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『霖雨』
- 2016/03/06(Sun) -
葉室麟 『霖雨』(PHP学芸文庫)、通読。

実家に置いてあったので読んでみました。
が、うーん、あまり刺さりませんでした。

大塩平八郎の乱が起きた頃の不安定な時代にあって、
天領の豊後日田で私塾を開く広瀬淡窓とその弟で商人の九兵衛を中心とした物語。

時代の不安定さは端々に描写されているのですが、
それに対する主人公2人の姿勢が、基本的に「受容する」という受け身の姿勢に思われ、
あまり共感できませんでした。

そもそも物語の展開も静かな感じで、ワクワク感が得られず。

直木賞受賞のご褒美に、かねてから書きたかった作品を思う存分好きなように書かせてもらった
というところでしょうかね。

こういう静かな世界観は、若輩者の私には楽しめませんでした。


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『実朝の首』
- 2016/01/26(Tue) -
葉室麟 『実朝の首』(角川文庫)、読了。

鎌倉幕府3代将軍・源実朝の暗殺事件の後の展開を追った作品。

どうやら、実朝の首の行方は、歴史上きちんと確認されていないようで、
その謎について著者なりの推理をめぐらした作品となっているようです。

歴史ミステリ的な側面があるので、歴史好きな人には面白い作品なのでしょうが、
私はあまり作品の世界に入っていけませんでした。

そもそも、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての、
武士の文化がそれほど好きではないのだと、本作で実感しました。

室町時代以降の、武士としての矜持や心構えのようなものが
まだ鎌倉時代ですと確立されておらず、非常に無骨で生々しい感覚で判断をしている様子に、
どうしても野卑な感じを覚えてしまい、好きになれません。

この後、執権の北條氏により御成敗式目が定められ、
武家として守るべきルールができたことで、武士の文化や教養が生まれていったのだと思うので、
武家文化の確率という意味では、鎌倉時代は大きな転換点だったのでしょうね。

というわけで、御成敗式目以前の話なので、
欲望に純粋な武士の姿が、少々野蛮に感じられて、登場人物たちに気持ちが寄せられませんでした。

ま、これは好みの問題ですから、仕方がないですね。


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『蜩ノ記』
- 2014/01/05(Sun) -
葉室麟 『蜩ノ記』(祥伝社)、読了。

父の本棚から借りてきました。
直木賞受賞作。
藩主の側室と不義密通を犯した罪で、切腹を言い渡された秋谷。
しかし、家譜編纂の役目を果たすため、切腹は十年後とされる。
その秋谷の見張り役として幽閉先に遣わされた主人公が、過去の事件の真相に近づく・

あまり時代小説の長編は読んだことがないのですが、
最初は、淡々とした話の流れに、こんなものかな・・・・とやや退屈気味。
一揆の動きなども、秋谷による説得で早々に封じ込められ、
あまり大きな動きはありません。

しかし、「御由緒書」が表に出てきてからは、家老一派の動きが活発になり、
また村民にも死者や逃亡者が出るなど、大きな影響を及ぼします。
そんな中、秋谷の一家は、武家の名に恥じぬ姿勢で臨みます。

最後のシーンは、予想された結末とはいえ、
じーんと来ました。


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