレベルな気がしますが、
なぜか甥は数日間放置。

一方で、叔母の旅行期間中に自らも仕事の合間に見延線に乗ってみて、
たまたま入った駅前の喫茶店のマスターに「変わった事件があったら知らせてください」と
名刺を置いていきます。

この時点では、おばさんが何か事件に巻き込まれたような気配はないのに、
なぜ、赤の他人のマスターに、こんな変なことを頼むの?

というわけで、ストーリー展開には物凄く違和感を覚えましたが、
舞台となる新興宗教の秘密の儀式「ポストマン」は、興味深いものでした。

重病に冒されるなどして、間もなく命が尽きる身寄りのない人に最期の良い思い出を提供し、
代わりに、あの世の世界にいる故人へのメッセージを託す。
メッセージが伝われば、故人が夢に出てきて御礼を言うという、
なんとも、悩める人間の心理状態を上手く手玉に取った詐欺の手口。

でも、死んでいく人も幸せ、メッセージを託す人も幸せになるという
一見、誰も不幸を感じないやり口がお見事。

この仕組みを考えた教団関係者は凄いなぁ・・・・と素直に思いましたが、
しかし、死期をコントロールするために薬で安楽死させたら、
日本では殺人罪でしょうに。
しかも、本作の捜査関係者は、誰もそこに突っ込まないという(爆)。

捜査の発端はホテルで死んだ男かもしれませんが、
下手したら新興宗教団体による安楽死という名の連続殺人事件の可能性もあるわけで、
警察だったら、そこに食いつきなさいよ!と思わずにはいられない変な展開。

新興宗教を扱った小説としては面白かったですが、
ミステリーとしては、何だかモヤモヤの募る読書でした。


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西村 京太郎

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『飯田線・愛と死の旋律』
- 2017/05/23(Tue) -
西村京太郎 『飯田線・愛と死の旋律』(集英社文庫)、読了。

息抜きに十津川警部をば。

国土交通省(と思われるK省)の部長が帰宅途中に撲られ意識不明に陥る。
航空事故調査委員会の結論に強硬に反対していた部長は、
当該事故を起こした航空会社に命を狙われたのではないかと噂され・・・・。

というようにまとめると、社会派事件のような期待感を持ちますが、
被害者部長の意識を取り戻すべく、奥様が耳元でオルゴールで思い出の歌を聞かせて
必死に看病を続けるという夫婦愛の話に重きが置かれていて、
社会派サスペンスとしては掘りが浅かったです。

事故調査委員会と国策融資という興味深いテーマは、
上手く料理できれば重厚な作品になり得ただけに勿体ない!


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『ミステリー列車が消えた』
- 2017/03/08(Wed) -
西村京太郎 『ミステリー列車が消えた』(新潮文庫)、読了。

国鉄が企画した行き先不明の「ミステリー列車」。
相当な倍率の抽選を経て乗車できた400人の乗客は、
いつも間にか列車ごと行方不明になっていた・・・・・。

鉄道ミステリーを得意とする著者らしく、
ミステリー列車という企画モノの設定が事件に与える制約が面白く、
また、誘拐事件の犯行計画の組み立てなど、
「そんなことが可能なのか!」というマニアックな視点が活かされており、
プロットは面白かったです。

しかし、警察側の捜査体制があまりにリアリティがなく、
エンタメ性というか、十津川警部のスーパーマンぶりを誇示するために
荒唐無稽な推理小説になってしまった感があります。

400人もの乗客が行方不明になり、国鉄の総裁さえ巻き込んだ騒動になっているのに、
警察側も国鉄側も事件解決に投入されている人員は数名。
日本社会において最も統制のとれた組織の一つであろう警察と鉄道。
この2つが組み合わさりながら、個人プレーで解決しようとする設定は
キャラクタ・シリーズものの限界を覚えずにはいられません。

そして、捜査の進め方や推理の展開1つ1つにしても、疑問が。
ミステリ列車が行方不明になったことを隠ぺいするために
旅程が急遽1日延長されたと家族たちに発表したり、
川であがった死体の額に帽子の日焼け跡があっただけで鉄道マンだと判断したり、
民間飛行機の追跡を自衛隊に頼んだり。
そりゃぁ、ないでしょうに・・・・・。

エンタメ性を追求しすぎて、荒唐無稽さが目についてしまいました。

あと、現在の運行管理情報が細かく把握されている仕組みのもとでは、
このような犯行は不可能でしょうから、あくまで昭和の時代のお話というか、
もしかすると、私よりも若い世代の人たちは、もうこのようなアナログ社会を
想像できないのではないかと思ってしまいました。


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『びわ湖環状線に死す』
- 2016/11/04(Fri) -
西村京太郎 『びわ湖環状線に死す』(光文社文庫)、読了。

東京で末期の病状のホームレスを収容する施設で
老人が1人死んだ。
遺族を探し、数少ない遺品を手渡そうと職員が滋賀県に向かうが、
その道中で1人死に、2人死に・・・・。

舞台設定は現代風で面白いと思いました。
滋賀県に移ってからも、質屋が登場したり、地元企業の社長が登場したり、
話が大きくなっていく感じがあり、ワクワクしたのですが、
ページを進むにつれて、新事実の発見が間遠くなり、
なんだか物語のスピードがペースダウン。

そして、「あと数ページしかないのに、会議室で捜査方針を検討してて解決できるの?」
と思っていたら、まさかの展開であっけなく幕切れ。

え?って感じでした。


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『韓国新幹線を追え』
- 2016/06/21(Tue) -
西村京太郎 『韓国新幹線を追え』(光文社文庫)、読了。

十津川警部、なぜか韓国で起きる要人暗殺事件を担当することに。
どんだけ担当範囲が広いんだ!(苦笑)という内容で、
警察の組織論としてはリアリティがないのですが、
軍隊モノとして読んだら意外と面白かったです。

要人暗殺未遂事件の対処のために、
十津川警部ら日本の警察とSP、韓国の警察とSP、
そして韓国軍が関わることになるのですが、
本作内で語られる、警察と軍隊のリスク対処の思想の違いが
興味深かったです。

計画が成功したときのプラス要素をどう勘定し、
失敗した時のマイナス要素をどこまで考慮するか、
確かに、組織の目的が違えば、目標設定も効果測定も違うんだろうなと納得。

そのあたりの分析が面白かったので、
ストーリーのリアリティは、あまり気になりませんでした。

日韓関係についても、意外とストレートな物言いで書いてますし、
変な考慮がない分、読みやすかったです。

ま、でも、本作は、十津川警部シリーズの中では
例外的な作品なんでしょうね。


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『汚染海域』
- 2016/05/01(Sun) -
西村京太郎 『汚染海域』(廣済堂)、読了。

公害問題に絡んだ殺人事件を扱っていますが、
サスペンスとしては大した謎が起きませんし、
社会問題の摘発としては、通り一遍の問題の描き方で
どちらにしても非常に中途半端です。

登場人物の性格や、物語における役割も型にはまっていて、
目新しさがありません。

公害の原因を垂れ流し続ける企業と、
漁業補償の確保や風評被害の危惧から声を上げない漁師たち、
海が汚れていくことに真正面から取り組みながら若さゆえに脱線していく若者たち、
どれもありきたりです。

この構造が、ページの95%を読み進んだところまで続いていくので、
最後、どんな結末になるのか、果たして話がちゃんと閉じるのだろうかと
訝しんでいたところ、まさかの、これまたありきたりで投げやりな結末にガッカリでした。


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西村 京太郎

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『十津川警部の休日』
- 2015/10/08(Thu) -
西村京太郎 『十津川警部の休日』(徳間文庫)、通読。

何か軽い読みものはないかなぁ・・・・・・と思って積読の中から出してきました。
もしかすると、初・西村京太郎作品かもしれません。

長編ではなく、お気楽に中編集で。

うーん。
殺人事件の推理は、思いつきとラッキーに偏っている気がしますし、
事件そのものの動機も痴情のもつれ程度で興味が湧かず、
トリックもワクワクする感じの新らしさはなく・・・・・。

どうやって楽しめばよいのか分からないまま終わってしまいました。

やはり長編作品を読まないとダメなんですかね?


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