『永遠の放課後』
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- 2012/03/27(Tue) -
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三田誠広 『永遠の放課後』(集英社文庫)、読了。
5年ぶりとなった三田作品。 中学時代から続く、淡い恋心を描いた作品らしい・・・というので読んでみました。 中学時代の男-女-男という3人の関係を描いたところは 純粋さを上手く描いていて、良かったと思います。 しかし、大学生になってからの主人公を取り巻く世界の描き方が、イマイチ。 ギターが得意な主人公の周りには、音楽業界の人間が集まってくるのですが、 いずれも過去に何か苦しみを抱えている人々ばかり。 そんな彼らが、なんだか「可哀想な僕」「可哀想な私」を 一生懸命に演じているかのような不自然さを感じてしまい、 物語に入ってゆけませんでした。 そんな「可哀想な彼ら」を何とかしようという人もいません。 ただ、みんな静観し、傍観しているのです。 中学生から大学生になった3人も、 なんだか煮え切らないところがあり、私の読書ニーズとは合わない成長の仕方でした。 最後もなんだか、表面的にきれいに終わらせたような感じで、 うーん・・・・・といったところです。
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『やがて笛が鳴り、僕ら青春は終わる』
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- 2007/07/07(Sat) -
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三田誠広 『やがて笛が鳴り、僕らの青春は終わる』(角川文庫)、読了。
久々の三田青春作品。 ラグビーの世界が単純に面白かったです。 登場人物たちの会話が、やや説明口調で語りすぎな印象も受けましたが、 それはそれで青春が詰まってました。 タイトルからして予想していたエンディングとは違ってて、 そこは意外に思いましたが、読後感は爽快です。
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『Mの世界』
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- 2006/12/02(Sat) -
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三田誠広 『Mの世界』(河出文庫)、読了。
『僕って何』『いちご同盟』等が面白かったので、 この作品も試してみました。 ただ、「高校生時代の処女作」ということで、タイトルから推測しても 「ちょっと肩肘張ってそうだな・・・」という危惧はあったのですが。 で、やはり予想したとおり、硬かったです。 テーマも文章も。 文章の硬さは、「Mの世界」「体操教師」「二十七歳」と 作品が進むに連れて取れては来ましたが、 やっぱりテーマが硬くて重い。 ちょっと苦手なジャンルでした。
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『赤ん坊の生まれない日』
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- 2006/02/17(Fri) -
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三田誠広 『赤ん坊の生まれない日』(河出文庫)、読了。
堕胎を描いた作品が続いてしまいました。 タイトル見ればすぐ気づけるのに・・・バカ。 この著者の作品は、主人公が自分を見つめ掘り起こしていく過程を じっくり描いてくれるので、読みがいがあります。 ところが今作品では、出だしで先輩夫婦の危機や その赤ん坊が置かれている不幸な状況の描写が、 主人公の目を通してなされました。 読む前に想定していたものと視点が違っていたので、ちょっととまどいましたが、 主人公が自分の生い立ちや父母のことを考えはじめたあたりから、 期待通りの作品に向かっていきました。 ユタカ君とサナ江さんが川辺にいる様子を目撃するシーンは、 淡々と描いてあるぶん、ショッキングです。
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