『「自分メディア」はこう作る!』
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- 2021/10/18(Mon) -
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ちきりん 『「自分メディア」はこう作る!』(文藝春秋)、読了。
ちきりんさんって、あんまりブックオフで本を見かけないんだよなーと思っていたところ、 本作を見つけたので早速買ってきました。 そして、本作の中に、執筆依頼を読者層と所要時間で分類して受ける仕事を厳選していると書かれており あ、多作な人ではないのね・・・・・と納得。 なんだか勝間さんとかのイメージで見ちゃってました。 で、中身ですが、ブロガーとして有名になり、その後、本を出版したり、講演会をしたりと 活躍の場を広げてきた著者が、どうやって自分のブログを育ててきたかを具体的に解説しています。 もともと日記を書く習慣があり、その一部を友達に見てもらっていたという経験から ブログというツールが登場してきたときにすんなり紙からWEBへ移行ができて、 人に読まれても大丈夫な日記を書くスキルも持っていたという、 なかなか面白いスタートラインに立ってたんだなと分かりました。 で、ここから、日々日記を投稿していき、少しずつ読者が増えてきた中で、 ある日、自分の投稿がプチ炎上したことで、一気に有名ブロガーになっていきます。 このプチ炎上に際して、いろんな人から批判的なコメントが殺到する中で、 それにあたふたするのではなく、「なぜこの投稿が急に注目されたのか」「なぜ批判を受けたのか」 ということを冷静に考えて、その分析結果を以降のブログ運営にすぐ活かしていきます。 ここで、コメント欄を閉めて終わり!とかで逃げるのではなく、今後の運営の戦略やルールに 反映させていくところが凄いなと思います。 そして、やっぱり大事なのは、それまでコンスタントに日々投稿をしてきたという蓄積ですよね。 何かのきっかけで想定外の量のアクセスが発生したときに、刹那的な興味でアクセスした人が 「他の投稿ではどんなことを書いてるのかな?」と見に行けるだけのストックがあることが そこから継続的にアクセス数を伸ばしていくためには必要なことですよね。 だからSNSでは毎日投稿などのコンスタントな努力が必要ですし、 そしてバズらせるための積極的なアプローチをとるタイミングも見極めないといけないですよね。 著者の場合は、自分のブログに対する読者の変化をきちんと察知し、 その分析を行い、そして運営ルールの中にきちんと落とし込んで、 自分自身がルールをきちんと守って効率運営を徹底する。 ルール化と徹底も大事ですよね。 どんなテーマであっても、成功するのに大事なのは、 継続的な努力とルール徹底による効率化、その2つかなと思います。 その持論が、ちきりんさんのブログ運営の具体的なプロセスで検証できたので 納得性の高い読書となりました。 後半、過去のブログ投稿の中で、反響の大きかったものがいくつか掲載されていましたが、 本作で「ブログサービスを選んだ理由は投稿日付が見やすかったから、日付は大事」と あれだけ強調してたのに、このブログ掲載パートでは、ブログの投稿日が文章の最後に カッコ書きで記録されていて、「ちきりんの言ってること、実行してないやんかー」とここはガッカリ。 編集者の配慮が足りないこともガッカリだし、ちきりんさんがチェックしてないこともガッカリ。 ![]() |
『悩みどころと逃げどころ』
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- 2020/07/27(Mon) -
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ちきりん、梅原大吾 『悩みどころと逃げどころ』(小学館新書)、読了。
最近読んだ「Go To キャンペーン大混乱について」という、ちきりんさんのBlog記事が 大納得というか、あらゆる疑問の方向に対して整合の取れた解釈ができてるなと思い さすが、ちきりんさん、考察力が凄いなぁと思っていたところでした。 なので、ブックオフでお名前を見つけて、とりあえず買ってきました。 梅原さんの方は、全く存じ上げないお名前だったのですが、 ちきりんさんの対談なら、まあ、大丈夫だろうということで。 結果、読んでみて思ったのは、梅原さんの発言の方に興味がわいた!ということです。 梅原さんというのは、14歳で格闘ゲーム日本一になり、2010年に日本人で初めて企業と スポンサー契約を結びプロゲーマーになった人ということです。 うーん、私はゲームをやらないので、知らない世界の住人のお話のようです。 でも、私がよくこのBlogに書いている、「一流の人は語るべき言葉を持っている」というのは 梅原さんにも当てはまって、自分の人生観なり仕事の哲学なりを、 ゲーム好きの人に向かってだけ話すのではなく、一般人に向かって、プロゲーマーとはということを 熱く語れる言葉を持っている人なんだと分かり、ものすごく興味が湧きました。 自分の職業に対するプロ意識がとてつもなく高いですし、 その意識の高さが、非常にロジカルに自分の中で整理されている人だなと感じました。 梅原さんが語ることで、格闘ゲームの世界にも、少しだけ興味を持つことができました。 今まで、正直、ただ戦いを繰り返すだけの格闘ゲームって、何が面白いのか良く分からなかったので。 数少ない私のゲーム経験は、『信長の野望』とか『三国志』とかの歴史シミュレーションゲームに 偏ってるのですが、天下統一!という分かりやすいゴール設定に向けて コツコツやっていくのが好きでした。 梅原さんの人生観とか仕事の哲学とかはご本人の著作でじっくり読めそうなので そちらで確認するとして、本来楽しみにしていた方のちきりん先輩に関しては 正直なところ、ちょっと残念に感じてしまいました。 何よりもまず、この対談をコントロールしようという思いが前に出過ぎてしまっていて ところどころ誘導尋問のように感じてしまいます。 一方の梅原さんは自分の考え方が間違って伝わることに強く抵抗するようなところがあり、 その意思が強い分、ちきりんさんの誘導尋問ぶりが目立ってしまい、 「あれ、こんな強引な話の誘導の仕方とか、反対におだてて誘導するとかする人だったっけ?」と 思わずにはいられませんでした。 正直、あんまり対談という形式が、ちきりんさんに合っていないのではないかという気がしました。 往復書簡という形式なら、もっと落ち着いて読めたような気がします。 ちきりんさんが言う「子供の頃から世の中の仕組みに凄く興味があった」という点には 激しく共感します。私もそうだから。 明日雨が降るかはあんまり興味ないけど、なぜ雨が降るのか、なぜ台風の雨風は強いのか その仕組みを知りたいと切に願ってしまいます。 だから、最近読んだちきりんさんのBlogも、なぜ政府はあんな中途半端な形で Go To トラベル キャンペーんを始めようとしたのかスッキリ理解できたのだろうなと思います。 ちきりんさんの解説が面白いのは、誰がどういうことをしたいと思ったというような個人の価値観や 誰と誰が対立しているというような個人的な感情を除いて、 なぜ、そういう政策を取ろうとするのか、何が目的なのか、その目的に対して一直線に進むには その政策で良いのか、というような感情を挟まないロジカルな話の展開に 私は心惹かれるのだと思います。 だから、学校生活楽しかった?みたいな感覚的な話をちきりんさんがしているのを読むと、 「あなたがやるべき言論活動は、そういうことじゃないだろう!」と思えてしまうのかなと。 まあ、Blogはちきりんさん本人が興味の赴くままに世の中の仕組みのことを語れますが、 本にするには、当然、出版社側の思惑に沿って企画せねばならないわけで、 そうすると雑念が入って面白くなくなっちゃうのかも・・・・と思ってしまいました。 ちきりんさんは、最近読んだ著作は、どうも満足しきれないものが多いので、 出版社が絡んでくる本よりも、Blog記事を追いかけた方が、私は満足できちゃうかも。 ![]() |
『未来の働き方を考えよう』
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- 2019/12/01(Sun) -
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ちきりん 『未来の働き方を考えよう』(文春文庫)、読了。
久々のちきりんさん。 初めて読んだ時は共感できるところも多く、一気読みして「面白かった!」と思えたのですが、 2冊目、3冊目となってきて、段々と軽さ薄さが気になってます。 本作では、そもそも読者層にどういう人たちを設定しているのかわかりませんでした。 「定年と年金受給開始との間に空白ができたら生活していけない」と不安を抱えている人たちなのか 「夫と妻がそれぞれ海外赴任を打診されたらどうするか心配」というキャリア夫婦なのか 「カスタマーサポートの仕事が海外に取られてしまうかも」と不安なコールセンターの派遣社員なのか 各章ごとに、取り上げている議論の対象者の仕事の質やレベルが違い過ぎて 誰に向かって話をしているのか見えてきませんでした。 そんな状態で、「働き方を変えよう!二度目の人生はやりたい仕事をやろう!」と言われても、 ピンとこない気がします。 新卒から定年まで、一つの会社で手厚く面倒を見てもらえたのは団塊世代だけだと思っているので、 今、世の中に出ている多くの人は、転職なり独立なり何らかの形で 仕事を変える経験をしているのではないでしょうか。 会社の中には、社員だけでなく、定年再雇用の嘱託社員や パート社員、アルバイト、派遣社員、インターンシップなど、様々な立場の人がいて、 さらには、協力会社や下請けと呼ばれる会社との取引や、外注先もあります。 社員の中には、経営者への出世街道を進むエリートも居れば、 リストラの心配をしている社員も居て、みな一様ではありません。 それぞれの立場で、「第二の人生を迎える」フェーズがあるわけで、 それは、エリート社員と派遣社員では全く異なると思います。 なのに同じフレーズで鼓舞するのは、無理じゃないかな?と。 あと、ちきりんさんが、自由な第二の人生を歩めているのは、 第二の人生を前向きに招き入れただけではなく、 それよりも、第一の人生でがむしゃらに働いた経験の蓄積があったからだと思います。 雇われ人の組織人という窮屈な存在の中で、 自分の能力を最大限に発揮して、組織のために実績を上げてきた経験があるからこそ、 自由な第二の人生を迎えたときに、自立していけるだけの力が身に付いたのだと思います。 この第一の人生における頑張りがない人が 自由だけを求めて第二の人生に突入すると、 本人がつらい思いをするだけでなく、社会が弱体化してしまいそうで不安です。 ![]() |
『世界を歩いて考えよう!』
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- 2015/08/01(Sat) -
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ちきりん 『世界を歩いて考えよう!』(大和書房)、読了。
3冊目のちきりん先輩です。 今回は、世界各地を旅行したという経験をもとに、 現地で考えたことをまとめたエッセイ。 訪問先が、ソビエトだったり、キューバだったり、ミャンマーだったり、 かなりマニアックな国をマニアックなタイミングで訪問しているので、 旅行記としては面白かったです。 ただ、「社会派」というには、掘りが浅いのではないかと・・・・・。 実際に著者が目にした光景や体験した出来事から思索をしていく その出発点はなるほどなぁと感じるものが多かったのですが、 意外と思索が深まらないと言いますか。 この著者は、聡明だし社会的経験値も高いので、 相当深くまでモノゴトを考えていると思います。 なのに、本にするとこの程度になってしまうというのは、 言葉は悪いですが、「このシリーズの読者ならこの程度がちょうど良いだろう」と 見くびられているのではないかと思います。 その点は、読んでいて、あまり気持ちの良い感じがしませんでした。 ま、私の推測が間違っているのかもしれませんが。 もっと深掘りして突き抜けた文章を一度読んでみたいものです。
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『ゆるく考えよう』
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- 2015/03/03(Tue) -
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ちきりん 『ゆるく考えよう』(イースト・プレス)、読了。
前に読んだものが面白かったので、再び。 本作は、あまり難しく考えずに楽観的に生きよう!という内容です。 ちょっと緩すぎかな・・・・・。 様々なことに挟まれて、焦って、どうしたらいいか分かんない!?と パニックになっている人には、「落ち着きなさい」「楽になりなさい」と ヒーリング効果がある気がします。 ただ、将来に向けて自分を成長させたいと、冷静に考えている人にとっては、 あまり刺さってこないと思います。 できる人のタイプを、パソコンのスペックに准えて解説したくだりなどは、 さすがトップコンサルタント、話が分かりやすいし、面白い!と感じました。 こういう個別具体的な説得テクニックを知るには、参考になると思います。 読んでいてずっと疑問だったのは、 本作で述べている考え方&生き方を著者はどの時点で会得したのかということ。 外資コンサルでバリバリ働いていた人(のはず)なので、 その当時も、このような考え方を持っていたのか、そして実現していたのか、 それとも、退職してから悟ったことなのか、そのあたりが、どーにもモヤモヤ。 本作で主張されていることと、今の私とを、 どう結び付けていけばよいのかがイメージできませんでした。
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『自分のアタマで考えよう』
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- 2014/10/02(Thu) -
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ちきりん 『自分のアタマで考えよう』(ダイヤモンド社)、読了。
「なんだか売れてるらしいぞ」との情報は得ていたのですが、 この本が世の中に出てきた経緯を良く知らないまま、 とりあえず100円で見つけたので買ってきました。 ふむふむ、元エリート金融マンのαブロガーなのね。 ゲームで使ってた名前が「ちきりん」・・・・・ ということは40代後半ぐらいの男性かな??? と予想しながら読み始めたら、女性でした。 しかも、後で調べてみたら、どうやら大学の先輩らしい・・・・。 型にはまった見方で思い込んではいけませんね。 「分かりやすく解説する」という時に陥りやすい罠に、 説明対象の事象について複雑なことや高度なことは取り除けてしまい 簡単な当たり前のことだけを触れるという方法があると思います。 初歩の初歩しか説明しないんだから、そりゃ聞いてる方は分かった気になれるわよ!という類のもの。 でも、理解は全然深まらないという・・・・。 そんな罠は何のその、本作は、複雑に見えること、高度に思えること、 そして、普段は気にせず素通りしてしまっているけど大事なことについて きちんと分かるようになるための「考え方」を分かりやすく解説してくれています。 シンプルで理路整然としているので、汎用性があり応用しやすいと思います。 内容を安易に簡便化しているわけでもないため、 読んでいて興味が殺がれることもありません。 適度にウィットに富んでいて、楽しんで読めます。 ただ、著者が言っている「考え方」「モノの見方」というのは、 著者がゼロから生み出して身につけたものなのではなく、 既存の一定の思考パターン化されたフレームワークを活用しているに過ぎないので、 そこは誤解してはいけないと思います。 というか、むしろ、思考パターンとして一般的なフレームワーク化できているがために、 私たちでも頑張れば身に付けられる期待が持てるという有難いものなのです(笑)。 フレームワーク自体を考えるような大変な作業は賢い人にお任せして、 私たちは、それを如何に上手く使うかに知恵を絞ったほうが賢明だと思います。 以前も少し書きましたが、ツボの押さえ方をパターン化できると 非常に仕事がしやすくなります。 そして、そのパターン化に至るロジック、 著者の言葉を借りると「情報を納める思考の棚」の作り方を自分のものにできると、 仕事以外にも様々な場面で活用することができ、 何事も効率よく合理的に、また自分自身のアイデンティティとして一貫性のある思考・行動が 取れるようになって、体力的にも時間的にも精神的にも余裕が生まれます。 この能力は、磨けば磨くほど、自分の成長感や達成感を得られるという点で、 力の入れ甲斐があるというか、病み付きになるというか、 面白い分野だと思います。 なので、時々、この手の本を読みたくなっちゃうんでしょうね~。 他の著作も挑戦してみたいです。
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