『橋本治のかけこみ人生相談』
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- 2020/08/04(Tue) -
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橋本治 『橋本治のかけこみ人生相談』(幻冬舎文庫)、読了。
橋本治氏の著作は、ちょっと苦手意識があったのですが、 本作は非常に面白く読みました。 タイトル通り、読者の人生相談に著者が回答しているのですが、 相談者の心情に表面的には配慮しているような言葉遣いをしていますが、 その実は遠慮なしにズバッと切り込んでおり、本質をえぐるような回答ばかりです。 要約すると、考えが足りないとか、自分の気持ちが整理できていないとか、逃げているとか。 岡田斗司夫氏によるサイコパス人生相談と同じ匂いを感じます(爆)。 正直、「こんな幼稚なことをなんで橋本治氏(はたまた岡田斗司夫氏)に質問するんだよ~」と 呆れてしまう質問が多いのですが、それを見事なまでにぶった斬ってくれるので、 変な爽快感が得られます(笑)。 本作を読んでいて最初に感じたのは、「なんで自分に関する質問はくだらないことが多いのに、 家族に関する質問はまじめに考え抜かれた悩みのような印象を受けるのだろう?」ということでした。 家族とはいえ他人のことだと客観視できるのかな?と最初は思っていたのですが、 いくつかの質問を読んでいて考え方が変わりました。 自分のことを質問する人と、家族のことを質問する人は違う人種なのだなと(苦笑)。 家族のことで悩みぬいている人は、自分自身の悩みであれば自分で考え抜いて自己解決する力を 持っていそうな気がします。一方で、自分のことを質問してくる人は、近視眼的で、仮に家族に問題を 抱える人がいても、そのことをわざわざ他人に相談するようなことはしなさそうだなと。 そういう意味では、いろんな人間がいるんだなということを知り、また人間の分類方法の一つを 思い至ったので、良い読書経験となりました。 自分自身は、橋本治氏のように、問題の本質を見抜ける観察力と洞察力と思考力を身につけたいなと 切に感じるものとなりました。 ![]() |
『幸いは降る星のごとく』
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- 2018/11/17(Sat) -
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橋本治 『幸いは降る星のごとく』(集英社文庫)、読了。
著者の小説作品はお初です。 論評やエッセイは、ちょっと文章がくどいのが馴染みにくいと感じるのですが、 はたして小説は・・・・? くどかったです(爆)。 女芸人というポジションを作り上げていったというか、 そこに祭り上げられていった女の物語。 小説のように見えて、その実は、社会が女の存在価値をどのように規定しているのか、 捉えているのか、という考察でした。 くどいけど、言っている内容はなるほどなあという視点であり 興味深く読みました。 でも、くどいので、小説としてはしんどいです。 途中で息切れしてしまいました。 著者の独特の文章に息切れせずに読み通せるタフな読書力を持てればなぁと思います。 ![]() |
『乱世を生きる』
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- 2015/12/20(Sun) -
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橋本治 『乱世を生きる』(集英社新書)、読了。
相変わらず文章がクドイので、読む気を起こすまでが大変です。 そもそもなぜこの本を書こうと思ったか、そして、なぜだか思い当たるものがはっきり言えない・・・・など あーだ、こーだ書かれていますが、その狙った演出が鼻につきます(苦笑)。 ま、でも、勝ち組と負け組の線引きが出てきた経緯や、 勝ち組側の精神構造、および負け組を見る目のような部分の話は 斜に構えた文章ですけど、でも、本質的にはそうだなぁと納得。 民主主義で自分たちで何でも考えなければいけない世の中より 独裁者に全部任せてしまったほうが楽という考え方もあるというのは、そうだなと。 革命を起こした人物なんていうのは、冷静に考えれば独裁者に近い組織統括をしてますからねぇ。 後半は、ちょっと私が疲れてしまって、流し読みになってしまいました。
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『上司は思いつきでものを言う』
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- 2010/07/19(Mon) -
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橋本治 『上司は思いつきでものを言う』(集英社新書)、読了。
連休中に、BOOK OFFで新書を調達してきたので 昨日から新書祭りに突入したのですが、本日は、橋本センセ。 キャッチーなタイトルは、最近の新書ブームにきちんと乗っかってますが、 冒頭で、このタイトルをつけた経緯について、言い訳のような解説あり。 で、読んでいくと、最初はタイトルに沿った話が展開されますが、 後半は、話がどんどん広がっていき、会社の枠を飛び越えて 官僚制や日本の歴史についての考察になっていきます。 ま、本当に書きたかったのは、後半なんだろうな(苦笑)。 個人的には、前半の埴輪メーカーの比喩を面白く感じました。 結構、良い線を突いてカリカチュアライズしていると思います。 ただ、文章のクドさが、ちょっと苦手。 もっと簡潔に書けば、7割ぐらいの分量で収まったのではないかと思料。
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『宗教なんかこわくない!』
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- 2010/03/11(Thu) -
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橋本治 『宗教なんかこわくない!』(ちくま文庫)、読了。
オウム真理教を解剖した本かと思って、興味本位で買ってきたのですが、 オウムの事件を契機に宗教について考えてみよう!という本でした。 なので、思いのほか真面目で重い内容に、 ちょっと読むタイミング間違えたかも・・・と後悔。 仕事が慌ただしい年度末に読む本ではなかったかも。 どこまで読み込め高は、はなはだ心もとないのですが、 「現在の日本人に必要なのは”神”ではなく、自分を理解し導いてくれる”上司=教祖”」 というような説明には納得。 仏教の歴史や、日本の宗教政策についても簡単ではありますが説明されていて、 多角的な角度から日本人と宗教というものを考えることができました。 もうちょっと心に余裕ができたら、再読してみたいです。
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