『悪党』
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- 2018/09/19(Wed) -
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石川知裕 『悪党』(朝日新聞出版社)、読了。
沖縄知事選挙のニュースで、久々に小沢一郎氏の名前を聞いた気がします。 いつから、こんな存在感の薄さになっちゃったんでしょうか。 実家にこの本があったので、読んでみました。 小沢一郎の元秘書で、その後、衆議院議員として当選するも、 政治資金規正法違反で逮捕されてしまった著者。 執行猶予期間中に『そこまで言って委員会』に登場したのを たまたま実家のテレビで見ていた記憶があります。 正直、それぐらいしか印象がない議員さんです。 が、その人が、親分の小沢を「悪党」と呼んで、その人となりを書くというのですから、 一体どんな内容なのか、非常に気になるところです。 冒頭、著者の逮捕の前後のあたりの話から始まります。 著者に対して小沢氏がどんな態度で臨んだのか、どんな言葉をかけたのか、 確かにこれは、著者でなくては書けない本だなとは思いました。 ただ、事件そのものについては、ほとんど触れずじまい。 潔白を主張することも、言い訳することもなく、スルーの状態です。 裁判中だったから、無理なのかな。 でも、小沢氏を「悪党」と呼ぶなら、しっかり悪党ぶり、もしくは悪党と呼ばれる理由を 書いてほしかったように思います。 「カネに清いが官僚に弱い管首相か、カネに汚いが官僚を動かせる小沢一郎か」 なんてフレーズでは威勢がいいけど、どう汚いのか突っ込んで書かないから 結局、表面をなぞるだけのTVメディアの印象先行報道とあまりレベルに大差ない気がしました。 中盤で書かれているのは、小沢一郎という国会議員に秘書という形で仕えた期間のこと。 国会議員が、どんな仕事ぶりで、どんな生活を送り、何に気を配り、どうやって決断するのか、 そういう、仕事の裏側紹介ルポとしては読みごたえがありました。 小沢一郎という政治家をモデルにして、素直に書いていると感じました。 ちょっと小沢氏の言動に著者が反発を覚えたというようなシーンも書かれていますが、 腹の中で反発しているのは、正直どーでもよいような些末な話ばかりで、 政策とか、国家観とかについては、基本的に全面肯定というか、 批判的に評価を加えるような姿勢自体が著者には見られませんでした。 (元秘書ですから、政策には心酔してて当たり前かもしれませんが) 今や、国家観を語れるようなスケールの大きな政治家は数えるほどしかいないのですから、 その中の1人である小沢一郎氏の国家観に対しては、 もっと踏み込んで解説・分析してほしかったなという物足りなさがありました。 本作を通して、人間・小沢一郎は、魅力のある人物だなと思うことができましたが、 政治家・小沢一郎に関しては、組織運営のテクニック的なところの凄さは見えても、 国家観や政策の厚みの部分は、うまく伝わってこなかったです。
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『小沢一郎 50の謎を解く』
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- 2015/03/20(Fri) -
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後藤謙次 『小沢一郎 50の謎を解く』(文春新書)、読了。
こちらは、実家のお店のお客さまにいただいた本。 自分では買わなそうな本なので、チャレンジ。 著者は、共同通信で記者をされていたということですが、 冷静な書きぶりが読みやすかったです。 小沢氏礼賛でもなく、小沢氏糾弾でもなく、フラットな印象です。 タイトルの「50の謎」ということから、 章立てが50個に分かれていますが、その分、時系列が分断されて、 小沢一郎という一人の人間で見たときに、流れがやや分かりづらかったです。 しかし、小沢一郎という政治家は、 良くも悪くも、その一挙手一投足が注目される数少ない政治家ですよね。 以前なら、頭となる人物を祭り上げる黒幕、 今は壊し屋のイメージが強いですが、どうにも最後は後ろに隠れてしまい、 よく分からない政治家です。 そのために、一般受けが良くないように思いますし、 このギョーカイの人には受けが良いのかと思いますが、 いずれにしても、まだ評価を下すには生々しい感じがしますね。 本作を読んで一番印象に残ったのは、 小沢一郎って、もう72歳なのか!? ということ。 安倍首相と比較すると、やっぱり第一線で活躍する政治家というより、 後ろで操る黒幕が似合うまさにその年齢になった感じがしますね。
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『検察の罠』
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- 2014/03/21(Fri) -
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森ゆうこ 『検察の罠』(日本文芸社)、通読。
こちらも、父の店のお客様からいただいた本。 またもや検察叱責モノです。 検察機構にご不満があるのでしょうか?それとも民主党支持者? ま、三重県は、岡田屋のおかげで民主党支持者が多いのですが・・・・。 で、本作ですが、 やっぱり民主党議員の書く本には、大局観が欠落してると感じざるを得ません。 なぜ検察によりこのようなでっち上げ(著者の主張を前提にすればですが・・・)が 行われることになったのかという真相への踏み込みが弱いです。 「私、この事件で、こんなに頑張ったの!」という奮闘譚、冒険譚の域を出ません。 そもそも「西松建設事件」や「稜山会事件」についての 概要説明が大してなされていないので、 著者の1つ1つの活動の意義を把握するのが困難です。 かといって、わざわざ自分で調べようというほどの興味もないですし・・・。 国民ではなく、自分が物語の主人公になってしまうのが、 民主党議員の残念なところだと思います。
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『自民党はなぜ潰れないのか』
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- 2011/09/23(Fri) -
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村上正邦、平野貞夫、筆坂秀世 『自民党はなぜ潰れないのか』(幻冬舎文庫)、読了。
タイトルで買ってきた一冊。 政界を引退もしくは退場させられた3人による鼎談。 森内閣以降の自民党の衰退過程における裏話がメインです。 3人の出身母体が、自民党/民主党/共産党と三様なので、 同じ出来事を語っても、その見解が異なるのは当然のことながら、 知っている事実もそれぞれの立場から見えることだけなので、 鼎談により出来事の全体像がつながってきたりして、面白かったです。 ただ、あまり鼎談や座談会という形式が好きになれない理由が この本でも時おり見受けられて、そこは残念に感じました。 それは、3人が論を戦わせているようで、実は、自分の言いたいことしか言ってないということ。 論点がずれていったり、ぼやけていったりで、核心に迫られないときは やっぱり、イライラを感じてしまいます。 テレビの政治討論番組が苦手なのも、同じ理由です。 鼎談の限界なのか、それとも政治家や言論人の限界なのか(苦笑)。 さてさて、3人の中で惹かれたのは平野貞夫氏。 小沢一郎の知恵袋といわれただけあって、彼が語るシナリオには説得力がありました。 先を見て、その瞬間を語っているような力があります。 なので、エピローグで筆坂氏が「平野さんは、話が上手な人ではない」と書いていてビックリ。 本にするときに編集で上手くまとめてもらったってことなのかな? 筆坂氏よりも、ずっと面白い話だったのですが・・・・・・。
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