『殺人ダイヤルを捜せ』
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- 2016/03/07(Mon) -
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島田荘司 『殺人ダイヤルを捜せ』(講談社文庫)、読了。
電話交換手の女性が、退屈しのぎにHな電話をすることにはまってしまい、 夜な夜な見知らぬ電話番号に架け続けていたところ、 ある日、繋がった先の電話から、「助けて!殺される!」と叫ばれてしまう・・・・。 適度にエロチックで、適度に悪意が充満していて、 旅先から戻ってくる車中で読むには、お手軽なサスペンスでした。 「電話交換手」という職業からして、昭和を感じさせる作品ですが、 その古さのおかげで、読む前のハードルが低めだったので、 テンポのよい物語展開に、そこそこ飽きずに読んでいくことができ、手頃感を感じられる読書でした。 殺人のトリックとしては、かなり手が込んでいる上に、 犯人側の予定通りにモノゴトが進んでくれるという御都合主義的な部分はありますが、 ま、たまには、こういうサスペンスも良いかなと思える感じでした。 メインの電話トリックは、なるほどねぇと思われるものでした。 (私がモノゴトを知らないだけでしょうか!?) ただ、最後、犯人がトリックをべらべら自分でしゃべってしまう展開は興ざめ。 こういう謎解きに至るストーリーの部分は、丁寧に作って欲しいなぁと思います。
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『御手洗潔のダンス』
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- 2014/06/28(Sat) -
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島田荘司 『御手洗潔のダンス』(講談社文庫)、読了。
有名な探偵シリーズですので、読んでみました。 が、御手洗ファンの人たちには楽しめるのかもしれませんが、 普通の本好きとしては、イマイチな感じでした。 まぁ、新本格というジャンル自体が、得意ではないせいもあるのですが、 中編集だからといって読みやすくなるわけでもありませんでした・・・・・。 起きている事件自体に興味を持てなくて、 「どうやってこの難問を解くんだろう!?」というワクワク感が得られなかったのが 最大の理由だったように思います。 被害者に興味、共感が持てなかったということなのでしょうかね。 あと、探偵役が理屈っぽくて面倒なヤツなのは全然大丈夫なのですが、 本作では、急に社会問題を熱く語り出すので、 「なんだこの政治的メッセージは!?」と、ここでも醒めてしまいました。 ファンタジーなら、ファンタジーの世界で完結させれば良いのに・・・・・と。 最後の「近況報告」は、謎でもなんでもなく、御手洗潔の人となりを述べたもの。 こういうのは、ファンクラブの会報誌でやってくださいよ・・・・・・。
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『占星術殺人事件』
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- 2010/03/21(Sun) -
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島田荘司 『占星術殺人事件』(講談社文庫)、読了。
「新本格」のエポックメイキングとされる本作に挑戦してみました。 6人姉妹を切り刻んで、それぞれから取った肉体の一部をつなぎ合わせて 完成された美の人形を作るという狂気の発想からスタートするような 異様な事件の物語は、「リアリティがない」として、 普段ならあまり興味を持たないのですが、 この作品は、最後まで気になって読んでしまいました。 あまりに狂気をはらんだ設定なので、 ちょっと距離を置きながらの読書だったのですが、 最後に与えられたヒントでトリックは思いつくことができました。 なので、後半は謎解きというよりも答え合わせとして読み進めたのですが、 犯人も予想通りで、満足感を得るとともに、ちょっとあっけない感じも。 新本格の作品は、謎解きが種になるので、 どうしても動機の面の作り込みが弱いと感じてしまうのですが、 本作も、その感は否めず。 まぁ、でも、この本を一冊読めば、 新本格というジャンルがどういうものかを理解することができるので、 やはり代表的な良作なんだと思います。
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