『老いかたレッスン』
- 2017/03/16(Thu) -
渡辺淳一 『老いかたレッスン』(新潮社)、読了。

老年学の本を読んだので、
もう一冊、実家にあった老年にまつわる本をば。

どんなことが指南されているのか、恐々と読んでみたのですが、
こちらも、30代の私から見ても納得できる内容でした。

年を取れば体が言うことを聞かなくなってくるのだから、
それは仕方のないこととして受け入れて、
自分自身の身の丈に合った中で、できることをしっかりとやろうという教え。

無理な背伸びをするのではなく、
自分のできる範囲の中で、なるべく上を目指そうとする前向きな姿勢。
冷静さと前向きさのバランスということでしょうかね。

後半、友人F氏の定年退職後・・・・という設定で
小説風のお話が描かれていきますが、
心理描写や気持ちと行動の繋がり方など、
さすがに上手いなぁと思ってしまう描き方でした。
当事者の年代の方たちが読むと、重みがあるのではないでしょうか。

男性向けには、このような指南書が必要になるのに、
女性は自立して自分の老後を楽しんでいる方が多いように思います。
女性は強い!という常識とされている事象を改めて認識した次第です。


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『孤舟』
- 2016/01/24(Sun) -
渡辺淳一 『孤舟』(集英社文庫)、読了。

会社でのポスト争いに負け、定年でキッパリと退職した主人公。
しかし、趣味もない60歳の男は、毎日何をすればよいのか途方に暮れ・・・・。

燃え尽き症候群、孤独な老人像、熟年離婚といった
社会問題レベルのものを扱っているにも関わらず、
掘り方が甘くて、単なる1人のおじさんの話で終わってしまっていて残念。

最後も非常に甘々な終わり方で、世の中のオジサンの理想を表現したのかもしれませんが、
現実味のなさに引いてしまいました。
結局、何も問題解決になっていないし、読者に対する問題提起にもなっていません。

というわけで、作品自体は不満足だったのですが、
一方で、自分の父親のことを思うと、少々心配に。

飲食店経営なので定年はないですし、お客様や近所の人たちとの付き合いも
きちんとこなして、お店で囲碁の会を開いたり、フランス語教室に通ったり好きなこともしているので、
本作の主人公のような心配はないのですが・・・・。

体力的なことを考えれば、あと3年ぐらいで仕事を辞めると言い出してもおかしくない感じで、
週6日、朝から夕方まで、母と2人でやっている店を閉めたら、
どんな生活が待っているのか、いまいち想像できません。

以前よりは、店の営業時間を短くして夜の時間を自由にしたり、
定休日以外に臨時休業を取って、2人で遊びに出かけたりもしているようですが、
毎日がお休みとなったら、どうするのでしょうか?

娘としては、生活の糧としてではなく、気持ちの張り合いという面で、
何らかの仕事を続けて欲しいなぁと思ってしまいます。
週3日とかでも、昼間だけのカフェ営業とかでも良いので。

そろそろ、こういう話も両親としていかなければいけないなと思う読書になりました。


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『光と影』
- 2015/08/21(Fri) -
渡辺淳一 『光と影』(文春文庫)、読了。

医師出身の著者の作品ということで、病気にまつわる話が4つ。
さすがに短編でも、病気の話は重たいです。

表題作の「光と影」は、西南戦争で腕を負傷した将校2人の物語。
1人は切断となり、もう1人は比較実験の目的で負傷した腕を残すことに・・・・。
ちょっとした運命のいたずらで2人の肉体的な状況は大きく変わってしまいますが、
その後の人生の変遷の違いは、腕の有無によるものなのか、
腕の有無が生み出した精神的な違いの相違によるものか、
それとも、腕とは関係のない元々の資質の違いなのか・・・・・。
他人が客観的に読んでいても判断がつかないのに、
当事者が冷静な判断ができるわけもなく、主人公・小武の苦悩のほどが伝わってきます。
我々読者は、せいぜい数時間の読書の間の話ですが、
小武にとっては青年時代以降数十年に渡る人生の話であり、その重みやいかばかりか。

その他の3作品についても病気の話に気が重くなりながら、
小説としては楽しめました。

最初、短編集だと思って気楽に手に取ったのですが、
読み終わって調べたら直木賞受賞作とのこと。
あにはからんや。


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『長く暑い夏の一日』
- 2007/06/12(Tue) -
渡辺淳一『長く暑い夏の一日』(講談社文庫)、読了。

事故による脳死者からの腎臓移植が行われた一日を描いた作品。

腎臓移植を拒むような障害が
いくつもいくつも降りかかってきますが、
小説だからこその設定なのではなく、
実際の現場が、大なり小なりこのような混乱を抱えているのだと思います。

脳死患者(提供者)と腎臓病患者(被提供者)という1対1の人間関係なのではなく、
2組の患者の家族とその間に居る医師たち、
しかもその2組の家族は、全く縁もゆかりもない家族という、
非常に複雑な位置づけの中で展開されていく世界なんだと
改めて理解できました。

作品としては、「渋滞の心配をしながら、そもそも何で自動車で帰京するんだ?」
という根本的な疑問がありながらも、
読みやすい文章のおかげで、ぐいぐい読み進められました。


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