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『AX』
- 2024/03/14(Thu) -
伊坂幸太郎 『AX』(角川文庫)、読了。

たまたま見つけた個人経営っぽい古本屋に伊坂幸太郎作品が80円でいろいろ並んでて
アレコレ買ってきたので、ストックが豊富です。

で、たまたま選んだ本作は殺し屋が主人公で、人を痛めつけるシーンがそれなりに出てきます。
先月読んだ作品は拷問のシーンから始まり、なんだか似たような雰囲気を感じてしまい、
ちょっと食傷気味なところから読書が始まりました。
たまたま私が選んだ順番が良くなかっただけなのですが。

腕の良い殺し屋の主人公は、妻と息子の3人暮らし。
昼間は文房具メーカーの営業として表の仕事をこなしており、
それと殺し屋家業の両立は結構忙しいんじゃないの?と思いながら読んでましたが、
その割にはどんどん裏稼業の仕事も入ってきていて、
よくまぁ、家庭崩壊しないなぁ・・・・という、仕事の売れっ子さの割に日常生活がのんきで、
なんだかそこにもリアリティを感じられませんでした。

主人公は、この裏稼業からそろそろ足を洗いたいと考えており、
仕事の仲介役にリタイアを訴え続けますが、スルーされ続けて辞められない状況。
あんなに殺しの仕事はテキパキこなすのに、なんで仲介役との折衝も
自宅での極端な恐妻家ぶりも、こんな風になっちゃうんだろう?という感じです。
イマイチ主人公に共感できなかったのが、作品にのめり込めなかった理由でしょうかね。
可哀想とは思いつつも、あんまり同情心が湧かないと言いますか。

作品の構成は、連作短編集となっており、そんなに頭を使わずに読んでいけば
手頃なところで話が終わるので、気楽に読めます。
ただ、そこまで入り組んだ話でもないので、全部を読み終わった後の感想が
あんまり手応えない感じになっちゃうんですかね。

先月読んだ『モダンタイムス』が、面白過ぎたせいかな。




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『モダンタイムス』
- 2024/02/08(Thu) -
伊坂幸太郎 『モダンタイムス』(講談社文庫)、読了。

半分旅行みたいなお気楽な東京出張があったので、そのお供に、上下巻の大作を持参。

いきなり拷問シーンから始まり、「うわー、痛い系の伊坂作品かぁ・・・・」と思いながらも、
拷問を受けている主人公の軽妙洒脱なユーモアに救われ、なんとか読んでいけました。

拷問から脱すると、主人公が勤めるIT企業が受注してきた謎のシステム改修プロジェクトに
無理やり投入され、その現場から蒸発した先輩の残したものを見ているうちに、
謎の闇の部分に気づいてしまい・・・・・・。

「世の中の真相解明」という物語は、やっぱりワクワクしますよね。
自分が見ているつもりの世界は、本当は存在していないのかも・・・・・みたいな
現象学みたいなものをモヤモヤと考えながら読んでいました。

主人公たちが闇に近づいていく様子を読んでいるうちに、
伊坂作品を好きな読者の内、陰謀論に惹かれていく人ってどのくらいいるんだろうか?と
余計なことが気になってきました。

「みんなが現実だと思い込んでいる事象は、本当は丸ごと嘘なのかもよ」と突き付けてくるような
どんでん返しの展開が多い伊坂作品。
私は、「必ずしも目に見えている事象や、みんながそうだと思っている事象が正しいとは限らないから
常に自分の頭でよく考えて向き合わないとね」というような感想を持つのですが、
もしかすると、同じ作品を読んで、「そうか!世の中の事象にはずる賢い権力者が隠している裏側の
真実があるんだ!騙されるな!」という陰謀論に傾倒していく人も一定数いるのかな・・・・と。

フィクションのエンタメだと位置づけて、そこから普遍的な教訓を引き出して満足している自分と、
現実社会の出来事と本作の内容をシームレスに並べてしまって、現実と虚構が混じってしまう
陰謀論好きな人と、何が違うんだろうか?と。
要は、伊坂作品を相応の数で読んでいる自分も、何かのきっかけで陰謀論者に陥ってしまう
懸念はないのかしら?という恐怖をヒシヒシと感じながらの後半の読書でした。

この自分が抱いてしまった懸念に対する答えは、終盤、本作で繰り返し表現された
「そういうことになっている」が肝なのかなと気づきました。
「そういうことになっている」のが、人間社会というのはそういうものなんだ、という諦念というか
割り切りというか、漠然とそういうものだと受け止められるような人はエンタメ派。
「そういうことになっている」のは、「特定の『アイツ』のせいだ!」「特定の『アノ組織』のせいだ!」と
何か一つのものに原因を求めたがる人が陰謀論派。
こんなザックリとした感覚になったのですが、いかがでしょうかね。

私自身は、大学生のときにちょこっと構造主義をかじったので、
エンタメ派の思考回路が受け入れやすいのかなと。

陰謀論諸氏が、伊坂作品とか、どんな風に評価しているのか
ちょっと気になっちゃいました。

と、本作の内容とは全く関係ないことに気を取られながら読んでましたが、
謎のシステム改修プロジェクトから、中学校での虐殺事件、超能力の話まで、
こんなにいろんな要素を用意しながら、きちんとストーリーとしてはまとまっているように感じたので
良くできた作品だったと思います。

解説にも書かれていますが、ユーモア、伏線回収、真相究明という
伊坂作品三大要素がバランスよく構成されているように感じました。






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『フーガはユーガ』
- 2023/07/02(Sun) -
伊坂幸太郎 『フーガはユーガ』(実業之日本社文庫)、読了。

伊坂作品って、淡々とした描写の中に救いようのない極悪人が出てくるパターンがあり、
本作もそれだったので、苦手なジャンルの作品でした。
伊坂ファンは、その深刻な状況を、最後どんでん返しでやっつけてスッキリした!というところに
快感を覚えるのかもしれませんが、私は、それで心の傷が消えるわけじゃないだろうに・・・・と
思えてしまいます。

本作の主人公は、双子の男兄弟。
兄は学業ができ、弟は運動ができるというコンビ。
父親はDVが激しく、抵抗せずに従っていた母はある日子供を捨てて蒸発。
この他にも、小学校の金持ちのいじめっ子や貧困家庭のいじめられっ子、
性的倒錯者の叔父の家に住まざるを得ない孤児など、社会の歪みに苦しむ子供たち若者たちが
たくさん登場してきて重苦しいです。

でも、決して文章は重たくならず、主人公の飄々としたキャラと世の中を達観したような割り切りで
淡々と物語が進んでいくので、まだ読んでいけます。

物語の枠組みは、とある動画に関するテレビ局制作会社の男からの取材依頼に対して、
ファミレスで主人公が動画の経緯というか、自分の過去というか、それを語るという展開で、
過去語りとして物語が進みますが、最初に「僕の話には嘘も交じってるかもしれない」と
幻惑させるようなことをテレビマンに対して宣言しているので、
どこまでが本当でどこからが嘘なのかな?と疑いながらの読書となり、
相応に疲れますが、それがまた伊坂作品の読書の味ですね。

この作品には、救いがあるのかなぁ・・・・・。
私自身は、社会的弱者の頭上に据えられた透明の天井みたいなものを
感じてしまう物語でした。




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『ガソリン生活』
- 2022/01/02(Sun) -
伊坂幸太郎 『ガソリン生活』(朝日文庫)、読了。

年越し読書は伊坂作品となりました。
実は、タイトルだけ見て、エッセイかな?と勘違いしてました。

望月家の自家用車・緑のデミオが主人公。
車たちはお互いに会話を交わし情報交換をしている世界。
道ですれ違った車と刹那的な会話をし、
入った駐車場で並んだ車と自己紹介をし、自分の運転手の自慢をし、愚痴を言い。

そんな車の世界で流通する情報と、
望月家やその近所の人、たまたま知り合った人達との間で流通する情報。
2つの世界が合わさると、今まで見えなかった世界が見えてくるという趣向。

伊坂作品というと、いろんな視点や時系列が断片的に紹介され、
最後に一気に真実の世界に繋がっていくという構造が特徴ですが、
こちらは人の世界と車の世界という断絶が重なり合いながら
一つの真実に繋がっていくという構造で、伊坂作品らしくも新機軸。

正直、無機物が人間のような心を持つという設定の話は、
あんまり面白いと思えたことがなかったのですが、
本作も途中までは、あんまり車の視点が生かされていないように思ってました。

しかし、日本の有名女優の事故死とダイアナ妃の事故死について
車たちが真相に近づいていくあたりの展開から、
あ、そうか、人目を気にする行為でも車の前でなら気にせずやっちゃうから
車が目撃者という立ち位置を確保できれば、真相究明にショートカットできるのか・・・・と
ある種、都合の良い展開をいくらでも作れてしまうところに
著者の狡猾さというか、上手さを見ることができて、そこから引き込まれました。
ほんとに、真相ってどういうことなんだろうか、伏線はどこで回収されていくんだろうかと。

途中、他の伊坂作品の登場人物たちも絡んできたりして無駄に楽しい(笑)。

人間側も、望月家の次男が小学生のくせに大人びてて・・・・というか、こまっしゃくれてて、
これまた良いキャラクターです。
いじめっこにも大人な目線で向き合って、きっちりと落とし前をつける。
そして、エピローグでもきっちり過去の思い出を今につなげる見事な伏線回収ぶり。

新年早々、面白い読書はじめとなりました。




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『ホワイトラビット』
- 2021/09/22(Wed) -
伊坂幸太郎 『ホワイトラビット』(新潮文庫)、読了。

いかにも伊坂幸太郎的な複雑な構成と叙述トリックが楽しめる作品でした。

誘拐ビジネスで成長してきたベンチャー企業に誘拐担当として従事する兎田。
しかし、兎田の妻が当のベンチャー企業に誘拐され、人質との交換条件に、
とあるコンサルを捕まえてこいとの命令が。
運よくコンサルを見つけたものの、追い詰めた先の一般家庭に立て籠もる羽目になってしまい
コンサルをベンチャー企業の社長のもとに連行しなければいけないのに
その家は警察とメディアに包囲されているという絶体絶命のピンチ。

まー、誘拐事件と空き巣事件と殺人事件がバラバラに発生しているのに
その3つの事件が一つの家という空間に集合してしまうという、
なんともご都合主義的展開なのに、ヴィクトル・ユゴーの言葉に乗せられて、
「なんだか、そんな些末なことは気にしなくてよいかも・・・・」と思えてしまう伊坂ワールド。

3つの事件が交錯する家の中で、状況をいち早く理解し、整理して、
新たな立てこもり事件へと組み立てなおしたのは、空き巣の「黒澤」。
そう、『首折り男のための協奏曲』に登場した伊坂ワールド全開の黒澤です。
どんなに切羽詰まった状況でも、ちょっとシニカルに茶化しながら受け答えしてしまえる男。

彼の提案した脱出プランのおかげで、この作品の複雑怪奇なストーリー構成が出来上がっています。
さらには、とっとと現場から消えればいいのに、わざわざ面倒ごとを買って出るお人好しなところも。
それが、どんどん、事態の複雑化に拍車をかけます。

この複雑な構成を、ワクワク感を与えながら、でもちゃんと一読で分かるように
場面を区切って読者に提示していくその物語構成力というか
ストーリーテリング力というか、もう、言ってしまえばプレゼン力だと思うのですが、
そこが伊坂作品はずば抜けてますね。
面白い。

解説で書かれてましたが、仙台という町の「名前は当然知ってるけど行ったことがない街」の
抽象性が、作品に与える効果もあるんだろうなと納得。
(あ、本作の解説は、多面的なのにシンプルな考察が素晴らしいと思いました)

一気読みの面白さで、満足、満足。

ところで、この文章を書くのに、Wikiで伊坂幸太郎を調べたのですが、
もう50歳になられたんですね!
青年作家の印象が強いので、それにも驚いてしまいました。






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『首折り男のための協奏曲』
- 2020/11/19(Thu) -
伊坂幸太郎 『首折り男のための協奏曲』(新潮文庫)、読了。

裏表紙のあらすじに「二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る」とあったので
長編または繋がりの濃い連作短編集かと思って読んだのですが、
基本的には短編集でした。

最初、首折り男の話から始まり、次の物語は別の話が進んでいくのですが、
途中で急に首折りエピソードが登場します。
ここで、「あ、首折りで繋がる話なのか」と思ったのですが、
次の物語には登場せず、「黒澤」の話になり、以降は黒澤で繋がっていきます。

「あれ?首折りと黒澤は繋がってるんだっけ???」と思い、
3話目を読みながら2話目に戻ったりしていたのですが、面倒くさくなって詳しく読み直すのは止めました。
で、以降は、それぞれバラバラな作品として読むことにしました。
つながりは気づけたら楽しもうぐらいの楽なスタンスで。

結果的には、それが良かったのかなと思います。
繋がり探しに気を使って真剣な読書にならなかったので、気楽に読めました。
黒澤の話が続いて、最後に、「あ、また首折りだ!」という、緩やかなつながり。

解説で、各作品のつながりについて真正面から解説してくれてあったので
モヤモヤもすっきりしました。

殺人とか、事故とか、窃盗とか、問題ごとが身近で起こっているのに、
人間というのは、瞬間的に怖がりながらも、日常生活はのんきだなぁと思ってしまいました。
でも、「隣人が殺人犯だ!」という恐怖に支配されたら何も手につかなくなってしまいますから
「隣人は殺人犯かもしれない」という程度の疑問に収めておく鈍感力が
安らかな生活を送るには必要なのかなと思いました。

相変わらず、会話はウィットに富んでいる伊坂節が楽しめるので、
最初はちょっと構成に悩んで混乱しましたが、全体的には面白かったです。




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『アイネクライネナハトムジーク』
- 2020/08/13(Thu) -
伊坂幸太郎 『アイネクライネナハトムジーク』(幻冬舎文庫)、読了。

伊坂作品らしい連作短編集だと思います。
各お話の登場人物たちがどこかで繋がっていて、
でも時間軸は10年先に行ったり20年前に戻ったり、
なかなか複雑な関係性を有しています。

その中で、「この女性のお父さんのことを知ってて、あなたはこんなことを言うのか」
というような脅し文句が時間を超えて引き継がれていくところが
いかにも伊坂ワールドですねぇ(笑)。

今回、面白いなと思ったのは、そんなに変な人が出てこないところ。
確かに、変わった性格の人は居るのですが、
特殊能力を持った人は出てこない(ボクシング世界チャンプぐらい!?)ので、
とても親近感を持てる世界観でした。

そこらへんに広がってそうな普通の世界なのに、
1人1人が魅力的で、面白い言葉を残していきます。
普通の人より、ちょっとウイットに富んでて、
普通の人より、結構、忍耐力があって、
普通の人より、かなり機転が利く。
そんな人たちのお話です。

私はあんまり格闘技の世界に興味がないので、
ボクシングヘビー級の世界チャンピオンというのがどれほど凄いことなのか
正直わからないのですが、男の子だけでなく、女の子まで夢中にさせちゃうというのは
それだけ偉大な成果ということなんでしょうね。
日本中を熱狂させる何かがあるのかな。

ボクシングというスポーツが、これだけ様々な人の人生を変える力があるんだなというのが
意外な発見でした。




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『残り全部バケーション』
- 2020/05/16(Sat) -
伊坂幸太郎 『残り全部バケーション』(集英社文庫)、読了。

当り屋や恐喝など、いろんな悪事を、他人からの依頼でやってあげる
悪の代行業コンビ溝口&岡田。
そんな生活から岡田が足を洗おうとして・・・・・・という話から始まります。

最初は、岡田目線で物語を見ていたので、
溝口の口八丁手八丁で適当に生き抜いていく姿に、
「こんなダメな人って、いるよねー」と距離を置きながら見ていたのですが、
岡田の次に別の男と悪徳コンビを組んでいく溝口の様子を見ていたら、
だんだんと、なぜか応援するような気持ちも芽生えてしまい、
「岡田をもっと大事にしておけばよかったのに・・・・」というような憐憫の感情も出てくるほどに。

なぜか岡田が素敵な人に見えてしまうという異常事態ですが、
もとは下っ端の悪人にすぎず、なんでこんなにどのキャラも魅力的に見えてしまうのだろうかと
伊坂ワールドの不思議を体験できます。

逆境に陥った時に、残りの人生はバケーションだと開き直れるような人間の図太さって、
大事なのかもなぁ・・・・と思った読書となりました。




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『夜の国のクーパー』
- 2019/03/13(Wed) -
伊坂幸太郎 『夜の国のクーパー』(創元推理文庫)、読了。

私があまり得意ではない第2期の作品ですが、
意外と面白く読めました。

戦争という陰惨なテーマを扱っていますが、
物語をクールな猫の視点で語っていくので、軽いタッチで読めてしまったのかもしれません。

しかし、描かれている内容は、裏切りや嘘、身代わり、格差というようなもので、
かなりしんどい事象がたくさん出てきます。

これを読んでいて思ったのは、
「知らない」ということが、どれだけその社会の持つ世界の広がりを制限してしまうのかということ。
例えば、北朝鮮の一般国民にとって、自分が住む世界の外の世界に対する認識って
本作で描かれたような感じなのかなと思ってしまいます。
本作に登場する国民は「馬」を知りませんでしたが、
北朝鮮国民は「キリン」を知っているのだろうか?とか。

冒頭シーンで、猫が人間に話しかけてきたり、
杉の木からクーパーという怪物が生まれるという伝説が語られたり、
クーパー退治に出かけた戦士たちは体が透明になってしまうという顛末など
ファンタジー満載な展開で、最初は置いてきぼり感を覚えたのですが、
猫の件は別として、クーパーに関する物語は、どうも伝聞情報ばっかりで信憑性がイマイチだな
と思い始めてからは、真相が気になって、一気に面白くなってきた感じです。

自分の目が見て頭が考えている世界は、どれだけ狭いのだろうかと
自分自身の視野について考えさせられるお話でした。




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『陽気なギャングの日常と襲撃』
- 2018/10/09(Tue) -
伊坂幸太郎 『陽気なギャングの日常と襲撃』(祥伝社文庫)、読了。

『陽気なギャングが地球を回す』の続編。
前作を読んだのがかなり前だったので、ギャング団の面々のことを忘れてしまっており、
最初、短編が続くので、「どの人がギャングなんだっけ?」と想像しながらの読書に。

で、各短編で、それっぽい人物(苦笑)が脇役で登場してくるものの、
アクションシーンで活躍するわけではなく
どちらかというと安楽椅子探偵的な活躍だったので、
「あれ、こんな静的なキャラクターだっけ?」と思ってしまいました。

が、そこは伊坂作品。
前半は4つの短編でしたが、
中盤に4人のギャングが集結し、再び銀行強盗。
そして、そこで新たな事件が勃発!

そして、物語の視点は、ギャング団4人のそれぞれに移り、
まさにギャングが物語を動かしていく流れになります。

こりゃまた、複雑な構成にしたのね・・・・と思っていたら、
あとがきによると、最初は短編8つで終わらせる予定だったらしいです。
しかし、4つ書いたところで、1つの物語に収斂させようと構想が変わり、
そこから、この構成に持ち込んだのだとか。

当初の短編4つを手直ししたとは言え、
1つにまとめてしまうのは、相当な力技!
実行できてしまうのは、さすが伊坂幸太郎ですね。

でも、やっぱり脇役で華を添えるギャングよりも、
自分たちが世界を回しているギャング達の方が、読んでいてスカッとします。
それでこそ、響野のおしゃべりや、成瀬の冷徹さや、雪子のドライビングテクニックや
久遠のスリの技術が活きてくるというものです。

さらに続編もあるようなので、楽しみです。




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