『渋沢栄一 巨人の名語録』
- 2017/08/14(Mon) -
本郷陽二 『渋沢栄一 巨人の名語録』(PHPビジネス新書)、読了。

「日本経済を創った90の言葉」というサブタイトル通り、
渋沢翁の言葉が右ページ、その解説が左ページにあるというシンプルな構成。

この手の本は、渋沢の言葉に乗せて、著者の主張がドーっと語られるケースがありますが、
本作は、渋沢の思いと著者の思いとがバランスよく解説されていたのではないでしょうか。
出しゃばらないという意味で。

また、渋沢の思想は、「論語と算盤」というようなゴロの良い言葉に
まとめられているものがありますが、
本作では、あくまで渋沢自身が語った言葉を紹介しており、
その点でも誠実だなと感じました。

この本から入ると理解が浅いままで終わってしまいそうですが、
何か渋沢本を読んでからこの本に入ると、
結構、頭の中で上手くつながっていく感覚が味わえるのではないかと思います。


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『渋沢家三代』
- 2016/07/24(Sun) -
佐野眞一 『渋沢家三代』(文春新書)、読了。

渋沢栄一の功績は、今更、詳しく語らずとも・・・・という感じですが、
その後、身内から有名な実業家が出ていないことを
不思議に思っていました。

本作では、渋沢栄一、その嫡男の篤二、そしてその嫡男の敬三と
三代にわたって描いていますが、
実業界における実績よりも、各個人の人間性に迫る内容となっています。

実業家としてのノウハウを学ぼうとすると、少し期待はずれかもしれませんが、
家業を息子や娘に継がせたいと考えている実業家にとっては、
切実な問題が描かれているのではないかと思います。

残念ながら渋沢家では、篤二が廃嫡されるという展開を迎え、
跡継ぎ確保には失敗しています。
偉大なる父を持ってしまったが故の結末なのか、
それとも母を早くに亡くしてしまったがための悲運なのか。

渋沢栄一の息子としてではなく、貧しい家庭に生まれていたら、
素晴らしい義太夫の名人として名を馳せたかも・・・・・・
なんていう風に残念がられるのは、本人にとっても辛かったでしょうね。

中学生の時、有吉玉青の『身がわり』を読んで、偉大な親を持つ子供の苦労に
自分の家のレベルはさておき、非常に共感した思い出があるのですが、
篤二の立場から栄一を描くような小説があったら
読んでみたいなと思いました。


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『論語と算盤』
- 2016/05/17(Tue) -
渋沢栄一 『論語と算盤』(角川ソフィア文庫)、再読。

ちくま新書版を持っているにもかかわらず
ドカ買いの勢いで誤って角川文庫版を買ってしまいました(苦笑)。
というわけで、その勢いのまま再読です。

今回は、「道徳経済合一論」を中心に読んでみました。

経済活動の欲望を徳の力で抑制するという一面だけでなく、
理念が無意味に幅を利かせないように経済活動を肯定するという積極性が
やはり渋沢理論の肝だと思います。

正しく国が栄える道を歩むという積極性は、
明治~大正期の国づくりを進めた時期だけでなく、
経済が飽和しつつある現在の日本において、
改めて考えるべきことかと思います。

そして、「正しい経済活動」という絶対的な答えはなく、
常に、環境や情勢によって相対的に評価せざるを得ない、
だからこそ日々「正しさ」について考えを及ぼさなければいけないということを
認識すべきなのだろうなと思います。

文章自体は非常に優し日本語で
柔らかく語りかけるように書かれているので、時々手にとっては
読み返すのに最適な教えの書だなと再認識しました。


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『渋沢栄一100の訓言』
- 2015/01/30(Fri) -
渋澤健 『渋沢栄一100の訓言』(日経ビジネス人文庫)、通読。

渋沢栄一の孫の孫が解説した訓言集。
身内なりの厳しさや重さを期待したのですが、イマイチでした。

そもそも、渋沢の道徳経済合一説の面白さは、
経済だけでも、道徳だけでもダメだという、表裏一体の関係にあるのだと思います。
が、この本の訓言は、どうも、道徳の方に偏っているような気がして、
ちょっとキレイゴトの臭いがしてきます。

もっと、現実世界の「生活するとは」「儲けるとは」というところを
しっかりと捉えて、なおかつ外に向けて発信していた人だと思うので、
その要素が薄い解説になっているのは残念でした。

また、名言、訓言というのは、
それが語られた文脈の中でこそ重みをもって生きてくるのであり、
取り出してしまうと味気ないですね。

なーんて感想を、訓言集に対して持っても仕方がないのですが・・・。


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『現代語訳 論語と算盤』
- 2014/12/23(Tue) -
渋沢栄一 『現代語訳 論語と算盤』(ちくま新書)、読了。

今年は、渋沢栄一翁のことをいろいろ勉強する機会に恵まれ、
年の瀬ということで、まとめのつもりで本作を読んでみました。

『論語と算盤』は、渋沢による著作ではなく講演録であり、
講演テーマはや場面、聴衆に合せて語っているため、渋沢の理論を体系として捉えるのは
なかなか難しいように感じたのですが、
それでも、語りかける言葉の優しさと力強さは頼もしいものです。

渋沢の凄いところは、「商売を行うにも道徳が必要だ」というある種の理想論を述べるのではなく、
「正しい行いにより儲けた富は素晴らしいものだ」というように、経済活動、商業活動を
非常に肯定的に評価していることにあると思います。

儲けること、富むこと、豊かになることを肯定することは、
そこから生まれる次のイノベーションを大きく社会が後押しすることになると思います。
そして、「儲けるためには手段を選ばない」「金で何でも手に入れられる」という
社会を毀損する恐れがある思想を経済活動の中心から遠ざけられる健全な社会を
構成するのに重要なことだと思います。
(極端な思想を遠ざけるだけであり、抹殺・封殺してしまわない許容さも、健全性には必要です)

アベノミクスという、ある種の強い意志を持った政治によって国が運営されている今、
渋沢の思想を使って、冷静に社会を見て、政治の方針やプロセス、結果を分析し、
評価と反省を繰り返していくPDCAが重要なんだと再認識しました。


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『雄気堂々』
- 2010/06/15(Tue) -
城山三郎 『雄気堂々』(新潮文庫)、読了。

渋沢栄一翁。

明治史の面からも、経済史の側面からも、
はたまた大学関係者の点においても、
当然に知っておかねばならない重要人物なのですが、
あまりに活躍の場が広すぎて、実は、よく知らない人物でした。

その半生を、城山三郎先生が描いているという本作。
実業界を描いてきた城山作品であり、かつ、大学関係者ということで、
興味深く読みました。

まず改めて驚いたのが、幕末~明治維新にかけての時代の流れるスピード。
一つ一つの事件が社会大きな影響を与え、
次々と世の中が変貌していきます。

それに合わせて、柔軟と言うよりも、
転向に近いほどの変わり身の早さを見せる渋沢栄一。
彼以外にも、結局、明治時代という日本の近代社会の草創期に名を残した人々は、
時代の変化するスピードに合わせて、自らを変幻自在に変え、
しかしながら、根本のところでの「日本国」への想いは一貫していたという
しぶとい人たちであったのだとわかりました。

変化に対応できず、「国体護持」や「攘夷」に雁字搦めになっていた人たちは
消えていくしかなったっという・・・なんだか進化論を見ているようです。

そして、この明治維新を動かしていた人たちの
貪欲なまでの向上心と、分野を区切らない興味関心の持ち方、
それらを支える激しい行動力、これらは素晴らしいです。

新生日本が、国としても、それを動かす官僚たちも
「若い国」だったという面が存分にあるのでしょうが、
それにしても、彼らのエネルギーは凄まじいです。

ふん詰まった日本を新たに創り直すには、
このような傑物たちが必須だったのでしょうね。
一方で、時代が、こういう人たちを生んだのだとも思えます。

一握りの天才たちが時代を動かす時期があるという
竹中さんの指摘を思い出しました。

爆発するほどのエネルギーは、
今の日本には、どこにあるのでしょうかね・・・。


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