『ワーカーズ・ダイジェスト』
- 2017/02/08(Wed) -
津村記久子 『ワーカーズ・ダイジェスト』(集英社文庫)、読了。

『ポストライムの舟』のような
日の当たらない地味な職場で日々を送っている
イマドキの労働者のお話を期待したのですが、
作品の中で展開する職場の風景が、「一体これはどこの話なんだ・・・・」
という感じでリアリティが湧かず、共感が覚えられませんでした。

こんな日常を送っている人、いそうだなぁ・・・・・という感覚を期待したのに
空振り感満載。

主人公の目でつづる日常が、非常に理屈っぽい感じがして、
この人たちは誰の人生を生きているのだろうか?と心配になる始末。

津村作品は、個人的には当たり外れの波が大きく、
ちょっと警戒してしまう作家さんになりつつあります(苦笑)。


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『君は永遠にそいつらより若い』
- 2015/11/26(Thu) -
津村記久子 『君は永遠にそいつらより若い』(ちくま文庫)、読了。

デビュー作ということで、恐る恐る読んでみたのですが、
あにはからんや、既に津村節とも言うべき、力の抜け加減が心地よい文体が出来上がっていて
さすが芥川賞を獲る人は違うんだなぁと感嘆。

主人公は大学4年生の女の子。
単位を取り終え、公務員の就職口も見つけ、あとは卒論を書くのみ。
気持ちばかりの授業に出て、バイトに通い、卒業までの日々をゆるゆると過ごしています。
そんな彼女は“ポチョムキン”こと処女。どちらかというと女の子に興味があり・・・・。

と、まぁ、よく分からない主人公の紹介になっちゃってますが、
淡々と日々が描かれていきます。
それほど衝撃的な出来事が出てくるわけでもないけれども、
新しい友人との出逢いがあり、別れがあり、でも、平穏な日々は揺るぎなく。

このあたりの平凡さが、落ち着いてはいるけれども、ちょっとポップで、
でもちょっと退廃的な文章で綴られています。
その匙加減が、非常に私好みな訳で。
読んでいて心地よいんです。
ただ、好き嫌いは分かれそうな気がしますが。

主人公の、人を寄せ付けない感じというか、
表面的には人当たりがよい印象を周りに与えながらも、
核の部分には触れさせないというか、他人との間に深い溝があるというか、
そういうところが自分と非常に似ている気がします。

だから、主人公の友人に対する醒めた見方とか、
世の中の流行ごとに対する興味のなさとか、
個々の人間関係にどこまで踏み込もうか迷った末に理屈で判断するところとか、
とても共感できます。
書いていて、自分、嫌なヤツだなと思ってしまいますが(苦笑)。

こういう主人公が出てくる作品を、もっと読んでみたいと思います。
自分がどんな人間か知るために(爆)。


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『ミュージック・ブレス・ユー!!』
- 2014/12/10(Wed) -
津村記久子 『ミュージック・ブレス・ユー!!』(角川文庫)、読了。

「青春小説の新たな金字塔」という解説の文句に惹かれて買ったのですが、
うーん、共感できませんでした。
というより、よく分からなかったという感じでしょうか。

主人公のアザミが頭の中で考えることは比較的面白そうな印象を受けたのですが、
すぐに友達との会話のシーンになってしまい、あんまり内面を追求する感じでもなく。
そして、友達と会話をし始めると、アザミは思考停止になるというか、
延髄反射的に会話を返してしまうので、これまた内面の思想が深まることがなく・・・・・。

結局、何を描こうとしているのか良く分からないまま日々が進んでいってしまう感じで、
共感するきっかけを掴めないまま終わってしまいました。

はぁ、読むのに時間かかった・・・・。


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『ポトスライムの舟』
- 2014/06/02(Mon) -
津村記久子 『ポトスライムの舟』(講談社文庫)、読了。

芥川賞受賞作には、なかなか触手が伸びないのですが、
本作は面白かったです!

29歳、女、独身、母親と実家で同居、
工場勤務、バイトを掛け持ち、自由になる時間もお金もない、
自分の年収163万円は、世界一周旅行の代金と同じだと食堂ポスターで気づく・・・・。
(これって、ピースボート的なヤツですよね・・・・きっと)

雇用が不安定な現在(アベノミクスの今からすると、ちょっと前!?)、
その不安定さの末端で酷使される女性労働者の日常を
こんなにリアルに捉えている作品には、初めて出会いました。
主人公が、メンタル的な理由で前職を辞めて工場勤務にしたという経歴も、
今の時代を感じさせる要素が満載です。
山田詠美が、芥川賞の選評にて「『蟹工船』よりこっちでしょう」と言ったのに納得。

うちの会社の派遣さんとかパートさんとか、
多分、みなさん100万円~200万円の年収で、毎日働いてるんだなぁと、再認識。
単純労働だと言ってしまえばそうなんですが、
毎日単調な仕事を繰り返す苦痛も、これまたあるわけでして。

いろんな人が何かを捨てている上に、
企業活動なり、経済活動なり、国家運営なりが成り立っているんだなぁと。

一方、併録されている「十二月の窓辺」は、
職場での女性係長からの容赦のないパワハラに晒される主人公。

主人公の立場に共感しすぎると非常に読むのが辛い作品ですし、
役職側の目線で読むと、この係長の卑怯なところが手に取るように分かり、
「最後の最後に、ガツーンと食らわせてくれないかな」と期待してしまいます。

しかし、私が気になったのは、同僚のPさんやQさんの立場です。
気弱で愚図な主人公が、会社員として使い勝手のよくない人材であることは分かるのですが、
PさんもQさんも、そんな主人公を育てようとも、叱ろうともせず、ただ傍観しているだけ。
必要最低限の関わりしか持とうとしません。

これって、自分自身を振り返ってみると、もしかして私も・・・・・と思ってしまう恐怖が結構あります。
若手の危なっかしい行動に見てみぬフリをしてしまったり、
ミスをしても「私が対応しておくから手を出さないで」とやってしまったり、
結構、私自身、自分でも冷たいなぁと思うことが多々あります。
(だったら直しなさいよと言われそうですが・・・・・)

ミスを叱るとか直すとかいうレベルでなくても、
ちょっとした雑談を振られても、すげなく返してしまったりしてしまうところがあり、
結構、周りの若い人に気を使わせてしまっているかもしれないと、
この小説を読んで反省しました(苦笑)。

あんまり続けざまに、この手のワーキングプア小説を読んでしまうと
気が滅入ってしまいそうですが、著者の作品は他も挑戦してみたいと思います。


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