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『ホルモー六景』
- 2021/02/07(Sun) -
万城目学 『ホルモー六景』(角川文庫)、読了。

『鴨川ホルモー』の続編です。

正直、『鴨川ホルモー』は、その突飛な設定に、さらに強烈なキャラが重なって
消化不良の読書になってしまってました

なので、続編も買うかどうか迷ったのですが、読んだら面白かったです。
「ホルモーってどんなんだったっけ?」と、記憶もあやふやでしたが、
読んでいたらだんだん思い出してきました。

6つの短編が入っていますが、
どれも『鴨川ホルモー』で描かれた物語の裏エピソードのようになっていて、
うまく前作とリンクしているようです(記憶あやふやなので想像ですが・笑)

むしろ、裏エピソードの方が、ホルモーから適度な距離感がとられていて、
一般人の生活の側から見ているので、普通の感覚の物語になっていて読みやすかったです。

物理や数学をやる人は、人知を超えた霊的なものの存在を認めないのではないか?という議論で
物理や数学の最先端の人は、証明できるかわからない、存在するかもわからない定理を
必死に解こうとしているから、「人間が知らないもの」のことを大事に思っているはず・・・・・
という視点は、なるほどなぁと思いました。

どんな学問の人であっても、一流の人は、
「知らないもの」について敬意をもって扱うような気がします。
「そんなのはあり得ない!」と断言する人の主張は、あんまり信用できないような。

話がそれましたが、学生が暇にまかせてバカなことを印象件名考えたり取り組んだりしているのって
やっぱり面白いですね。自分の学生時代もこうだったなーと懐かしく思います。

本作は、時代の幅も現代から過去に飛び、
空間の幅も、京都から東京に飛び、多様性も面白かったですが、
東京では、一橋大学が登場してビックリ。
早稲田や慶応が出てくるのかと思いきや、お茶の水と一橋でした。
まぁ、京大さんだと、同じ国立大学の方がリアルな交流ありそうですね。

そして、その反動なのか、私学への評価が低い気がします(苦笑)。
同志社の学生で「薩長同盟」を知らないとか、それはないんじゃないですか?
立命館の学生で「天正10年」を知らないとか、それはないんじゃないですか?
立命館出身の知り合いは私はいないですが、会社の上司は同志社出身で
知的な方でしたよ。




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『悟浄出立』
- 2020/02/13(Thu) -
万城目学 『悟浄出立』(新潮文庫)、読了。

何かの書評で見て、読みたいなと思っていた本です。

5つの短編が収められており、『西遊記』がモチーフの表題作以外には、
『三国志』や楚漢戦争など、中国の有名な物語が扱われています。

ポップで歪んだ万城目節の世界観なのかなと思いきや、
かなり真面目なトーンで物語が進んでいき、意外な印象でした。

そもそも、私の中では『西遊記』となると、香取慎吾や内村光良が頭の中に出て来ちゃうので
「あれ、なんだかキャラが違うなぁ」と、最初は戸惑ってしまいました。
もちろん、TVドラマの方が変なキャラ付けになってるはずなのですが(苦笑)。

あぁ、この沙悟浄は自分に自信がなくて消極的な人なんだ・・・・と分かってからは、
物語の世界観に入っていけました。
猪八戒が「天蓬元帥」として天界では英雄視され尊敬されていたというのは、
初めて知った設定だったので、驚きました。
伊藤淳史さんの猪八戒とは大違い(笑)。

本作での御一行様の中では、沙悟浄が一番人間の煩悩や苦悩に近いところで
悩んでいるように感じました。
だからこそ、その勇気の無さや消極さに共感を覚えるのでしょうね。

『三国志』や楚漢戦争までは、中学生の頃にジュニア小説や漫画で読んだので、
それなりに歴史的な流れも把握できており、登場人物も名前である程度分かっていたので
すんなり読めたのですが、後半の2作品は、ちょっとしんどくなって流し読みでした。

中国の古典は面白いと思うのですが、
本作のような独自解釈の本を読む前に、きちんと古典に沿った本を読んでないと
その面白さがわからないままになってしまいますね。

『水滸伝』、中学生の時に途中で挫折したままなので、
いつか、ちゃんと読まないといけないのですが・・・・・。







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『ザ・万遊記』
- 2018/02/22(Thu) -
万城目学 『ザ・万遊記』(集英社文庫)、読了。

万城目さんのエッセイはお初です。

いろんな雑誌に掲載されたエッセイが組み合わされていたようで、
スポーツ観戦モノ、自著の解説風なモノ、温泉レポート、
はたまた「今月の渡辺篤史」と、色とりどり(苦笑)。

どれも短く無駄のないエッセイで読みやすかったです。
そして、スポーツ観戦にしても、自分の知識をひけらかさないというか、
思い入れをあまりゴテゴテと語らないというか、
さっぱりした味付けが読んでいて気持ち良いです。

スポーツ観戦しながら温泉に入る旅行記というテーマのエッセイなのに、
第2回目にして、出発前日にアキレス腱を断裂し、
以降2か月遠出が出来ないというアクシデントが起こるという
企画潰しの天才である一面も楽しめます。
北京五輪の取材に行き、スタジアムに居るのにボルトの走りを見逃すとか(爆)。

そういうフワフワした味付けのエッセイなのに
ある日突然、サッカーW杯予選の北朝鮮-日本戦を見に北朝鮮まで行ってしまうとか
突如、暴挙に出るとことが油断なりません。

試合の内容云々よりも、北朝鮮入国レポートそのものが興味深くて、
一般の日本人でも行こうと思えば行けちゃうんだなぁ・・・・・と変な感想を持ちました。
この観戦ツアーに帯同した現地ガイドが一番気になる存在だったのですが、
スタジアムでは日本人一行を取り囲む軍人の態度に気が気でない様子ですが、
バスの中に戻ると、北朝鮮政権にちょっと皮肉を言って日本人を笑わせるような
トーク力を見せます。

この人って、北朝鮮における自分の暮らしをどう感じているのでしょうかね。
上手く繕って良い生活を確保しようという感じなのですかね。
日本人との接触で、当然、日本をはじめとする外部世界の様子は知ってるのでしょうから、
どこかで、政治状況への不満みたいなものが爆発しないのかなと
そいういうところが気になってしましました。

あんまり、最近は、小説家さんのエッセイを読まないようにしているのですが、
今後もスポーツ観戦モノなどの企画が面白そうなら、
万城目さんのエッセイは読んでみようかな。


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『鹿男あをによし』
- 2015/07/25(Sat) -
万城目学 『鹿男あをによし』(幻冬舎文庫)、読了。

いやはや、一気読みでした。

東京の大学院で神経衰弱になり、
数ヶ月間だけ奈良の女子高で臨時教員をやることになった主人公。
初日にいきなり「マイシカで駐禁をとられたので遅刻した」と開き直る女子生徒にやりこめられ、
とんでもない教師生活が始まる・・・・・。

もう、この時点で面白いのに、さらに、公園で鹿が話しかけてくるという暴挙(爆)。
さらには、女子高の姉妹校同士の大和杯での剣道対決や
卑弥呼や大宝地震などの歴史の要素も絡まって、
もう、てんこ盛り。

でも、しっかりと全部のネタを拾って、
最後にきちんとまとめあげてみせる手腕は素晴らしいです。

正直、『鴨川ホルモー』は、ちょっとイッチャッてる感じがして
その世界感に踏み込めない印象を受けたのですが、
本作は文句なしに面白かったです。

青春モノが好きな人も、謎解きが好きな人も、
歴史モノが好きな人も、変なモノが好きな人も、
どんな切り口で読み始めても、満足できるのではないかと思いました。

正直、奈良って、小学校の修学旅行や中学校の遠足以来、
きちんと訪れたことがないので(実家は隣県なのにね・・・・・)、
奈良に行って鹿と戯れたくなりました。


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『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』
- 2015/05/30(Sat) -
万城目学 『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(角川文庫)、読了。

挑戦3作目にして、ファンタジー的な要素満載の小説!
いやぁー、これが一番面白かったかも(笑)。

直木賞の選考コメントを読むと、なかなかに辛辣なものが多いですが、
変にこだわりのある小説よりも、すんなり読めて、面白かったです。

時間軸が前後したり、マドレーヌ夫人の能力が思いがけずハイスペックだったりしますが、
それらを含めて、「あれっ!?どうなってるんだろう?」という驚きが
心地よい着地点を見出すので、ワクワクしながら読み進めることができます。

若い猫の奥さんと年老いた犬の主人、
そして彼らを見守る小学校1年生の少女、
なんとも微笑ましい風景ではないですか。

小学校1年生という狭い人間関係の中においても、
やっぱり気を遣いあい、心を配りあいながら毎日を過ごしているという描写も、
自分自身の子供の頃を思い起こしながら、
そうだったよなぁ・・・・・・という余韻に心地よく浸れる小説だと思います。

こういう作品も手にするのであれば、無視できない作家さんだなぁ・・・・・と
3作目の読書にして要注意です。


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『鴨川ホルモー』
- 2014/03/21(Fri) -
万城目学 『鴨川ホルモー』(角川文庫)、読了。

京都の大学生たちの物語ということで、
森見作品みたいなものかなぁ・・・と思ってたら、全然違いました(苦笑)。

大学のサークルの話ではあるのですが、
なんともファンタジーな世界というか、何と言うか、
自分の大学生活を懐かしむ気持ちが湧き上がってこないところが、
共感できなかった最大の要素かなと。

京大、京産大、立命館、龍谷と、
京都で学生時代を送った人たちなら、いろんな思いを持てる4校なのかもしれませんが、
物語がほぼ京大というか、サークルの数人の内輪だけでまとまってしまっていて、
他校の人間との関わりがほとんど出てこないので、
やっぱり、学生時代特有の青春のようなものを感じられません。

なんだか、どうやって本作を楽しんで良いのか分からないまま
終わりを迎えてしまったような印象です。

うーん、残念。


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『プリンセス・トヨトミ』
- 2013/05/21(Tue) -
万城目学 『プリンセス・トヨトミ』(文春文庫)、読了。

初めての作家さんですが、ヒット作が多いので期待してました。
が、しかし・・・・・イマイチでした。

序盤の会計検査院の業務を描写するくだりは、
3人のキャラクターの妙もあって、面白く読めました。

でも、中学校の話に移った時に、いろんな要素を詰め込み過ぎて、
読みづらく感じました。とにかくスピード感がない・・・。

会計検査院の3人が、やや劇画調なキャラクター設定なので、
中学校側はオーソドックスな人物設定にしておかないと、
バランスが悪い気がします。

そもそも、中学生の男の子に性同一性障害を負わせたことの意味って何だったのでしょう?
あんまり作品の中で効果的な要素になっていたようには思えなかったのですが。

会計検査院側の目線で全てを描いた方が、
ワクワク感を醸成できたのではないかと推量します。
中途半端な見せ方が、感情移入のしにくさを招いてます。

Amazonを見る限り、他の作品に比べて本作は評価が低そうなので、
他をあたってみることにします。


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