『やがてヒトに与えられた時が満ちて・・・・』
- 2017/09/29(Fri) -
池澤夏樹 『やがてヒトに与えられた時が満ちて・・・・』(角川文庫)、通読。

かなり久々な池澤作品。
SF小説ということでしたが、かなり理屈っぽくて、
ところどころ読み飛ばしてしまいました。
うーん、難解。

表題作は、いくつかの章で成り立っているのですが、
大きな舞台としては、地球から逃れてきた人類30万人が
軌道衛星の上に作った住居に暮らしているというもの。
全てがネットワークにより管理され、安全と安心の真っただ中で暮らしています。
そのため、何かに不満を持つこともなければ、
環境を改善しようという気概も起きない人間ばかりが育って・・・・。

今で言うと「AIによる世界の管理」ということになるのでしょうけれど、
ここまで露骨にAIが人間を圧倒する世界はSF的で非現実的な印象を受けますが、
反対に、人間が主体的に動いているように見えて、
実は裏でAIが統制をかけているという状況の方が怖いですね。
現実に、すでにそうなっていそうな気もして・・・・・。

そんな状況に疑問を投げかける「L氏の幽霊」が面白かったです。
天文学者のラグランジュと思われる老人が
この衛星住居の中に現れ、憂鬱な表情で人々の生活を眺めている。
その真意は・・・・。

頭が平和ボケしてしまっている人間に
考える、疑問を持つということをするように働きかける幽霊。
今の時代においても、L氏は憂鬱な顔で眺めそうです。


やがてヒトに与えられた時が満ちて… (角川文庫)やがてヒトに与えられた時が満ちて… (角川文庫)
池澤 夏樹 普後 均

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『明るい旅情』
- 2009/07/15(Wed) -
池澤夏樹 『明るい旅情』(新潮文庫)、読了。

紀行エッセイ集です。

前半、なんだか、モノによって凄く読み難いのがあるなぁ・・・と思ってたのですが、
「接続詞が無いんだ!」と、ハタと気付きました。

それからは、接続詞の有る無しの方が気になってしまい、
あんまり頭に入ってこず・・・・(苦笑)。

でも、「イギリスを出た人々」という長文エッセイから面白くなり、
次の「現代イギリス旅行文学選」が良かったです。

あんまり旅行文学、紀行文学というものに馴染みが無かったので、
たくさん紹介されていて参考になりました。

そして「記憶の都市・イスタンブール」。
これは、ちょうど昨日、一橋フォーラムで聞いてきたこともあって、
興味深く読みました。

のんびりギリシア旅行なんて、憧れますねぇ。


明るい旅情 (新潮文庫)
明るい旅情 (新潮文庫)池澤 夏樹

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『エデンを遠く離れて』
- 2009/06/05(Fri) -
池澤夏樹 『エデンを遠く離れて』 (朝日文庫)、読了。

エッセイ集ですが、
本作は理系人間の要素が色濃く出ていて面白かったです。

様々なシミュレーションの数字が出てくるんですが、
「こんな観点で物事考えたこと無かった」というものばっかり。

もし人間が狩猟採集経済だけに頼っていれば
日本の国土で養える人数はせいぜい30万人まで


こんなことを計算する人々がいるんだなぁと思うと、
人間って面白い・・・と思います。

理系的に物事を観察し、考え、文系的に文字にして、人に伝える。
この冷静さが欲しいです。


エデンを遠く離れて (朝日文芸文庫)
エデンを遠く離れて (朝日文芸文庫)池澤 夏樹

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『マリコ/マリキータ』
- 2008/08/03(Sun) -
池澤夏樹 『マリコ/マリキータ』(角川文庫)、読了。

夏らしいカバーイラストだったので買ってきました。
で、表題作「マリコ/マリキータ」を読み、
南国行きたーい!!と渇望。
どこかの南の島の道路沿いの椰子の木の木陰に
本当にマリキータは佇んでいそうです。

その他の併録作も、
南国のハレな印象を与えつつ、
日々の暮らしというものにも鋭い視線を時には与えながら
物語が進んでいきます。
単に明るく楽しい南国ライフなのではなく、
南国が抱える厳しさも伝わってくる良品ぞろいした。

「帰ってきた男」は、ちょっと小難しくて、
じっくり読むのはまた今度ということで・・・・・。


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マリコ/マリキータ (角川文庫)池澤 夏樹

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『インパラは転ばない』
- 2008/04/10(Thu) -
池澤夏樹 『インパラは転ばない』(新潮文庫)、読了。

エッセイの王道というものを久々に読んだ気がします。

著者が、世界中あちこち、しかも辺鄙な場所も多数訪れていることに
驚くとともに羨ましい限り。

でも、最も羨ましいのは、全方位的な興味関心の心かも。
自然大好き、機械大好き、お酒大好き、文学大好き、人間大好き・・・・・。

人文科学・自然科学・社会科学をバランスよく身につけるというのは
ホントに憧れます。


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インパラは転ばない (新潮文庫)池澤 夏樹

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『バビロンに行きて歌え』
- 2008/02/02(Sat) -
池澤夏樹 『バビロンに行きて歌え』(新潮文庫)、読了。

前回読んだ池澤作品がファンタジー系だったので、
甘味の少ない硬派な作品にびっくりしました。

日本に密入国したレバノンのゲリラ兵士ターリク。
日本の地で密かに生活を始めるが、多くの優しい人々に出会う話。

ターリクを軸にしながらも、
各章の主人公にはターリクに影響を受けた人々が取り上げられていて、
連作短編集を読んでいるような面白さがありました。

一方で、身元がばれれば強制送還の身ということで、
さまざまな出来事から逃れるように移動していくターリクですが、
真正面から彼を裏切る人間が登場しなかったのは
救いのような、物足りなさのような。

後半は、ロックに目覚めたターリクが成功していく物語となっていますが、
偽造パスポートが入手できたら、身を潜めんでもいいのか?と若干の疑問。

ま、ひとつのハッピーエンドかな。


バビロンに行きて歌え (新潮文庫)
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『南の島のティオ』
- 2007/09/24(Mon) -
池澤夏樹 『南の島のティオ』(文春文庫)、読了。

あんまり「児童文学」という区分けは好きではないのですが、
そう呼ばれているジャンルの作品を久々に。

冒頭の「絵はがき屋さん」から惹き込まれました。
「ナイスデイ絵はがき会社のピップさん」だなんて、
すでに名前からしてファンタジーです。
受け取る人が必ず訪ねてくるという魔法のような絵はがきを作る
ピップさんのお話は、おとぎ話のようでありながら、
どこかにそういう絵はがき屋さんがいるんじゃないかと期待させてくれる一編。

そして、結末にある重みは、この短編集全体の底辺を流れています。
カラッとした南の島の出来事の根底に流れる悲しみのようなもの。
自然を相手に島に生きる人々の試練のようなもの。

ところで、この冒頭の絵はがき屋さんの話をベースに
連作短編が展開されるのかと思いきや、
個々のお話は独立していたので、そこはちょいと肩透かし。

私が個人的に好きだったのは「帰りたくなかった二人」。
なんだか、小笠原を思い出しちゃいました
行くと帰りたくなくなる島・・・。
小笠原をはじめ、島には予定外の長期滞在をしている方も良くお会いします。
でも、私は、小笠原なら帰ってこなくなることは無いな。
遠くて行き来に時間がかかるとはいえ、
日本だし、東京のテレビが見られるし、携帯電話もつながるし、
やっぱり東京の一部。
本作の南の島ぐらい地政学的に離れてないと、
今の日常を捨てることなんて出来ないなぁ・・・。

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