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『漱石先生ぞな、もし』
- 2021/01/13(Wed) -
半藤一利 『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫)、読了。

著者と漱石先生、なんとご親戚だそうで。
そういう身内の視点も絡めながらのユニークな漱石論です。

夏目漱石の作品は、結局、『吾輩は猫である』とか『坊ちゃん』とかユーモアのあるものを読んで
重たい感じの作品は敬遠したまま今に至っています。

教科書で学んだ『こころ』が、私にはとてもヘビーに感じられて、
苦手意識を醸成してしまったような。
でも、日本一の文豪の作品は、日本人としていつかはきちんと読まないといけないですよね。

本作は、漱石の様々な作品の内容についても触れる機会が多いので
もちろん作品をきちんと読み通していた方が楽しめるとは思いますが、
あまり知らなくても、ちゃんとあらすじや場面設定を解説しながら話を進めてくれるので
理解しながら読むことができます。

漱石作品を読み込んでの解説だけでなく、
漱石の日常を伝える本人の日記や周辺の人々の随筆などからも引用し、
漱石の作品と漱石本人とを重ね合わせるような分析も、立体的で面白かったです。

著者の義理の母が漱石の娘さんということで、
義母の口を通して語られる漱石像も興味深かったです。

引用された文章を読んでいるうちに、また『吾輩は猫である』を読みたくなっちゃったな。




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『日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか』
- 2019/11/16(Sat) -
半藤一利、江坂彰 『日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか』(知恵の森文庫)、読了。

近現代史に一家言ある半藤氏と、経営評論家の江坂氏による本。
対談かと思って買ってきたのですが、
どちらかというと往復書簡的な構成になってます。対話というのかな。

対談だと、議論が枝葉の部分に流れ込んでいったり、
結論が出ないまま別の議論に移っていったりというストレスが時々起こりますが、
本作は落ち着いた大人のやり取りが行われていて読みやすいです。

失敗を繰り返さないために歴史に学ぶ必要があるという主張は
大いに納得するところではありますが。
本作では、特に太平洋戦争を中心とする日本軍の行動思考とその結果について
いろいろと分析しているので興味深いところではありますが、
一方で、それぞれの話の中に断片的に登場してくるので、
全体像は分からないままです。

その点では、太平洋戦争の一連の流れを把握している人でないと、
この本で指摘していることや批判していることを、適切に理解するのは難しいかなと思います。
先に、半藤氏の本か何かで、太平洋戦争についての日本軍の動きをきちんと学んでから
読んだ方が良かったかなと思います。

本作の特徴のもう一つは、江坂氏が経営論と絡めて太平洋戦争を語っていることで、
その分析は、ちょっと浅いと思うところが多いのですが、
歴史のことだけを語る人2人が対話する銛も、
別の視点で考察する人と組み合わせているので視点が広がって面白かったなと思います。




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『歴史探偵 昭和史をゆく』
- 2015/05/18(Mon) -
半藤一利 『歴史探偵 昭和史をゆく』(PHP文庫)、通読。

「歴史探偵」なんてい語感から、
軽めの歴史エッセイか、小説かを想定していたら、
お堅い歴史解説書でした・・・・・・トホホ。

気分転換に・・・・と思い、あまり良く内容を見ずに持ち出したので、
この重たい内容は、読み通すのがしんどかったです。

第二次世界大戦にまつわる話が多いのですが、
「推理」と著者が言う内容を楽しめるほどに、そもそもの歴史認識が私にないため、
企画の意図を上手く汲み取ることができませんでした。


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『日本型リーダーはなぜ失敗するのか』
- 2014/04/26(Sat) -
半藤一利 『日本型リーダーはなぜ失敗するのか』(文春新書)、読了。

以前、著者の軽いエッセイを読んでみましたが、
文章が合いませんでした。
本作は堅そうなので大丈夫かなと思ったのですが、やっぱり・・・・。

感情的な独断表現が多いのと、文章中に「私」がよく登場してくるための主観的な言い分から
主張の論理性や、体系だった構造が見えにくいです。

ただ、あとがきを読むと、どうも講演して回っている内容を
下書き屋が書き起こしたものを再構成したようで、
この方法だと、まぁ、観客受けする言いたい放題な内容になっても仕方ないのですが・・・・。

太平洋戦争における歴史小話の寄せ集めとして読めば、
まあまあ、面白かったです。
ただ、1人1人の軍人の個別の局面での決断・指示・行動について語っていくので、
戦局の流れが頭に入っていないと分かりづらいです。

この人の著作物は、合わないのかな・・・・・小説に挑戦するか否か・・・・・。


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『大相撲 人間おもしろ画鑑』
- 2013/10/26(Sat) -
半藤一利 『大相撲 人間おもしろ画鑑』(小学館文庫)、通読。

こちらも、父がいただいてきた本。

私、相撲というスポーツにはあまり興味がないのですが、
相撲業界という経済団体には興味があります(笑)。
講義を聞いたのが直接のきっかけではありますが、
酷い言い方をすると、中卒のような学歴の方が多い中で
あれだけの規模の組織と興行を継続させていける知恵はなんなのだろうかと興味津々。

ただ、この本は、純粋に相撲ファンが語る相撲取りのお話でした。
しかも、近代の話よりも、歴史上の相撲取りの話が多く、
これはファンでなければついていくのが厳しい話題かなと。

さらに、文章における著者の存在が前に出過ぎてて、
ちょっと読みにくかったです。
読者に向かって語りかけているようにしたかったのかもしれませんが、
言い回しがくどいと感じました。

「鳥獣戯画」における蛙と兎の相撲や、河童の相撲の話は興味深かったです。


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