『三毛猫ホームズの駆け落ち』
|
- 2021/12/13(Mon) -
|
赤川次郎 『三毛猫ホームズの駆け落ち』(角川文庫)、読了。
三毛猫ホームズシリーズも何作か読むと、 この緩い推理展開と、ぶっ飛んだ事件構成も楽しめるようになってきますね。 とある地方で対立する2つの名家から12年前に駆け落ちしてきた10代の少年少女。 東京に逃げ延び、新たな生活の中で自分の人生を歩んでいましたが、 地元に残っている名家の跡継ぎが2人とも一度に亡くなる事件が起こり、 跡継ぎ問題やら相続やらで、駆け落ちした2人の存在が問題になり、 地方から東京へ、2人を探しに追手が派遣されることに・・・・。 この駆け落ちした2人の名前と、主人公の片山兄妹の名前が一緒だったことから 人違いの騒動が持ち上がり、事件に巻き込まれていく片山兄妹。 さらに東京で、関係者の間に殺人事件が続き、刑事としても事件に関わることになっていきます。 地方の名家の関係者が、みな、短期でおっちょこちょいという ドタバタコメディの定番設定で、わかりやすいです。 そして、肝心の駆け落ちしてきた2人は、 単なる純愛話に終わらせるのではなく、人間ってそういう感情を持ってるよなーという 黒い部分を描いていて、結構シビアな視線を向けています。 このあたりの、登場人物のドタバタさと、片山兄妹周辺のポップさと、 物語の根底に流れるダークさとのバランスが良い作品でした。 あ、トリックや動機は無理筋ですよ(爆)。 ![]() |