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『国を思うて何が悪い』
- 2019/11/10(Sun) -
阿川弘之 『国を思うて何が悪い』(光文社文庫)、読了。

阿川センセの愛国エッセイです。
右翼なのではなく、保守本流の人というのが私の著者イメージですが
本作もそんな感じで受け止めました。

純粋に日本の社会に対する思いを述べた文章もありますが、
それよりも、文壇の裏話を引き合いに出した話が面白かったです。
東大紛争における三島由紀夫との会話とか、
有吉佐和子が中国に行ってどれだけ感化されたかとか。

日本ペンクラブのイデオロギー性とかについても笑いを交えながら批判してますが、
私も、なんでこんなに政治的声明を出すのかしら?と疑問を持つことが。
所属の作家さんの中には様々な意見があると思うのですが、
それらに蓋をするようにクラブで声明を出すのって、
組織内で異論とかでないんですかね?

そして、「中央線沿線には私小説家ばかり、小田急沿線には左翼ぞろい」とあり、
最近、上念司氏が「世田谷自然左翼」と呼んでるのが思い起こされます。

著者はそういうことに対して声を上げて異を唱えているわけですが、
こういう短いエッセイではなく、もっと深掘りしたものを読んでみたいです。




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『大人の見識』
- 2019/05/29(Wed) -
阿川弘之 『大人の見識』(新潮新書)、読了。

タイトルから、日本人に向けて、あーだこーだ文句を並べているのかと思ったのですが(苦笑)、
大日本帝国海軍魂、英国流ユーモア、昭和天皇など、
限られた(というか著者にとって思い入れのある)テーマに絞って
著者の思いが書かれています。

一応、「大人の見識」という横串が刺さっているような話の展開にはなってますが、
あんまりタイトルに引きずられずに、素直にエッセイとして読んだ方が
興味深く読めるのではないかなと思いました。

最初、東条英機をはじめとする、戦時中の日本の首相やその側近たちを批判しまくっているので
阿川弘之って、左側の知識人なの?と誤解してしまうところでしたが、
よーく読んでいくと、日本という国家が健全に運営されるには、
どうすればよいかという視点で語っていることが分かり、
右側の人というか、全体を眺めると保守のど真ん中の人なのかな?と位置づけを修正しました。

細部を切り取って批判のための批判をする人であふれている現在、
著者のような、大きな視野で日本のことを考え、叱るべきところは叱り、
素晴らしところは素直に評価するという、まっとうな知識人の本に触れると
なんだかホッと安心します。




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『女王陛下の阿房船』
- 2014/11/03(Mon) -
阿川弘之 『女王陛下の阿房船』(講談社文庫)、読了。

この前読んだ本では列車の旅を満喫していたのに、
今度は船旅ですか!

しかも、ワタシのような、船底に転がされているような船旅ではなく、
豪華客船での優雅な日々!
うらやましい・・・・・。

でも、これはやっぱり優雅なお金持ちの遊びのようで、
のんびり時間を過ごして、会話などを楽しむという大らかさと社交性がないと
逆に行き場がなくなってしまう数週間になってしまうのかもしれません。
私は、ちょっとダメかも・・・・・。

70年代、80年代の旅行記のようですが、
今も、このようにたくさんの豪華客船が世界中を巡っているのでしょうかね?

リタイア後の楽しみとして見るべきものなんですかね。
でも、同行者が居ないと辛いか・・・・。
なかなかハードルが高そうな世界です。


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『南蛮阿房列車』
- 2014/03/17(Mon) -
阿川弘之 『南蛮阿房列車』(新潮文庫)、読了。

古本屋の店先で「阿房列車」の単語が見えて、
「おおっ!」と買ってきました。

阿川氏による海外での列車旅です。

最初の章は、北杜夫氏と遠藤周作氏を伴ってのフランス列車旅。
本家『阿房列車』では、ヒマラヤ山系くんとのポツポツとした中身のない会話が味ですが、
本作では北杜夫氏の鬱っぷりにビックリ。
これは、紺屋の白袴か、医者の不養生か・・・・・。

ヒマラヤ山系くんの面白さを求めると、
本作では「甚六」という名で登場してくる著者の息子さんとの会話が
一番面白かったです。
遠慮会釈のない冷淡なツッコミと言いますか(笑)。

著者の「海外に行ったら列車に乗りたい!」という乗車熱は、
百閒先生の列車旅への愛情とは、また異質なもののように思いましたが、
各国の列車事情が分かるという点では、比較文化論として面白かったです。


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『大ぼけ小ぼけ』
- 2012/10/30(Tue) -
阿川弘之 『大ぼけ小ぼけ』(講談社文庫)、読了。

阿川佐和子さんのお父様という前知識しかない状況で読んだのですが、
思いのほか楽しめました。

最初は、歴史的仮名遣いの文章に戸惑い、
また思想が偏っていたらどうしようかと感じましたが、
やや偏屈なところがあるにしても、それを楽しめました。
遠藤周作氏との軽妙なやり取りが良いです。

ちょっと驚いたのは、エッセイにおいて毒を吐くだけでなく、
実際に行動してしまうところ。
『レッド・オクトーバーを追え』の翻訳本を読んで、
誤訳に気づいたら奥付の発行者(つまりは役員様)に電話して指摘をし、
役員、翻訳者、編集者をが家にやってくる事態に。
気づいたら指摘しなければいけないという使命感にも似た思いが凄まじいです。

ま、それだけ影響力のある凄い作家さんということなんでしょうね。


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