FC2ブログ
『シアター!2』
- 2019/05/11(Sat) -
有川浩 『シアター!2』(メディアワークス文庫)、読了。

『シアター!』の続編です。

『シアター!』のあらすじというか設定とエンディングは覚えていたのですが、
具体的にどんな作品構成だったか忘れちゃってました(苦笑)。
債権者の司が鉄血宰相だったイメージはあったのですが、
劇団員の面々が、意外と印象に残ってなかった感じ。

続編では、劇団員1人1人(特に脇役メンバー)が主人公になる連作形式で
(もしかすると前作も連作形式だったのかもしれませんが、忘れた・・・・苦笑)
それぞれがどういう思いで劇団シアターフラッグに関わっているかが分かるので
読んでいて面白かったです。

それぞれの生計がほぼ成り立っていないという時点で
甘い人生だなぁとは思ってしまいますが、
それでも新しい作品を世に生み出すエネルギーは凄いなと思います。

それぞれが悩み苦しみ、それを乗り越えていく姿は清々しく読みました。
そして、やっぱり私にとってキーマンは司です。
演劇界という、そもそも産業として未熟というか
個々のプレイヤーの犠牲の上に成り立っている世界において、
損益管理とか契約管理とかの司の徹底したビジネス管理の手法や思考回路が
ある種、ビジネスマンとして勉強になります。
判断が早いのも、判断がブレないもの、素晴らしいプロデューサーぶりです。

司の言葉は、冷たいですが、芯が通っているので
真正面から言われた劇団員たちも、受け入れざるを得ないというか
最後は納得して腑に落ちているように思います。
こういう言葉力を持っている人物というのは、憧れます。
結構、ノートに書きだしたセリフがありました。

ちょっとスズと千歳の話は、2人とも子供過ぎて、ちょっと引いてしまいました。
ここまで強情を張り合ってどうやってオチを付けるのだろうかとハラハラしたのですが、
最後はうまーく丸めて劇団のエネルギーにもなっていて、さすが有川作品。

第3弾で話は完了したのかな?
早く100円で見つけて読まねば!




にほんブログ村 本ブログへ



この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『ストーリー・セラー』
- 2019/04/13(Sat) -
有川浩 『ストーリー・セラー』(幻冬舎文庫)、読了。

小説家である妻が病気になった。
脳を思考で使えば使うほど寿命な縮まるという奇妙な病気。
それは妻に絶筆を迫る病気だった・・・・。

裏表紙のあらすじからは闘病モノのように思えたのですが、
正直、このあらすじは本作の本質を捉えていないような気がしました。

会社員時代に出会った妻は、実は小説家だった。
誰も知らないその副業に、夫となる男だけが気づいた。
小説を読むことが好きな夫と、小説を書くことが好きな妻の物語。
私的には、要約するならこうなります。
病気の話ではなく、小説という存在をめぐる話だと思います。

そもそも話の前半は、二人が出会った頃が中心に書かれ、
後半で病気の話になっていきますが、
私が心を寄せたのは前半部分でした。
本読みさんなら、「そうそうそう!」と共感してしまうポイントが盛りだくさん。
小説読みの男の言動に簡単に自分を重ねることができて、楽しかったです。
まぁ、私は、ここまで特定の作家に入れあげているということはないですが。

後半も、闘病というよりは、病というきっかけを得て、
夫婦の間での「小説書き」「小説読み」というものを見つめ直す作業が行われたというところが
私にとっては大事な部分で、正直、病気の部分については
「そんな病気、あるかよ~(苦笑)」ぐらいの、雑な扱いでした(苦笑)。
まあ、小説というものの特殊性を表現するための舞台装置に過ぎないかな。

書く人と読む人がセットになった夫婦って、本作では理想の夫婦のように描かれてましたが、
現実世界においては、そんなキレイごとにはならないだろうな・・・・と思ってしまったり。
どの作品も満点をつける読者って、居ないんじゃないかなと思ってしまうので、
そこはちょっとリアリティがなかったかな。
まあ、これは作家さんの願望世界なのかもしれませんね。

Side-Aでは、妻の両親がいかんともしがたいダメな人物で、
ここまで極端な設定にする意味ってあったのかな?と思わずにはいられませんでしたが、
夫の優しさや強さを引き出すためには必要だったのかな。

本作は、本読みとしての共感度は高かったですが、
小説の構成としては、ちょっと歪なものを感じてしまいました。

Side-Bは、似たような夫婦関係で、別の物語が走りますが、
こちらは夫が病に倒れるという展開。
Side-Aに比べると、作家視点で描かれているので、本読み共感度は下がりましたが、
これまた素敵な夫で、有川さんの理想の夫像ということなのでしょうかね。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『三匹のおっさん ふたたび』
- 2019/04/05(Fri) -
有川浩 『三匹のおっさん ふたたび』(新潮文庫)、読了。

シリーズものの2作目です。
前作は、おじさん三匹と孫の組み合わせが心地よかったのですが、
本作は冒頭の作品が周りがあんまり見えてない嫁の貴子が主人公で、
どうにもモタモタするやり取りに、ちょっとイライラしてしまいました。
中盤、息子にアドバイスをもらって、そこから改善されていきましたが、
息子の方が大人じゃん(苦笑)。

前作の時に感じたスカッと感が、あんまり感じられませんでした。
2作目以降も、どうにも主人公たちの独り善がりな感じが苦手でした。
登場してくる中学生や高校生たちはガキっぽいのばっかりだし。

祐希と早苗の若手コンビが溌溂としていたのが救いです。
三匹は、無理せず、深追いせず、周囲に目を配れているので安心して読めます。
彼らチームと、各物語の主人公たちのギャップを強く出し過ぎたのが
私はちょっと苦手でした。




にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『図書館戦争』
- 2019/01/10(Thu) -
有川浩 『図書館戦争』(角川文庫)、読了。

有名シリーズにようやく挑戦です。
自分の中では、ライトノベルなのか、小説なのかというところで
ちょっと躊躇していた面もあったのですが、
読んでみたら、やっぱりライトノベル感が強かったです(苦笑)。

まず気になってしまったのは、主人公の笠原郁の傍若無人さ。
女の子らしさがない勝気な女性が主人公というのは良くあると思うのですが、
新人のくせに上官に盾突くどころか背中から飛び蹴りを食らわせたり、
言葉遣いがくだけてたりで、違和感を覚えてしまいました。

特に、この主人公が飛び込んだ世界が、
言論規制に立ち向かう市立図書館を武器を使って守る図書隊防衛員という
言ってみれば軍隊組織のような場だと思うので、
縦社会であろうはずの世界で、こんな傍若無人な行為がまかり通るのだろうかと思い、
主人公に共感ができませんでした。

物語が進むにつれて、主人公も組織の中で揉まれ、自分が傷つく経験もし、
少しは大人の考えも身に付けてはいくものの、
それでもしかし、短絡的な考え方とか、粗雑な言葉遣いとか、手を抜いたのに文句を言うところとか
どうも自分には馴染めないキャラクターでした。

直象上司の堂上も、表面的にはきつく指導しているように見えて
本質的な部分は矯正せずに放置しているので、私的には同類に見えます。
むしろ同期の手塚くんに肩入れしてしながら読んでました。

設定自体は非常に面白いと感じました。
確かに、リアリティに関してはどうかと思うので、ファンタジーなんですが、
現実世界における言論の自由とメディアの自主規制みたいな鬩ぎ合いを
極端に表現すると、こんな感じになるのかなと思いました。
考えるべき点をたくさん投げかけてくる作品だと思います。

ただ、やっぱり残念に思うのが、主人公のキャラクター設定をはじめとする
図書隊の面々の甘さや緩さ。
もっと組織論的にきっちり描けば、社会科学的な面白さが増えただろうになと思います。

まぁ、すでにシリーズの何冊かを買い入れてしまっているので、
読み進めながら、主人公の成長を祈りたいと思います(苦笑)。




にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『ラブコメ今昔』
- 2018/08/11(Sat) -
有川浩 『ラブコメ今昔』(角川文庫)、読了。

自衛隊における恋愛関係を描いたシリーズもの第2弾。

自衛隊という職場環境の珍しさに対する興味もありますが、
やっぱり、軸となるのは、自衛隊員の肝の座り方の部分ですよね。
自分の職責というものに対する責任感と誇りが半端ないです。
恋愛という、職責とは直接関係のないフィルターを通すことで
より一層、職責の部分がクローズアップされるという面白さ。

そして、自衛官としての気概みたいなものが端的に表現されていたのが、
自衛隊が撮影協力したTVドラマの現場を描いた「広報官、走る! 」です。
テレビマンが脚色して、お涙頂戴ものに仕上げようとした筋書きに対して、
自衛官や、自衛隊をよく知る原作者がぶった斬るという展開。
テレビって、ほんと低レベルなメディアだよなぁ・・・・・・と苦笑いしながらも、
分かる人は、ちゃんと分かってますよ!と言いたくなる結末。

自衛隊を舞台にした作品って、登場人物たちの国や国民を思う熱さが土台にあり、
そこに鍛錬された組織力や、隊員仲間を思う気持ちがあったりで、
日本人の良さや強さみたいなところが、端的に表れている集団な気がします。
それを読んでいると、気持ち良いんですよね。
清々しいというか。

本作では、そこに恋愛要素がのっかってくるので、
ちょっと、くすぐったいところはありますが
でも、根が真面目な自衛官さんが主人公だから、こちらも真面目に読めちゃいます。

こういう人たちが、国を守ってくれてるんだなという、
どこまでも純粋な安心感が得られる作品だと思います。
登場してくる自衛官さん達が、自分の家族や恋人のことを思う気持ちと
同じ方向に、国民を思う気持ちがあるんじゃないのかなと思える安心感です。


ラブコメ今昔 (角川文庫)ラブコメ今昔 (角川文庫)
有川 浩 徒花 スクモ

角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-06-22
売り上げランキング : 51233

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『クジラの彼』
- 2018/01/27(Sat) -
有川浩 『クジラの彼』(角川文庫)、読了。

有川さんの恋愛短編集か・・・・・という程度の気持ちで手に取り、
冒頭の表題作に「へぇ、自衛官の恋愛小説って珍しいな」と興味を持ったら、
なんと全編が自衛官の恋愛モノときましたわ。
有川浩、やるなぁ。

表題作「クジラの彼」は、潜水艦乗組員が彼氏。
一度訓練航海に出てしまうと、1か月、2か月という単位で連絡不能となり、
何処に行っているのか、いつ帰ってくるのか、全く分からない状況に。
当然携帯電話は圏外で、相手からのメールを待つだけ。
合コンで如才ない幹事ぶりを見せた彼氏と、数合わせ要員だった奥手な彼女。
お互いのことを思いやっているのに、超絶遠距離恋愛に心がくじけてしまうことも。
あんまり恋愛小説を読まない私としては、
ベースはお仕事小説の気持ちで読んでましたが、
それでも、彼氏、彼女、そして彼女の友人の人柄の良さが素直に共感出来て、
このあたりのキャラクター設定の上手さや物語展開の軽やかさ、
そして会話の妙の面白さは、さすがだなぁと。

次の「ロールアウト」では、一転して融通の利かなそうな自衛隊幹部が登場しますが、
その主張内容の筋の通ったところとか、民間企業相手に強く主張を押し込むところとか、
いざって時には、このぐらい強気にゴリゴリできる人でないと
国防なんて任せられないよな~という気持ちになりました。

「国防レンアイ」に至っては、自衛官同士の恋愛模様ですが、
四六時中一緒にいるから、あらゆる姿を目にすることになって、
恋愛するのって難しくなるんですかね。
でも、恋愛モノかと思わせておきながら、
国防に携わるものとしての熱い思いを主人公に叫ばせたりして、
熱いお仕事小説でもありました。

自衛官を主人公にした恋愛小説を6篇も書けるなんて、
どんだけ自衛官好きなんだよ(笑)と思っちゃいましたが、
短編の中に意味深に登場する事件が
長編の『空の中』や『海の底』で直接描かれているということで、
この方の自衛隊好きは本物ですね。

両作とも既に積読スタンバイOKですし、
本作の続編『ラブコメ今昔』も既に買ってあるので、
こりゃ早く読まねばいけませんね。


クジラの彼 (角川文庫)クジラの彼 (角川文庫)
有川 浩

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-06-23
売り上げランキング : 13138

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

空の中 (角川文庫)空の中 (角川文庫)
有川 浩

角川グループパブリッシング 2008-06-25
売り上げランキング : 15453

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

海の底 (角川文庫)海の底 (角川文庫)
有川 浩

角川グループパブリッシング 2009-04-25
売り上げランキング : 11770

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『シアター!』
- 2017/08/25(Fri) -
有川浩 『シアター!』(メディアワークス文庫)、読了。

貧乏劇団が内部分裂で借金苦に。
劇団主宰が金の無心に泣きついたのは実の兄。
兄は、これを機に、弟にまともな職についてほしいと願い、
借金300万円を肩代わりし、2年以内に返済できなかったら劇団解散という
激烈な指令を出す。そして、自ら経理を買って出て・・・・・

劇団が舞台という時点で、
私の頭の中では、劇団SHA.LA.LAのイメージで動き始めました(笑)。

個々の劇団のメンバーも、鉄血宰相の兄も、
キャラクターがしっかり立っていて、
逆にちょっとキャラが強すぎてマンガチックになってしまっている部分は、
劇団という非日常的な舞台を用意することで、上手く吸収しちゃってる感じです。

そして、小劇団という、ビジネスベースには乗せにくい事業を
見事にビジネスライクに運営しようとする鉄血宰相の手腕が、
これまた小気味良いのです。

そもそも、この劇団自身にそれなりの集客力があったという点がミソで、
コスト管理ができていなかったから赤字だっただけで、
コストを見直せば十分利益を出せるという部分で、
お仕事小説的にも面白くなっていたのかなと思います。

これが、集客が今一つの劇団が舞台だったら、
「そんな簡単にお客さん増やせないよ~」てな感じで
リアリティの無さを突っ込んでたような気がします。

ひとつ、リアリティの面で気になったのは、
公演最終日に起きたトラブルの内容と影響度合い。

前日に舞台上で起きたトラブルの対処の仕方が非常に上手いというか、
演劇のライブの息遣いみたいなものを取り込んで
見事にトラブルから解決までを描いていたので、
そのドキドキワクワクの感覚のまま最終日のところも読み進んでいったら、
「え、そんなトラブルやっちゃうの???」という感じで
肩透かしを食らったような気持ちになりました。
この展開は、作品の設計としてどうだったのでしょうかねぇ?

本作では、300万円の借金を肩代わりした後の
最初の公演までしか描かれていないものの、
非常に前向きというか、先行きが明るい感じで終わっているので、
何となく、このままいけば300万円返せそうな雰囲気を感じるのですが、
続編ができたということは、何かしらまた事件が起きているはずで、
どんな展開になっているのか楽しみです。


シアター! (メディアワークス文庫)シアター! (メディアワークス文庫)
有川 浩 大矢 正和

アスキー・メディアワークス 2009-12-16
売り上げランキング : 27928

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『県庁おもてなし課』
- 2017/06/09(Fri) -
有川浩 『県庁おもてなし課』(角川文庫)、読了。

高知県を舞台に、まちおこしに取り組む県職員の若者を追った
青春お仕事ストーリー+恋愛もの。

第1章を読んでいる間は、あまりの高知県庁のお役所仕事ぶりに
辟易としてしまいましたが、そのダメっぷりに主人公が気づいてからは、
彼の成長小説な要素も加わり、面白くなってきました。

入庁3年目の若手県職員の主人公、
お役所ルールの異様さに気づいていない県庁の面々、
紅一点民間感覚のバイトの女の子、
そして、元県職員の観光コンサルタントと、その頑固娘と売れっ子作家。

キャラがどれも立っていて、読みやすいです。
ドタバタコメディモノとしては分かりやすい配置になっています。

さらに、本作では、血縁関係の複雑さを観光コンサル一家に味付けしており、
独特な情緒が流れる作品となっています。
やや演出過剰な感じもしますが、軽いノリで描いているので
それほど気にならずに読むことができました。

観光特使のエピソードとか、
もう、そのまま有川さんの体験談のようなのですが、
笑い飛ばしているように見えて、結構な恨み節もこもっているような気が(苦笑)。

そもそも「おもてなし課」なんて名前を付けちゃうぐらいなので、
発案者の知事の思いがこもった施策だと思うのですが、
その割には、本作の中でまったく登場してこないので、そこは違和感。
トップダウン施策には、トップダウンなりのスピード感や発言力があり、
一方では上からの細かい指示や介入があってしかるべきなのに、
そこが描かれていないのはリアリティに欠けると思います。

民間事業者との軋轢についても、ほとんど描かれていないので、
県庁職員と観光コンサルが動いただけで、
そんなに簡単には大きな仕事はできないよ・・・・と思ってしまいます。

なので、本作の位置づけとしては、
お仕事小説ではなく、青春小説やラブコメの要素が強いのかなと。
そして、結局は、お役所仕事をくさすのが目的かと(爆)。

コメディとしては面白く読めます。
地方の可能性を感じることもできます。
でも、リアリティに欠けます。


県庁おもてなし課 (角川文庫)県庁おもてなし課 (角川文庫)
有川 浩

角川書店 2013-04-05
売り上げランキング : 60998

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『フリーター、家を買う。』
- 2016/02/15(Mon) -
有川浩 『フリーター、家を買う。』(幻冬舎文庫)、読了。

表紙絵のポップな感じや、テレビドラマの軽そうなイメージ(観てなかったので)から、
コメディタッチの物語を想像していたのに、
なんと引き篭もりの息子、重度の鬱病発症の母親、そんな2人を見ないようにする逃げる父親、
こんな重たい家庭の話で、まずはビックリ。

特に、小心で自信がないのにお酒に逃げて当り散らす父親、これが本当に酷い。
母親の病状が重いことに気づき、嫁いだ姉の本気の怒りにも触れ、
息子が早い段階で改心をしていくので、なおさら父親の現実逃れが際立って酷く目に映ります。

正直、途中で脱落しかけたのですが、
それは、著者の描く内容が、重たい現実を直視したものだったからだと思います。

そんな父親も、母親が自らの体を傷つけるという行為に出たことで、
ついに現実を直視せざるを得なくなり、息子とともに看病に取り組むように。
ここからの父親の改心ぶりは、ちょっと展開が都合が良すぎるんじゃない?という印象もありますが、
しかし、前半での重たい印象を読後まで変に引きずらないようにするには、
こういう展開になっちゃうんでしょうね。

とにかく、前半で、いろいろ考えさせられる本です。

私の父親はきちんとした人なので、母親が鬱病になったとしても放置はしないでしょうし、
私の弟も誰かに当たることを得意としない(怒る行為がストレスになるタイプ)ので、
家の中で会話がなくなるような関係にはならないと思います。

そういう家族関係を築けたことに感謝しつつ、
私が知っている36年間は幸せに暮らせてこれたけれども、
もしかすると、明日、何か凄い事件や新しい出来事が起こって、
急激に家族のあり方が変形してしまうような衝撃が訪れるのかもしれない・・・・・と思うと、
非常に怖くなってしまいました。

「あんなに仲の良い家族だったのに・・・・」「幸せそうな一家だったのに・・・・」というような台詞は
ときどき耳にするものですから、何が起こるかわからないという怖さはあります。

ま、でも、先のことを漠然と不安に思ってても仕方がないので、
今を感謝することに心を注いだ方が良いのだと、この本の感想は締めくくるようにしたいと思います。


フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)
有川 浩

幻冬舎 2012-08-02
売り上げランキング : 24645

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(1) | ▲ top
『ヒア・カムズ・ザ・サン』
- 2015/05/20(Wed) -
有川浩 『ヒア・カムズ・ザ・サン』(新潮文庫)、読了。

面白かったです!

雑誌編集者の主人公、同じ職場の同僚。
主人公は、人の想いが詰まったものに触れると、その想いを感じ取ることができる特殊能力を持つ。
そんなある日、その同僚の父親が20年ぶりにアメリカから帰国する・・・・・。

1つの設定を、2つの物語で綴った一冊。

小説だったり、舞台化したりと、いろいろビジネス的な話は尽きないようですが、
単純に2種類の小説を並べた作品として、読み比べてみて面白かったです。
1つ1つの作品自体も、読み応えがありました。

特殊能力に関しては、「そんな都合よく、知りたいことや、意味のあることだけ感じ取れるなんて・・・」
と、都合の良い設定だと思わなくもないですが、
物語の味付け程度に抑えられていて、人間関係を描く部分が主軸だったので、
それほど気にせずに読めました。

むしろ、この主人公のキャラクターが、
この特殊能力のおかげで形成されたものなのだという背景が
説得力を持って描かれていると感じました。

無責任な父親のキャラクターはともかくとして、
それ以外の登場人物たちの思いやりが心地よい作品でした。


ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)
有川 浩

新潮社 2013-09-28
売り上げランキング : 22257

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL |  有川浩 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン | 次ページ