『求愛瞳孔反射』
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- 2019/10/10(Thu) -
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穂村弘 『求愛瞳孔反射』(河出文庫)、読了。
中身をよく見ずに著者名だけで買ってきたら詩集でした。 しかも恋愛もの。 分かってたら買わなかったであろう作品です(苦笑)。 挑戦してみましたが、やっぱり苦手でした。 もし、これが、恋愛に対して冷静な目で見ている詩だったら行けたかもしれませんが、 当事者の心の模様をストレートにというか、過剰なまでにそのままに謳っているので、 正直少し引いてしまいました。 エッセイでも、気持ちが過剰にあふれ出ている感がある著者ですが、 詩という形態をとったら、ドバドバこぼれてしまっていて 私には受け止めきれませんでした。 若い女性だったら、楽しめるのかな。 ![]() |
『絶叫委員会』
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- 2017/08/26(Sat) -
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穂村弘 『絶叫委員会』(ちくま文庫)、読了。
雑誌のコラムをまとめたものです。 著者が日常生活で聞いた、目にした言葉で、 強烈な印象を残したものについて書いています。 どの言葉も、文章にするとドキッとするものだったり、 ワハハと思えるものだったり、十分面白いのですが、 それ以上に、著者の言葉に対する感度の高さに感心します。 歌人なんだから当たり前だ!と怒られてしまいそうですが、 自分自身の中にある言葉に敏感なだけでなく、 自分の外にある言葉、他人が発した言葉にも ここまで敏感だということに、やっぱり凄いなと。 私だったら聞き逃していそうですし、 わざわざノートにメモるような行動に移らないと思います。 そこを地道に拾っていく著者。 そりゃ、変な会話にも遭遇しますわね。 あと、著者が子供の頃、右と左が分からなかったという話。 どっちがどっちか分からなくなるということではなく、 東西南北と違って、自分が動けば右の方向が変化するということで 混乱したという穂村クン。 私、右と左を、方向として捉えたことがなかったので、 この視点は目からウロコでした。 絶対的な方向か、相対的な方向かということなのですが、 この2つを混乱させた穂村クンの考え方にも驚きましたし、 この2つを特に混乱することなく理解した幼い私にも何だか驚いてしまいました。 視点って、本当に面白いですね。
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『現実入門』
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- 2015/02/28(Sat) -
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穂村弘 『現実入門』(光文社文庫)、読了。
普通の人がやっていることを経験がしたことがないという著者。 では、連載のネタにいろいろやってみましょう!という一冊。 健康ランドとか、競馬とか、献血とかありながら、 合コンとか、モデルルームとか、結婚式場選びとか、パパとか、 「結婚」というキーワードで括られるものも多く、内容が偏ってる印象です。 担当編集者のサクマさんという方が、若くて美人の女性であり、 その彼女と一緒に体験するというコンセプトなので、 どうしても著者の恋人妄想(笑)が広がってしまうからかもしれませんが。 42歳独身であることに非常な負け意識を持っているような著者が サクマさんに向けて妄想を爆発させていると、 なんだかサクマさんとこの仕事のあと結婚したのではないかと思ってしまうほど。 ま、それも著者の描く世界観のなせる業なんでしょうかね。
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『本当はちがうんだ日記』
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- 2015/01/15(Thu) -
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穂村弘 『本当はちがうんだ日記』(集英社文庫)、読了。
タイトル買いしてきた一冊。歌人さんのエッセイでした。 1篇が4ページずつなのでサクサク読めます。 最初に収録されている「エスプレッソが苦い」という、ただそれだけのことを 延々と書いている文章を読んだときに、ムネリン系のエッセイかな?と思ったのですが、 ムネリンが外部世界と齟齬を来たしてしまう自分というI/F部分を描いているのに対して 穂村サンは、なんでこうなっちゃうんだろう・・・と内面世界の洞察に落ちていくことが多く、 基本的に異質なエッセイだと理解できました。 内面に落ちていくので、時々しんどい部分が垣間見えます。 暗い部分と言っても良いでしょうか。 でも、読んでいるこちらが暗い気持ちになることはないです。 多分、著者が、世界との向き合い方を自分のものにしているというか、 達観しちゃってる部分があるからかなと思います。 こんな自分なんだから仕方ないじゃん的な。 そして、その達観が、なんとなく私自身に通じるところもあり、 著者が書いた文章を読むと、「あ、なんだか、ここは割り切っちゃいけないのかも」と 反面教師的な反省をしてみたり・・・・。 いろいろ複雑な思いを抱える読書となりました。
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