『地球温暖化論のウソとワナ』
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- 2014/03/05(Wed) -
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伊藤公紀、渡辺正 『地球温暖化論のウソとワナ』(KKベストセラーズ)、読了。
懐疑派で有名なお二方の共著なので、 ちょっと期待して読んだのですが、思っていたほどには刺さりませんでした。 ま、批判の内容に、そんなに目新しいものが出てくるわけでもなく、 基本的なポイントを丁寧に押さえて解説しているものなので、 他の懐疑派の本を読んでしまうと、「こんなもんかぁ」という感じです。 また、舌鋒鋭く攻め立てる・・・・という感じでもないので、 推進派の主張の変なところを指摘して終わりというか、ふわっと次の論点に移っていくような、 ちょっと掴みどころがないような印象も受けました。 ただ、最後の章は、温暖化の話だけでなく、 自然科学教育の話や、日本の国際政治力の話にも論点が広がっていき、 これは面白かったです。 でも、各トピックスを論じている文量が少なすぎて物足りなかったです。 というわけで、いったん、温暖化の本は、もういいや。 飽きちゃった(爆)。
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『暴走する「地球温暖化」論』
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- 2014/02/08(Sat) -
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武田邦彦、池田清彦、渡辺正、薬師院仁志、山形浩生、伊藤公紀、岩瀬正則
『暴走する「地球温暖化」論』(文藝春秋)、通読。 正直、もういいかな・・・とは思っているのですが、 結構なメンバーが揃ってたので、つい買ってしまいました。 温暖化懐疑論および否定論の論者の皆様です。 ただし、内容的には、それぞれが主張したいことの寄せ集めのような感じで、 本作を読めば体系的に理解できるというものではありません。 それと、特段、新しい論点提示はなかったです。 懐疑派の主張に関しては、まともな本を一冊読めば、 だいたい論点が把握できると再認識しました。 では、本作を読んで何を思ったのか。 それは「なぜ脅威派と懐疑派の議論は、いつまでたっても噛み合わないのだろうか」ということ。 本を読んでも、Web上の議論を読んでも、勉強会みたいなところに言っても、 正直、お互いの主張をし合ってるだけで、議論が真正面からぶつかってることってないですよね。 仮にぶつかってたとしても、単語レベルの微細な話をつつき合ってるだけだったりして。 本作では、薬師院仁志氏が、懐疑派の立場で本を出し、 その後、機会があるごとに、脅威派からの論破を求めてきたにも関わらず ほとんど反応がなかったというところを興味深く読みました。 私は、温暖化問題は社会科学系(つまり政治・経済・思想)の問題だと思っているので こういう自然科学的な問いかけに対して真正面から回答するメリットが ないんだろうなと考えています。 そのメリットは、脅威派だけでなく、温暖化ビジネスという点では懐疑派も享受しているかも。 というわけで、温暖化論争に関しては、 脅威派か懐疑派のどちらかが、「これ以上続けたら損する」と判断して下りない限り、 大した議論の成果も生まないままに、継続されていくんだろうなと思っています。 その認識を強くした読書でした。 あと、池田清彦センセは期待を裏切らない清彦節(笑)。
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『地球温暖化論』
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- 2013/12/28(Sat) -
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伊藤公紀 『地球温暖化論』(日本評論社)、読了。
またまた温暖化論に関する本です。 気象学者ではない物理学者が書いた温暖化論についての考察。 基本的には懐疑派の立場です。 特に温暖化論の支持派でも懐疑派でもない立場で、 素直に温暖化論の内容に触れて、感想をまとめたら懐疑派の見解になったという印象です。 やっぱり、シミュレーションの考え方などが 非常にお手盛り感満載のようで、そこへの指摘が様々な角度からなされています。 しかも、語調が、糾弾するというものではなく、「なぜこう考えるんでしょうかね?」という 穏やかに疑問を呈する感じなので、余計に説得力があるように感じられます。 本文は、対話形式で、専門化がアマチュアに教えるという体裁になっていますが、 これも、わかりやすく解説するという点で効果的でした。 例えば、温暖化対策についての説明では、 二酸化炭素が増えれば自然環境が悪化するということは必ずしも分かっていないとしながら、 それでも二酸化炭素の排出量を減らそうとするのは、 高校の規則で茶髪を禁止するようなものだと。 茶髪にすれば即不良化するわけではないが、茶髪にすると不良と交わる可能性が高くなる、 だから茶髪にすることを禁止するのだと。 この考え方は、なるほどー。 ま、二酸化炭素が温暖化を招いているのか疑問ですし、 1℃温暖化することは本当に悪いことなのか私には判断できませんが、 二酸化炭素の排出量を減らすための技術革新は、 省エネ化とか、他の公害物質の抑制にも効果がありそうなので、 一定の費用をかけて取り組みのは良いことかと思いました。 また、著者は、日本では温暖化支持派が原発推進派と近い関係にあるということで、 反原発の立場から、この本を書いたようなところもあるようです。 初版が2003年の発行ですので、3.11以降の原発問題にまつわる言論とは一線を画し 原発問題についても冷静に語っているので、好感が持てました。 (ただし、私は、原発問題については著者と立場を異にしますが) 経済的な観点や政治的な観点も含め、 幅広に分かりやすく、しかも冷静に温暖化問題を取り扱っている 非常に良い本だと思います。
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