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『日本人のためのピケティ入門』
- 2023/09/15(Fri) -
池田信夫 『日本人のためのピケティ入門』(東洋経済新報社)、読了。

一躍時の人となった感のあるピケティですが、
経済学オンチの私には、そもそも多くの人が脱落しているという『21世紀の資本』は
とても読めそうにないので、この薄ーい本で挑戦。

サブタイトルに「60分でわかる」とある通り、サクサク読めます。
前半はQ&A形式で『21世紀の資本』の中身を解説し、
後半は、著者なりに日本社会について考察したものなので、
ピケティの話は、実質的には前半の数十ぺージのみです。

で、その前半の解説ですが、真正面からピケティの著作を解説するのではなく、
むしろ、「データ分析に基づく経験則の発表であり、体系的な理論ではない」とか
「各国の長期的なデータの解析を行いその比較を文章に落とし込んでいるのでとにかく長い」とか
内容よりも、読んだ人がひっかる部分について、それはこういうことなんだよとフォローしており、
そこが分かりやすさの秘訣かなと思いました。

ピケティの著作を読んで、しかも相応に内容を理解している人からすれば、
いくらなんでも端折り過ぎだとか、単純化し過ぎだという批判はあるえしょうけれど、
著作を読んでもたぶんチンプンカンプンに終わってしまうであろう私からすると、
こういうレベルの解説が一番ありがたいです。

少なくとも、”Occupy Wall Street!”において、どういう役割を果たした著作なのかは、
ニュース解説レベルで理解できました。

ひとつ気にすべきとしたら、本作の著者の池田信夫氏は、Twitterでの発言とかを見ていると
自分の思想信条がハッキリとした人で、それに対立する思想信条を持つ人には
厳しい言葉で糾弾したり、皮肉な物言いをしたりする人なので、
本作においても、ポジショントーク的な部分はあるんだろうなぁ・・・・と思います。
どこがどうポジショントークなのかは、私の能力では説明できないですが(苦笑)。
鵜呑みにせずに、こういうピケティ解説もあるよ・・・というぐらいで受け止めたらよいのかなと
思っています。






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『過剰と破壊の経済学』
- 2015/04/04(Sat) -
池田信夫 『過剰と破壊の経済学』(アスキー新書)、通読。

著者の名前で買ってきました。
タイトルも力んでいる感じがしたので、何を吼えているのかなと期待したのですが、
中身はかなりオーソドックスなIT業界のお話でした。

この内容なら、別に、著者でなくても
それなりの本を書く人は他にいくらでも居そうな感じです。

うーん、残念。

過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか? (アスキー新書 042)過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか? (アスキー新書 042)
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『使える経済書100冊』
- 2015/03/10(Tue) -
池田信夫 『使える経済書100冊』(生活人新書)、通読。

池田センセによる書評集ですが、新書の分量で100冊は多すぎ。
あんまり内容がイメージできませんでした。

紹介されている本を読んだことがある人には、
「そうそう、この本はここが面白いんだよね~」と刺さりそうですが、
読んだことのない人間には、頭に入ってきませんでした。

というか、私が経済学オンチだからかもしれませんが(苦笑)。


使える経済書100冊 (『資本論』から『ブラック・スワン』まで) (生活人新書)使える経済書100冊 (『資本論』から『ブラック・スワン』まで) (生活人新書)
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『原発「危険神話」の崩壊』
- 2012/03/25(Sun) -
池田信夫 『原発「危険神話」の崩壊』(PHP新書)、読了。

話題になっているようでしたので、珍しく、本屋で買ってきました(苦笑)。

福島第一原発での事故により、
「最悪の事態でも炉心溶融は起こらない」という(盲目的な)安全神話が崩壊したが、
一方で、「炉心溶融が起こると数万人が死ぬ」という(扇動的な)危険神話も崩壊した。

このご時勢に危険神話の崩壊を訴え、
客観的に、冷静に原子力発電のことを考えようという姿勢の提起は
意味のあるものだと思います。

特に、私が前から感じている、
日本人の「科学センスのなさ」と「経済合理性での判断力の弱さ」を思うと、
こういう主張が出てくることは歓迎したいと思います。

ただ、文章の端々に、誘導的な表現が目に付くことがあり、
読んだ印象では、原発推進派のRP文章のように感じられてしまうところが残念です。
例えば・・・

東日本大震災のような超大型の地震や津波が日本で起こることは今世紀中は考えられず・・・(P119)

経済学的な確率論の考え方で行くと、
たしかに発生率は限りなくゼロに近いのかもしれませんが、
地球の活動に関わることですから、「起きない」と言い切ってしまうのは、
やはり行き過ぎた表現だと思います。

原発反対を感じている人にとっては、
この表現(この前提条件)は、とうてい容認できないものだと思います。

このような点で、論破しようとしている相手のことを適切に慮った表現になっていないところが散見され、
原発反対派に感覚的に賛同している人々を客観的に教え諭そうとしているのか、
それとも賛成派に誘導しているだけの、結局は同じ穴の狢なのか、
疑いの目を持たざるを得ません。

そこが、非常に残念!

でも、この本が主張しようとしている本題の部分は、大筋で賛同できます。
少なくとも、日本の将来のために行動する大きな権限と影響力を持っている政治家や官僚、
財界のトップ達には、冷静で合理的な判断をして欲しいと思います。

一時的な感情論ではなく、冷静な判断に基づき選択した将来が
脱原発であっても、原発維持であっても、納得できる道筋がつけられるなら、
その将来像に向けて、日本人として、一緒に取り組んでいきたいと思います。


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