fc2ブログ
『ゲーテの警告』
- 2015/10/10(Sat) -
適菜収 『ゲーテの警告』(講談社+α文庫)、読了。

「ゲーテ」と「B層」が共存するタイトルに違和感プンプン、
しかも今の日本の政治を語る著者の肩書きは「哲学者」って、カオス過ぎるでしょう(苦笑)。

最初に、「B層」という言葉の意味を解説するために、
小泉郵政選挙で広告代理店が内閣府に提案したという企画書の話が出てくるのですが、
この企画書、丸々読んでみたいわ!と思ってしまうほど
露骨に日本国民を階層分類しており、しかも核心を突いているように思いました。
(自分のことは棚に上げておいて・苦笑)

本編では、このB層の具体的な嗜好について
経済、グルメ、政治などのテーマで具体事例を挙げて語っていますが、
分かりやすさはあるものの、分析が浅いため、飽きてきちゃいました。

なぜ、このような階層が生まれてきたのか、また、力を持つにいたったのか、
社会科学的な分析をしっかりと読んでみたかったです。

著者の言葉遣いが汚い(あえて露悪的な演出をしているように感じます)ので
余計に食傷気味になってしまったのかもしれません。
この露悪趣味も、なんとなくB層受けを狙っているような気がしないでもないですが・・・・・。

ゲーテの言葉も多数紹介されていますが、
B層という存在に当てられてしまったためか、ちょっと霞んでしまったように感じました。
ま、ゲーテの話は、ゲーテとして読むべきですね。


ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社+α新書)ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社+α新書)
適菜 収

講談社 2011-08-19
売り上げランキング : 102241

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  ゲーテ | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『夜の旅人』
- 2013/04/20(Sat) -
阿刀田高 『夜の旅人』(文春文庫)、読了。

短編小説の名手が書いた初の長編小説とのこと。
直木賞受賞作『ナポレオン狂』のモデルとなった人物の半生を描いているということで、
わたくし、てっきり創作だと思っていたので、実在する人物の伝記だとわかり、
やや拍子抜け。

『ナポレオン狂』的なエンターテイメントを求めて読み始めてしまったので、
あら、残念、勘違い。

ゲーテ関係の品の蒐集に熱を上げる姿を描いていますが、
その熱意の割には淡々とした描き方なのが気になりました。
ゲーテを集める!という思いに至った瞬間の描写もあっさりしてますし、
その後、なぜ私が蒐集する意味があるのかという葛藤の部分も
もっとあったのではないかと思ってしまいました。

主人公の心理描写があっさりしている分、
著者が本編に登場してきて対話をするという構成は、
逆に凝りすぎて空回りしているような印象でした。

あとがきを読んで、著者とモデルの人との約束が分かり、
上記のような構成になった経緯は理解できましたが、
果たして成功していたのかは、私はやや疑問でした。

城山三郎作品などをいくつも読んでいると意識しなくなってしまうのですが、
伝記というものを生き生きと描くのは相当な技術が要ることなのだと再認識しました。






にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  ゲーテ | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『座右のゲーテ』
- 2012/09/23(Sun) -
斎藤孝 『座右のゲーテ』(光文社新書)、読了。

ゲーテ・・・・あまりに凄過ぎて、私的にこれまで手付かずの偉人です。
「もっと光を!」ぐらいしか分かりません。
ま、この言葉は、「窓を開けてくれ」の意味だったらしいですが・・・。

さて、売れっ子・斎藤孝先生によるゲーテの解説本。
『ファウスト』などに行ってしまうのではなく、
ゲーテが書きとめた「生き方のヒント」を、易しく解きほぐします。
このあたりの目の付け所が、さすが売れっ子。

「ゲーテ」という高名な人の言葉に触れること自体が
なんだか自分が賢くなった気持ちにさせてくれるという錯覚(苦笑)を、
うまーく利用して本にしてますよね~。

誰か、「斎藤孝」という人物の活動を、
マーケティングの観点で分析してくれませんかねぇ。
とっても役に立つマーケティング本になると思います!

という余談ばかりで何ですが、
本作は、読みやすく、ゲーテの教えも、われわれ凡人の日常に適用しやすい
極めて普遍的なものに絞って解説されているので、分かりやすかったです。

ゲーテの作品よりも、人生哲学のほうに興味を持ちました。


座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)
齋藤 孝

光文社 2004-05-15
売り上げランキング : 31300

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  ゲーテ | CM(0) | TB(1) | ▲ top
| メイン |