『西ひがし』
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- 2016/02/03(Wed) -
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金子光晴 『西ひがし』(中公文庫)、読了。
金子エッセイも3作品目となりましたが、 独特の世界観が、高尚な印象を作り上げており、 私には少し敷居が高い感じが拭えません。 太平洋戦争へと向かっていく日本の姿を、 欧州からアジアへと移動する間に遠くから眺めつつ、 各地で日本人に対して向けられる厳しい視線を感じつつ、 それでも、放浪を続ける著者。 この感覚を、現代の安定した社会でのほほんと過ごす立場で 共感しながら読むというのは、なかなか難しいことです。 私にはまだ、人生経験が足りません。
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『どくろ杯』
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- 2015/12/11(Fri) -
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金子光晴 『どくろ杯』(文春文庫)、読了。
著者の本は、唯一、『マレー蘭印紀行』を読んだことがあるだけなので、 その崇高な文章が記憶に残っていたのですが・・・・ 本作を読んでみてビックリ。 女性とのゴタゴタや貧乏暮らしなど、浮き草人生をそのまま書き下ろしていて、 一気に印象が変わりました。 自分の周りにこういう人が居たら、明らかに問題児(苦笑)。 無計画だわ、仕事はしないわ、女学生にうつつを抜かすわ、借金はするわ。 それでいて、家を訪れる人が絶えないというのは、 才能なのか、人間的魅力なのか、関わったら巻き込まれるのか、 不思議な存在です。 あんまり読書エネルギーが充填されていない状況で 本作を手にとってしまったので、読み込むところまでは至れませんでした。 もうちょっと心がのんびりしているときに再読したほうが良さそうです。
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『マレー蘭印紀行』
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- 2011/08/19(Fri) -
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金子光晴 『マレー蘭印紀行』(中公文庫)、読了。
ほとんど勢いで買ってきた一冊。 著者にも、テーマにも、ほとんど思い入れはないのですが、 お盆近くになると、読書感想文的な、古めの本を読みたくなってしまいます。 本作は、詩人・金子光晴が昭和初期に、マレー半島を回ったときの旅行記。 思に、日本人が経営するゴム園などを訪問し、 日本人との交流、マレー半島の景色のほか、 マレー人の従業員やクーリーなどの様子を描写しています。 さすが詩人というだけあって、日本語のリズム感が流麗です。 読んでいて、すらすらと流れるような心地よさです。 ただ、一つ残念だったのが、 自分があんまりマレー半島というものに興味が無かったこと(爆)。 ま、でも、夏に読んでいて涼感を感じる作品でした。
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