fc2ブログ
『こちら、団地探偵局』
- 2023/02/23(Thu) -
赤川次郎 『こちら、団地探偵局』(角川文庫)、読了。

高校&大学の同級生だった若妻2人が偶然ばったり遭遇し、
同じ団地に住んでいることが発覚。
片方は、仕事に忙しい旦那に放置され毎日毎日時間を持て余している一方、
もう片方は2歳の息子を抱えママ業が忙しい日々。

そんな日常において、ママは団地内の住人の相手に、ボランティア的な探偵ごっこをしており、
同級生も助手として手伝うことに・・・・・。

赤川作品らしい、気軽に読める日常推理もの。
団地の日常にありがちな夫婦喧嘩や不倫騒動などを事件に据え、
パット見は在り来たりな事件に思えるその裏側で真相は・・・・という構成です。

分かりやすいギャグもちりばめられ、カリカチュアライズされたキャラ設定とか
気軽に楽しめます。

そして、あー、やっぱり団地の人間関係は私には耐えられそうもないし、
専業主婦という役割もこなせそうにないわー、という
前から分かっていたことを、改めて認識する読書となりました(苦笑)。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  赤川次郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『いつか誰かが殺される』
- 2022/11/18(Fri) -
赤川次郎 『いつか誰かが殺される』(角川文庫)、読了。

金持ちの老女の誕生日パーティでは、
毎年、趣向を凝らした催し物が子供たちによって開催される。
今年は、仕込みの行方不明事件を探偵に人探しさせて、その様子をリアルタイムに観察、
探偵が新たな展開を迎えるたびに、どういう行動に出るかを賭けるという
まぁ、成金趣味的なものでした。

しかし、そこに、殺人事件の脱走犯が加わり、
それを追う刑事が加わり、その刑事の奥さんが加わり・・・・・・
まぁ、ハチャメチャな展開です。

そもそも老女のキャラクターが、人の不幸をなんとも思っていないような破天荒さなので、
全編ギャグサスペンスとして読みました。
特別面白いわけではないけど、息抜きにはお手軽でよかったです。




にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL |  赤川次郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『血とバラ』
- 2022/07/04(Mon) -
赤川次郎 『血とバラ』(角川文庫)、読了。

しばらく前に読み終わってたのですが、投稿し忘れてました。

「懐かしの名画ミステリー」というサブタイトルのとおり、
映画作品をモチーフにした短編推理小説が5編入ってますが、
私が映画について造詣がないため、どの作品もモチーフとなっている映画がピンとこず、
単なる短編推理小説として読みました(苦笑)。

「忘れじの面影」では、警視庁警部を定年退職したベテラン捜査官が主人公。
相談を持ち込まれ、訪問した先の邸宅で、
遺産相続をめぐる子供たちの諍いについて未亡人から聞かされますが、
その未亡人の行動には、どうも認知症の症状のようなところがあり、
そもそもの相談内容の信憑性が揺らいで・・・・・。
お金があると、血のつながった家族でも、やっぱりこうなっちゃうんですかねー、
という在り来たりな感想になりました。

「血とバラ」は、ヨーロッパ旅行から帰ってきた恋人の様子がおかしく、
心配しつつも原因が分からず右往左往する男が主人公。
コトの真相は、ある意味、映画的なのかな。
結構、不気味な作品でした。

「自由を我等に」では、命を狙っているという通報があった金持ちを警護しに
警察の凸凹コンビが邸宅で付きっ切りで張り付きます。
おとぼけコンビなので、かなり軽いノリの作品ですが、
これぐらいの方が、赤川作品は気楽でよいのかな。

「花嫁の父」は、生き別れた娘の結婚式を一目見ようとする男と、
結婚式の祝儀泥棒とがドタバタする話。
イマイチ相乗効果がなかったような。

最後、「冬のライオン」も、やっぱり親子間の愛憎劇。
人間みんな、金でおかしくなっちゃうんですねー。




にほんブログ村 本ブログへ



この記事のURL |  赤川次郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『三毛猫ホームズの恐怖館』
- 2022/06/10(Fri) -
赤川次郎 『三毛猫ホームズの恐怖館』(角川文庫)、読了。

仕事が忙しいので、お気楽読書のつもりで手に取ったのですが、
いろんな女子高生がどんどん襲われ、しかも女子高生同士の人間関係がなんだか複雑なので
頭が疲れました・・・・・。

しかも、捻くれた高校生や、背伸びした高校生ばかりが登場し、
爽やかさがないので、そちらの意味でも疲れました。

高校の「怪奇クラブ」が舞台ということで、
古典のホラー映画がたくさん登場してくるので、
その手の話が好きな人にはたまらない作品なんでしょうね。
私はホラー全般がダメなので、思い入れゼロ(苦笑)。

全然気乗りしないまま物語が進んでいってしまったのですが、
終盤の演劇部の上演シーンは面白かったです。
演劇の内容と、さらにそこにオーバーラップする現実の事件の真相、
この見せ方が上手いなと思いました。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  赤川次郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『三毛猫ホームズの狂死曲』
- 2022/02/16(Wed) -
赤川次郎 『三毛猫ホームズの狂死曲』(角川文庫)、読了。

有名指揮者が主催するバイオリン・コンクールの決勝戦1週間前。
指揮者が用意した邸宅に決勝出場者全員が1週間缶詰にされ、
コンクール用に作曲された新曲も含めて最後の練習に向かう・・・・・。

この決勝出場者の1人が、缶詰になる直前に何者かに襲われるという事件が起き、
片山刑事が一緒に住み込むことに。
しかし、片山刑事の目の前で、死体が1体、2体と現れ・・・・。

とにかくいろんな人が傷つけられたり、殺されたり、中には自分を傷つけたりして、
なんとも恐ろしい状態になっているのに、続行されていくコンテスト。
幼いころからバイオリンに打ち込んできた青年男女の強い信念、
そして彼らの親(特に母親)の執念が渦巻いていて、人間って怖い!

こんな1週間も缶詰め状態にされるようなコンテストが現実世界でもあるのかどうか
全く知らないのですが、そういう極限状態に置かれたら、人間の本性が出ちゃいますよね。
個人のキャラクターに加え、金持ちの家の子の我が儘という追加要素もあり
みんな、嫌味な人間に出来上がってます(苦笑)。

そういう金持ちコミュニティの人間関係というか、
子供への投資の仕方とか、自分の子が最優先の我が儘の通し方とか、
そういう部分を特に興味深く読みました(笑)。
ま、実際にお金持ちの方からは、「こんなんじゃないよ!」と言われるのでしょうけれど。

そして、有名指揮者の朝倉と、コンクールの実際を仕切っている須田、
細かな運営には興味がない朝倉は、須田に実務を丸投げしてますが、
正直、こういう経営者だと現場責任者はやりやすいですよねー。
結果さえちゃんと出せば、ある程度の裁量を任せてもらえるのですから。
ある意味、いい職場だなーなんて、変な感想を持ちながら読んでました。

殺人事件や脅迫事件については、もう、ファンタジーの世界みたいな
非現実的な要素を強く感じたので、ま、物語を進めるためのスパイス程度に捉えて、
片山兄妹やホームズの活躍に、あはは、と笑いながら読めました。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  赤川次郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『三毛猫ホームズの駆け落ち』
- 2021/12/13(Mon) -
赤川次郎 『三毛猫ホームズの駆け落ち』(角川文庫)、読了。

三毛猫ホームズシリーズも何作か読むと
この緩い推理展開と、ぶっ飛んだ事件構成も楽しめるようになってきますね。

とある地方で対立する2つの名家から12年前に駆け落ちしてきた10代の少年少女。
東京に逃げ延び、新たな生活の中で自分の人生を歩んでいましたが、
地元に残っている名家の跡継ぎが2人とも一度に亡くなる事件が起こり、
跡継ぎ問題やら相続やらで、駆け落ちした2人の存在が問題になり、
地方から東京へ、2人を探しに追手が派遣されることに・・・・。

この駆け落ちした2人の名前と、主人公の片山兄妹の名前が一緒だったことから
人違いの騒動が持ち上がり、事件に巻き込まれていく片山兄妹。
さらに東京で、関係者の間に殺人事件が続き、刑事としても事件に関わることになっていきます。

地方の名家の関係者が、みな、短期でおっちょこちょいという
ドタバタコメディの定番設定で、わかりやすいです。

そして、肝心の駆け落ちしてきた2人は、
単なる純愛話に終わらせるのではなく、人間ってそういう感情を持ってるよなーという
黒い部分を描いていて、結構シビアな視線を向けています。
このあたりの、登場人物のドタバタさと、片山兄妹周辺のポップさと、
物語の根底に流れるダークさとのバランスが良い作品でした。

あ、トリックや動機は無理筋ですよ(爆)。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  赤川次郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『死体は眠らない』
- 2021/06/05(Sat) -
赤川次郎 『死体は眠らない』(カドカワノベルズ)、読了。

金持ちのボンボンが、浮気相手と暮らすために煩い妻を殺害。
ところが、その妻の父親が亡くなったとの連絡が飛び込んできたことから、
妻が誘拐されて行方不明で葬儀に出席できないと嘘をつき、
そこから自体は二転三転・・・・・。

ドタバタコメディサスペンス作品です。
いったい何人の人が死んだんだろうというような展開に苦笑いですが、
お気楽サスペンスなので気にしないことに。

主人公も浮気相手とフラフラしてるし、やってきた刑事も頼りないし、
なんだか怪しい素性の人がどんどん絡んでくるしで、
ハチャメチャですが、そのハチャメチャぶりをはははと笑う作品なのでしょうね。

死体があっちいったり、こっちいったり、かなり豪快な展開をしていますが、
最後、ちゃんと、なんでそんなことになったのかは筋道つけて説明されていたので
そこの組み立て力は凄いなと。リアリティは別にして。

赤川作品の魅力がわかりやすく詰まっている作品のように思いました。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  赤川次郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『悪魔のような女』
- 2020/12/15(Tue) -
赤川次郎 『悪魔のような女』(角川文庫)、読了。

お手軽読書に短編集を。

冒頭の「暴力教室」は、進学校の中学校で起きた陰湿ないじめ事件がテーマ。
俗にいう「葬式ごっこ事件」は昭和60年、本作は昭和57年の発行のため、
時代を先取りした作品だったのかも・・・・と思います。

先生をもいじめの被害者として巻き込むことで、リアリティを抑制するというか
エンタメ性を高めるというか、そういう処理を施してありますが、
昭和終盤の学校における歪んだ空気をよく伝えている作品なのかなと思います。
私は生まれたばかりの頃なので、あくまで想像ですが。

「召使」は、ある日突然、安アパートの一室に召使を名乗る男がやってきて、
無償で家事一般を全て引き受けてくれるという夢のような物語。
設定がなんだか星新一っぽいなと思いながら楽しく読んでいましたが、
途中で殺人事件が起こり、赤川作品に変質したような印象でした。

召使がやってきた当初は、夫婦ともに丁寧な言葉遣いで配慮しながらものを頼んでいたのに、
すぐに横柄な上から目線の口調になってしまうところに、人間の悲しさを見ました。

「野菊の如き君なりき」は、どの登場人物の行動も、あんまりぴんと来ない話でした。

「悪魔のような女」も、登場人物たちの行動がちくはぐな印象受けました。
まぁ、このような短編に、あんまりリアリティを求めてもいけないのかもしれませんが。

とりあえず、時間つぶしには適したお気楽本というところでしょうか。




にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL |  赤川次郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『サラリーマンよ悪意を抱け』
- 2020/03/16(Mon) -
赤川次郎 『サラリーマンよ悪意を抱け』(新潮社)、読了。

サラリーマンを主人公にした短編集です。
上司に殺意を抱いたり、同僚に殺意を抱いたり、愛人に殺意を抱いたり、
物騒なお話たちです。

どの物語も、悪意がカリカチュアライズされているので
リアリティはないのですが、「実行はしないけど、そういう気持ちになることはあるよなぁ」と
殺意をついつい肯定してしまいます(笑)。
サラリーマン諸氏ならば、共感できる部分はあるのではないでしょうか。

個人的に好きだったのは、会社ではなく
やっと購入したマイホームのご近所さん付き合いがテーマの「沿線同盟」。
展開する物語にはこれまたリアリティはないのですが、
でも、ご近所付き合いの難しさというか、利権の中に新参者として飛び込んでいく難しさは
面白おかしく表現されていたなと思いました。




にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL |  赤川次郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『窓からの眺め』
- 2019/09/16(Mon) -
赤川次郎 『窓からの眺め』(文春文庫)、読了。

近所のおじさんにもらった本。

4人の中年男女の日常が順番に描かれていき、
それぞれに素性の分からない不思議な女性が絡んでくるのですが、
どういう繋がりになっていくのかな?と、結構気になってしまい
どんどん読み進めていけました。

かなり意図的にグイグイこの女性が絡んでくるので、
まぁ、強い悪意を持って何か企んでるんだろうなということは分かるのですが、
逆に、4人の男女の反応があまりに危機感無く受け入れてるので、
「ちょっと気持ちが緩すぎない?」と思っちゃいましたが、
しかし、4人の過去の繋がりが見えて来たら、何となく納得できてしまいました。
この程度の思考回路だからかと(苦笑)。

あんまり気持ちの良い話ではないですが、
でも、何となく読めてしまえたのは、著者の力量かな。




にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL |  赤川次郎 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン | 次ページ