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『藤村詩集』
- 2022/03/28(Mon) -
島崎藤村 『藤村詩集』(角川文庫)、通読。

大学生の頃でしょうか、背伸びして島崎藤村の『夜明け前』を読んで
全く内容が頭に入ってこず、半分も読めずに挫折しました。
以降、苦手意識バリバリで手を付けてきませんでした。

数年前、近所のおばちゃんから大量に古本をもらったのですが、
その中に本作が入っていました。
「詩だったら何とか読めるかも・・・・・」と思い、今回手に取ってみました。

が・・・・・、もともと「詩」というものに親近感がないんだった・・・(苦笑)。

収録されている詩は七五調のかちっとした形式なので、
詩の初心者にはなじみやすいものですが、
それが繰り返されると、なんともお堅い印象を受けてしまいました。

以前、中原中也の詩は楽しんで読めたので、詩の世界にはなじみがなくても、
好みというものは明確に出てくるんだなぁと実感しました。






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『自選 坂村真民詩集』
- 2021/02/16(Tue) -
坂村真民 『自選 坂村真民詩集』(大東出版社)、読了。

近所の人からもらった坂村真民の詩集はこれが2冊目。
こちらも、とても素直な作品が多いです。すっと読めます。

私が詩にちょっと苦手意識を持つようになったのは、
教科書に載ってた草野心平さんの「るるるる・・・」という作品が切っ掛けかも。
文字を感覚的に受け止めるということができなかったので、
「るるるる・・・・」ってどういう意味なんだろう?と理屈で考えてしまって
「詩ってわからない」という結論を早々に出してしまったように思います。
正直、あんまり詩について魅力的に語れる国語の先生が居なかったのも理由かも。

で、本作ですが、特に印象に残ったのは、自分の子供に向けての作品です。
「梨恵子よ 佐代子よ 真美子よ」と呼び掛ける姿に、
全然場面が違うのですが、川端康成の『掌の小説』の中の「心中」が思い出されて、
父から子へのメッセージって、迫力があるよなぁと感じ入りました。

そして、紅いバラには子供たちのにおいがし、白いバラには妻のにおいがしたと綴る作品。
子どもへの愛情と同じように、妻への目線が書かれているのって
日本人ではあんまり見ない感覚かも・・・・と思って新鮮でした。




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『ぼくは12歳』
- 2019/12/17(Tue) -
岡真史 『ぼくは12歳』(ちくま文庫)、読了。

ブックオフで目に止まり、「12歳の詩集かぁ・・・」ぐらいの感覚で買ってきたのですが、
なんと12歳で飛び降り自殺をした少年の死後に、詩作が見つかり、それをまとめたものだとか。

その情報で、一気に印象が変わりました。
というか、詩を読む前にその情報がインプットされてしまったので
もう、そういう目線でしか詩を読めなくなってしまいました。
「何が自死を選ぶ引き金になったんだろうか?」と。

私自身、詩の世界には親しくないので、
そもそも詩を読むスキルというか、詩を楽しむスキルが身に付いていないという自覚があります。
あと、感性だけで詩に向き合えないというか、
ついつい理屈で読もうとしてしまうので、詩がつまらないものになってしまいます。
著者のような「情緒豊か」と言われるような感性は、残念ながら持ちあわせておらず・・・・。

で、理屈っぽい私が、この本を通して何を考えていたかというと、
「自死」というものに対して、自分は嫌悪感というか拒絶感を持ってしまっているなということです。

私は、自分でも、頭が固いなと自覚しており、
特に「きちんと生活する」ということに、融通が利かないようなところがあります。
「毎日やるべきことをきちんとやる」「自分の役割をちゃんと果たす」「最後までやりきる」みたいな
いうなれば、予定通り計画をこなすことに価値を置いているようなところがあります。

そんな自分にとって、「自死を選ぶ」というのは、
なんとも反社会的というか、アナーキズムのようなものを感じてしまい、
嫌悪感や恐怖を覚えてしまいます。

特に、本作で終盤に納められていた、「著者の詩に思うところがあり両親にコンタクトしてきた人」の
手紙の文面を読んでいると、「深い悩みを抱えて大変だなぁ」という思いよりも、
「なんでこんなに『死』を真剣に考えているんだ?」と、恐れてしまいます。
皆が明日の幸せを信じて精一杯生きようとしている社会において
それに反抗する勢力であるかのように感じてしまい、不安を覚えます。

またこれで、「私って、なんて冷たい人間なんだろう・・・・」と
自己嫌悪にも陥ってしまいますが、でも、こういうことを考えている人が一定数を超えたら
その社会は、不健全な気がします。表現が間違っている気がしますが
良い言葉が見つかりません。不快にさせてしまったら申し訳ありません。

明日の幸せを信じてしまう自分の能天気さもお気楽なものですが、
自分が生きていることそのものに悩みを抱えてしまうという状態に対して、
想像を超える不安と恐ろしさを感じます。
こういう本を読むと、自分の心がザワザワしてしまうので、
いつまでたっても苦手意識が抜けないんだろうなと思いました。




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『くじけないで』
- 2018/02/04(Sun) -
柴田トヨ 『くじけないで』(飛鳥新社)、読了。

一時期話題になっていた詩集。
90歳を過ぎてから詩作を始めた著者の処女詩集。

1つ1つ、日常を詠ったシンプルな内容です。
変な飾りも捻った言い回しもなく、日常の言葉で紡がれる詩。
まるで、自分のおばあちゃんが日常会話の中でふと話してくれる
思い出話のような親近感と温かさがあり、
心地よい気持ちに包まれます。

息子さんに向けた母の思い、
そのお嫁さんに向けた感謝の気持ち、
愛情が溢れていて、素敵なご家族です。

90歳になるまでに、様々な大変なことを乗り越えてきたのだと思いますが、
その辛さを感じさせないというか、飲み込んだ大らかさがあり、
このような心持ちで90歳の人生を過ごすことができたら、
幸せな人生だろうなと思いました。


くじけないでくじけないで
柴田 トヨ

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『詩集 朴』
- 2017/03/15(Wed) -
坂村真民 『詩集 朴』(大東出版社)、読了。

近所のおじいちゃんからいただいた本。

全く知らない人物だったのですが、
帯の文句からすると、仏教思想を基盤にした詩を書く人だそうで
試しに読んでみました。

まず感じたのは、平易な日本語で詩が作られており、
すーっと自然に読み進めていけるということ。

仏教的な言葉や思想も登場しますが、
全く違和感がなく、心の中に落ちてきます。

それは、宗教の枠組みを超えた、
人間らしい心の在り様を詠っているからなんだろうなと感じました。

家族への温かな思い、自分への厳しい目、
そして、自らの決意を述べるときの強い気持ち、
それが素直に詠われており、心に染み入ります。

詩集にしては、非常にボリュームのある本でしたが、
どんどん読み進めていきたくなるようなエネルギーを持った一冊でした。


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『子規歌集』
- 2016/08/31(Wed) -
土屋文明編 『子規歌集』(岩波文庫)、通読。

近くの古本屋に置いてあったので、お試しに。

特に思い入れのある歌人ではないのですが、
名前ぐらいは知っているので・・・・

・・・・・・という程度の思いで手に取ってみても、
やっぱり歌が頭に入ってきませんね。

何か、熱い思いがあって歌に向き合わないと、
ただ文字の上を目が滑っていくだけでした。

反省。


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『金子みすず名詩集』
- 2015/03/18(Wed) -
彩図社文芸部編集 『金子みすず名詩集』(彩図社)、読了。

震災直後にACのCMで一気に知られるようになった詩人ですが、
正直、私は「こだまでしょうか」の詩は、ピンと来ませんでした。

共感できないというものではないのですが、
そこまで胸に迫ってくるものでもないかなぁ・・・・・という。

でも、あれだけ人口に介した詩なので、
何かあるのだろうと思って、100円で見つけた詩集を買ってきました。
震災後の便乗商法かと思われるものの名残ですが。

印象に残ったのは、「こだまでしょうか」のような前向きな詩よりも、
日常生活におけるちょっとしたすれ違いやわがままをテーマにした、
悲しみを覚える詩の方です。

ちょっと落ち込むような、暗い感じの詩のほうが、
人間って、そういうところあるよねぇ~という共感を覚えました。

震災直後のCMしか見ていなければ、
この詩人の表面的なところしか見てなかったのかも・・・・・と思い、
たった一冊ではありますが、この詩人の作品に触れられたことは良かったなと思いました。


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『15歳のポケット』
- 2010/10/11(Mon) -
山田かまち 『15歳のポケット』(集英社文庫)、読了。

先に『17歳~』の方を読んでしまったせいでしょうか、
本作は、詩も絵も、冗長な印象を受けました。
削ぎ落としきれていないような感じです。

ま、私の15歳に比べれば、
迸る情熱や才能、そして表現しようという意志の強さがうらやましい限りです。

ここが、彼の成長のスタートなんでしょうね。


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『17歳のポケット』
- 2009/10/17(Sat) -
山田かまち 『17歳のポケット』(集英社文庫)、読了。

久々の詩集は、山田かまち少年の作品です。

詩作については知っていたのですが、
絵もこんなにたくさん残していたとは知りませんでした。

本作では、詩よりも絵のほうに引き寄せられました。

ページをめくると、
まず、色彩が飛び込んできて、ぱっとイメージを作り上げます。

そして、詩を読むことで、
そのイメージがより豊かになっていく感じです。

彼が17歳までに感じ、考えたことの何分の一ほどしか
これまでの私には蓄積されていないと反省しました。

生きるということ対して、ものすごく刺激になった作品でした。


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『贈るうた』
- 2008/01/19(Sat) -
吉野弘 『贈るうた』(花神社)、読了。

珍しく、詩集です。
お金を出して詩集を買うだなんて、『海潮音』以来です。

何を機にこの詩人に目をつけたのか記憶がないのですが、
お名前がメモってあったので、買ってみました。

それぞれの詩が、誰かに向けて詠まれています。
「夕焼けが好きな人に」などというように。

それだけで、なんだか自分個人に向けて読んでもらっているような
そんな温かな気持ちになれました。

たまには詩も、いいものです。


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