『カーニヴァル化する社会』
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- 2019/11/30(Sat) -
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鈴木謙介 『カーニヴァル化する社会』(講談社現代新書)、通読。
なんとなくタイトルに惹かれて買ってきました。 で、「はじめに」で、ネット上での「祭り」「炎上」について触れていたので 「タイトルの『カーニヴァル』とは、仮想世界で異常な盛り上がりをみせる状態か!」と解釈したのですが 早とちりでした(苦笑)。 本文では、少子高齢化における労働の構造、監視社会化、携帯電話社会という 3つの章で成立していますが、3つが一つに繋がっていくのかというとそうでもなく 3つの独立した文章を読んだ感じでした。 「はじめに」で、ネット上の「祭り」の考察だと思い込んでいたので 第1章で若者と労働についての話が始まって、盛り上がってた気持ちが一気に醒めてしまいました。 この視点での社会問題の考察も大事なことだとはわかっていますが、 そういう読書の気分じゃなかった・・・・・ということです。 第2章の監視化社会は、当然、フーコーが登場し、 フーコー好きの私としては興味をもって読みましたが、 しかし、本作で特別な情報や視点を得られたかというとそうでもなく、 一般的な話で終わっていった印象です。 最初に期待値が上がってしまっただけに、残念でした。 ![]() |
『哲学の教室』
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- 2015/07/12(Sun) -
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小川仁志 『哲学の教室』(中経文庫)、読了。
深夜の高校に偉大な哲学者たちが講義をしにくるという設定。 このSF的設定が活かせてたのかは疑問ですが、 哲学者と現代高校生の対話という形で進んでいくので 入門書としては読みやすかったです。 13人の哲学者が登場し、 個人的にはフーコーを目当てに読んだのですが、そこは目新しさはなくイマイチ。 むしろ、今まであまり読んだことがなかったサルトルの「自由」についての章が 興味深かったです。 ま、少ないページでは玄関先ぐらいしか見えていない状況でしょうから、 もう少し骨のある本で読んでみたいなと思いました。 あと、偉大な哲学者に現代の社会問題を語らせるのは一つの演出方法だとは分かりながらも、 マルクスがネオ・リベラリズムについて語っている様子は、やっぱり何だか違和感(苦笑)。
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『ミシェル・フーコー 構造主義と解釈学を超えて』
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- 2014/03/25(Tue) -
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ヒューバート・L・ドレイファス、ポール・ラビノウ
『ミシェル・フーコー 構造主義と解釈学を超えて』(筑摩書房)、通読。 久々に気合を入れて、フーコーに挑戦。 ま、原著ではなく、解説本ですが・・・・。 大学生のときにフーコーをかじって以来、権力論について関心があります。 本作でも、相応のページを割いて権力論が書かれているようだったので読んでみたのですが、 フーコーの主張の解説だけでなく、その学問的な位置づけや方法論についても 丁寧に解説されており、フーコーの研究に関心がある人には良いと思うのですが、 私のような「お、面白そうな権力論だな」程度の関心では、歯が立たなかったです。 やはり私は、学生時代に読んだ『監獄の誕生』の視点に興味があるのですが、 そのあたりを扱った章は面白かったです。 最近、世間の流行などを見ていて感じるのは、「マラソンブーム」というのは、 現代における「規律=訓練」の象徴的なものではないかということです。 全国各地で開催されるマラソン大会への参加を誘い、 各個人のスキルに合わせた目標設定が置けるようになっており、 それに向けての練習メニューもいろいろ開発されています。 そして、マラソンランナーに求められるのは、ルールの遵守や地域との共生。 皇居周辺ランニングでマナーが悪いと叩かれ、ランナー内で規律を守る相互監視が働き、 非常に従順な国民が出来上がっていくという・・・・。 てなわけで、私は、マラソンブームには乗りません!(笑) 苦しんだ末に、規律の中に囚われていくようなことには参加しません! ま、苦しいことをしたくないというだけなんですけど。 分厚い本を読んだ割には、 大したアウトプットができていないですが(苦笑)、 もうちょっと柔らかいところからフーコーには再び接近していきたいと思います。
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『フーコー』
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- 2012/09/27(Thu) -
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桜井哲夫 『フーコー』(講談社選書メチエ)、読了。
先日、久々に講義を聞いてから一気に再上昇してきたフーコー熱(笑)。 兼松講堂からの帰りに谷川書店さんで買って来た入門書をさっそく。 フーコーの解説と言えば桜井先生ということで、安心の一冊です。 フーコーの生涯、思想のキーワード、著作解説など、 いくつかの切り口で簡潔にまとめられています。 やはり、この人の権力論は、面白いですね。 目に見える形でのわかりやすい権力構造よりも、 自分たちが意識せずに従ってしまっている権力構造のほうが はるかに不気味で恐ろしいです。 反対に、そのような認知されない権力構造を構築する側に立てば、 管理のしやすさは一目瞭然。 パノプティコンのくだりを読んでいて、 今、自分の勤務先の事務系のセンターの様子を思い出しました。 壁を作らず、柱も極力排除して、フロア一体を見渡せる構造にしています。 一見、開放的で気持ちよい印象を与えるのですが、 これって、少数の管理者でオペレーターを統制するためなんですよねー。 あと、オペレータ同士に監視させるという側面も。 実は、学生時代に、『監獄の誕生』をベースに工場労働のあり方を分析するという ゼミ発表を行ったのですが、工場だけでなく、普通の事務職においても 同じことが実施されています。 研究対象として、うちの会社、面白いかも(爆)。
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