『これだけで組織は強くなる』
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- 2015/08/29(Sat) -
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渡邉美樹、野村克也 『これだけで組織は強くなる』(角川書店)、読了。
面白い組み合わせだなと思って買ってきました。 相互に2コマ分ずつ書いて、前の相手の文章を意識した文章を書いているため、 緩やかな往復書簡のような構成になっています。 野村氏の野球エピソードは、何度も読んできたものが多いので、 本作では渡邉氏の書いていることの方が印象に残りました。 いまや、何を言っても叩かれるグループの人になってしまった感がありますが、 しかし、あれだけの大きな飲食チェーンを急成長させた人ですから、 運や豪腕さだけでは説明のつかない、経営者としての能力のある人なんだと思います。 ま、善悪の判断は別として。 「大事な局面にはワーク=ライフになることもあるんだ」というように、 がむしゃらに働くことを否定していません。 渡邉氏は正念場と捉えているのでしょうし、人によっては過重労働と思えるのでしょう。 どんなに法律や制度を整えたとしても、最後は自分で自分を守らないといけないのかなとも思います。 周囲の人がもっと気を遣ってやれば・・・・という意見もあるのでしょうが、 周囲も同じようにしんどい状況であれば助けは期待できませんし、 周囲に助けてもらえるような人間関係を築く努力もまた自分次第な気がします。 自分が辛いときに、必ずしも周囲に助けてもらえるわけではないという割り切りから、 自分で自分を含めた環境を律していかなければいけないのでしょうね。 私も、オーバーワーク気味に流されてしまいがちなので、 自分の身は自分で守らなければと、渡邉氏の名前を目にするたびに思います。 ・・・・・と、話が本題から逸れてしまいましたが、 渡邉氏の行っている内容は、1人の経営者としては興味深いと感じますし、 ワーク=ライフの話を堂々としているという意味では、筋が通っていると思います。 いつかまた、何かの形で、社会にドーンと出てこられることはあるのでしょうかね。 期待はしないまでも、様子を見ていきたいと思います。
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『使う!論語』
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- 2014/11/15(Sat) -
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渡邊美樹 『使う!論語』(知的生きかた文庫)、読了。
先日読んだ本で、渡邊美樹氏が論語を薦めていました。 これはブラックジョークなのか!?とも思ってしまいましたが、 本作を見つけたので、試しに買ってみました。 論語の言葉に、渡邊氏なりの現代語訳をつけて、 さらに、自分に引きつけて思いの丈を語っています。 ちょっと思いが熱すぎるというか、我が強いというか、 あんまり論語の解説になっていないような印象も受けましたが、 渡邊美樹という人物の思想信条としては 他の本を読んでも一本筋が通っているようには思いました。 それが良いか悪いかは、また別の話ですが・・・・・。
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『歴史・古典入門』
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- 2014/10/16(Thu) -
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プレジデント編集部 『歴史・古典入門』(プレジデント社)、読了。
プレジデント誌の企画記事を本に仕立てたもののようです。 冒頭、城山三郎氏が自作の小説について語り始めたので、 「あれ!?自作の解説本だったのか???」と戸惑ってしまったのですが、 その後に登場する経営者の皆さんは、自分が感銘を受けた書籍や 座右の書などを紹介しており、城山センセだけ異質でした。 著名な経営者が、『論語』なり『三国志』なり、 自分の好きな本について語っているのですが、 正直、何を読んでいるのかということよりも、 経営者という忙しい立場に居ながら、本を読む時間をきちんととり、 しかも、娯楽や時間つぶしではなく、その読書を通して人生なり経営なりを じっくり考えようとする姿勢そのものに、学ぶべきところが多いのだと感じました。 紹介されている本は、正直、そんなに目新しいものが出てくるわけではなく、 あえて本書で紹介されなくても、いつかは読んでみたいと思う本が多かったです。 なので、読書録とか、書評とかいう観点で読むと、拍子抜けすると思います。 この本で残念だったのは、いろいろな企画を詰め込みすぎたこと。 経営者による座右の書の紹介で一冊作ってもらっても 十分な企画だったのではないかと思います。 作家による幕末の解説があったり、対談があったり、 名言集に学ぶ!みたいな企画があったりと、 統一性の無さが気になりました。
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『「戦う組織」の作り方』
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- 2013/09/23(Mon) -
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渡邊美樹 『「戦う組織」の作り方』(PHPビジネス新書)、読了。
今や、渡邊センセイになられた著者ですが(苦笑)、 ワタミの社長から会長になった頃(4年前ぐらい)に書かれた一冊。 政治家としての力量は知りませんが、 経営者としては、やはりワタミグループをあれだけの規模にした人ですから、 才能があるのだと思います。 ただ、本作の第1章は、ワタミの決算説明会に出席しているかのような内容(苦笑)。 ワタミグループをどうするかではなく、経営者としての哲学を知りたいんですけど。 第2章からは、段々と経営哲学的な内容になりますが、 体系だっているかというと疑問。 個々のエピソードの紹介にとどまっている印象です。 それでも、自分が決めた経営のルールは徹底するという姿勢は見えてきます。 そのポジションに適さない(=成長しきれていない)人材は、 例え、ゼロからのスタート時の仲間であっても素直にそう伝え降格させるという姿勢。 これが徹底できる経営者は、なかなか居ないと思います。 「過去の経緯を知っているから・・・」などと適当な(しかも反論できない)理由を付けて、 それなりの立場に昇進させてしまうことが大半ではないでしょうか。 本作や、様々な媒体で見る著者のインタビューなどを通して、 自分にも他人にも厳しい経営スタイルが見えてきます。 最近は、ブラック企業の経営者として周知されてしまった感がありますが、 本人からしてみれば、「俺は昔からこのスタイルでやってきた」 「ついてこれる奴はついてこい、無理な奴は立ち去れば良い」という感じかなと想像。 で、ついてくる能力が無いのに無理するからあんなことになるんだ・・・ と思っているような気がします。(あくまで私の想像です) 「できる人」と「できない人」のギャップが埋まっていないようにも感じます。 組織がまだ大きくなかった頃は、 組織の末端に居ても、著者の経営スタイルが相応の実感を持って感じられたのだと思います。 だから、「この人とは合わない」と思った人は辞めていったのでしょう。 しかし、今のような大きな組織になってしまった時に、 末端の社員は、果たして著者の経営スタイルを肌で感じられていたでしょうか。 著者個人の経営哲学ではなく、組織による強制と感じて仕事をしていたのではないでしょうか。 個人への反感であれば、そこから抜け出すのは簡単ですが、 組織から抜け出すのは意外と難しいと思います。複雑な人間関係がありますから。 ま、入社「2か月」で過労「自殺」という原因と結果には、 アンバランス感が拭えないですが・・・・。 たった2か月の経験のために、人生を捨ててしまうなんて勿体ない。 そして、月140時間の残業は、私の経験的に珍しい数字でもない・・・。 心を病んでいて冷静な判断ができなかったのだと言われればそれまでですが、 要は、仕事と向き合う自分の姿勢を、本人が受け入れられるものではなかったのかなと。 いじめ自殺も、同じような経験をして自殺する人としない人がいますが、 いじめの内容云々ではなく、いじめを受けている自分の姿が自分自身で受け入れられるか、 今の自分の境遇と理想の自分のギャップに耐えられるか、というところが 自殺を選択するか否かの分かれ目のような気がしています。 いずれにしても、雇用のミスマッチというのは、 雇う側、雇われる側双方にとって不幸なことであり、 経験の蓄積という面で言うと、雇う側の適正人材を見極める能力を 是非とも引き上げてほしいものです。 とまぁ、いろんなところに考えが拡散した読書となりましたが、 まず、本作に関しては、看板が誇大広告でそれほど体系だった内容ではないです。 次に、著者の経営者としての能力は、私はあると思います。 ただ、中規模組織までは彼の哲学を組織内に徹底することが可能だったでしょうが、 大規模組織になった今は、「死ぬほど働け!俺はそうやって成長した!!」という 哲学では組織を動かすのは難しいと思います。 それこそ、別の哲学で組織を動かす後任に譲るか、 もしくは組織を小さく括ってプチ渡邊美樹とでも呼べる鬼軍曹タイプを置くかの どちらかだと思います。 いずれにしても、このタイミングで選挙の候補者に掲げた自民党は、センスない!
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