『里山資本主義』
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- 2017/07/05(Wed) -
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藻谷浩介、NHK広島取材班 『里山資本主義』(角川ONEテーマ21)、読了。
里海から里山と、逆の順番で読んでしまいました。 1作目である本作の方が、「里山資本主義」という言葉の本質を書いているのだろうなと 期待して読み始めたのですが、何だか、里海ほどの腑に落ちている感がなかったです・・・・。 紹介されている「エコストーブ」「CLT」「ジャムづくり」といった事例が、 それぞれは興味深い活動なのですが、 では、それらを横串として貫く思想は何なのか?と言った時に 「それが里山資本主義だ!」となる程までに、里山資本主義という概念が 定義づけられていないような印象を受けました。 要は、里山資本主義って何なのかが、私には本作を通して掴むことができませんでした。 マネー資本主義と対比して里山資本主義を説明しようとしていますが、 この設定が、そもそも誤っているのではないかと思えて仕方ありません。 マネー資本主義は、リーマンショックで気づかされたような 金融工学の結晶のような高度な金融商品が、現実世界と乖離して世界経済を大きく 動かす力になっていたというような現象に象徴されると思いますが、 そもそも日本の里山が廃れたり、里海が汚れたりしたのは マネー資本主義のせいではなく、高度経済成長に代表されるような 従来型の資本主義のせいであり、時間軸がズレているように思います。 マネー資本主義と対比した方が、主張のインパクトは増すのかもしれませんが 腑に落ち感がなくなってしまうように思います。 そして何より、里山資本主義を体現する田舎暮らしというのは、 都市部の企業が日本全体の経済機能を担っているからこそ生まれる経済の安定感のおかげで その傘の下でこじんまりと好きなことをして生きていくことのように思えてしまいました。 大きな庇護のもとで、その庇護の主体を批判しながら、安全な暮らしを謳歌するという なんだか捻じれた立場に居るような気がしてなりません。 日本全体が里山資本主義の人々で溢れてしまったら、 経済活動として成り立たないように思います。 まぁ、人口オーナス期に入ってしまった日本は、国家の規模を縮小していく時期なんだ ということなのかもしれませんが・・・・・。 里海資本論に比べて、なんだかモヤモヤが残る本でした。 それはやっぱり、里山資本主義とは何なのかが、 イマイチ私には分かっていないことに尽きるようです。
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『金融緩和の罠』
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- 2015/02/16(Mon) -
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藻谷浩介、河野龍太郎、小野善康、萱野稔人 『金融緩和の罠』(集英社新書)、読了。
最近受講した講義で耳にした「人口オーナス」という考え方が、本書でも語られています。 このようなマクロの視点での適切な環境分析が大事だと思う反面、 藻谷氏の「付加価値の上昇のためには人件費を上げることが大事だ」という主張には、 確かに、経済学的な定義だとそうなるけれども、 経営学的な観点でいくと、その賃金アップの原資はどこから生み出すのだろうか?というあたりが よく分かりませんでした。 もともとインタビュー形式の構成なので、 各論者の主張が出きっているのかがつかみ難いのですが、 なんだか、経済学と経営学の立脚点の違いのようなものの ギャップが上手く埋められないまま読み終わってしまいました。 自分の会社に当てはめて、この3人が言わんとしていることをやりつつ、 自社の従業員の生活を守り、自社の業績も伸ばし・・・・・・という姿が 描くことができませんでした。
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『デフレの正体』
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- 2012/06/29(Fri) -
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藻谷浩介 『デフレの正体』(角川ONEテーマ21)、読了。
研修などで、SWOT分析などをやると、 外部環境の欄に必ずといっていいほど出てくる「人口減少」「少子高齢化」といった言葉。 しかし、イメージ先行で、いまいちピンと来ていませんでした。 いったい、どんな風に、この企業の業績、もしくは日本の経済に響くのだろうかと。 本作で、ようやく、人口問題のインパクトの内容そのものと、 インパクトの大きさ、そして回避することの難しさを、理解することができました。 30代で理解するには、かなり悲しくなる数字ばかりですね・・・。 そういう私自身が、子供が居ないので、大きい口は叩けませんが・・・・。 「率」と「絶対数」の関係をきちんと押さえることなど、 数字の読み方についても、勉強になりました。
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